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プリンター導入 [EPSON SC-PX5VII] と波乱に満ちたセットアップ協奏曲

写真における作品作りは、プリントアウトしてこそ完結すると信じている。これまでは外部業者サービスにプリントは委託していたが、いよいよ自分の手で完結させたいという思いが溢れ出し、導入の運びとなった。

「欲しい」ではなく「必要」で買ったのだ。。と言い聞かせる。

EPSON プロセレクション SC-PX5VII にした理由

CANONと悩んだが、白黒のモノクローム好きとしては「Epson UltraChrome K3インク」に大きな親和性を感じたのと、「Epson Print Layout」というプリント時のレイアウトやカラーマネイジメントを容易にしてくれるソフトウェアの使い勝手が良さそうだったことが決めてになった。

プロセレクションのK3インクは、ライトグレー、グレー、ブラック(フォトまたはマット)の3種類のブラックインクで、繊細なモノクロ表現だけでなく、色空間全体の精度を高めることができます。新開発の「Epson UltraChrome K3インク」は、従来のK3インクからさらに黒の深度が向上。一段と精緻で立体的になった表現力が、暗部から細部まであなたのイメージをより忠実に再現します。

実は最後の最後までつきまとう大きな不安もあった。SC-PX5VIIというモデルは最新現行モデルではあるが、発売開始時期は2015年。過去のモデルチェンジサイクルを見ると3年おきだ。そうなると、このモデルもそろそろなのか?と心配が押し寄せる。調べてみても、リリース情報はまだない。「まあもしリリースされたら、入れ替えればいいじゃないか。それよりもすぐにプリントを開始し、学び出すことのほうに価値がある!」と、1.5人称的内省の渦中に、持ち前のオプティズムが押し寄せ、そのまま押し切り勝ちへ。

セットアップは波乱に満ちた協奏曲

思い描いた通りのプリントへのファーストコンタクトまでは相当苦労しそうだなと想像していたが、やはり現実に。相当にインクと紙も消費してしまった。気が付いてしまえば、あっけないのだが、数多の試練、問題に直面し得た解決方法を、自身の備忘録も兼ねてシェアしておきたいと思う。これから導入する方々には絶対に有益な情報であると思う。

※すべてmac OSX環境での話です

用紙プロファイルのインストール時につまづいたこと

① 各社メーカーから提供されている、プリント用紙のiccプロファイルをダウンロード。

② ダウンロードしたiccプロファイルを以下の場所に保存します
/users/ユーザー名/Library/colorsync/profiles

基本的には以上で完了するのだが、「Library」フォルダは、Finderの「移動」でキーボードのoptionボタンを押さながらでないと表示されない。これがつまづいたポイントだった。今回、エプソン純正紙の「Velvet Fine Art Paper」A3ノビと、テストや自宅に遊びに来た友人たちに気軽にプレゼントできるようにと「ピクトリコプロ・ソフトグロスペーパー 2L」を購入。

ピクトリコ、ハマりそうです。今回購入したのはアート紙ベースの微光沢写真用紙タイプですが、コスパに対して質感が素晴らしい。様々な種類がラインアップされているので、探求のしがいがありそうです。

「Epson Print Layout」に画像が読み込まれない

これが一番苦労した。。ネットで検索しても、体系的に解決方法が記されている情報がない。。僕の場合、 最終的な現像→プリントは《Adobe Lightroom Classic CC → Epson Print Layout》の流れになるのだが、LRから書き出しで「EPL」を起動しても、画像が読み込まれない問題が発生。エラー表示は「プリンター関連のエラー」。

これの抜本的な原因はmac OSXに組み込まれているプリンターのセットアップをサポートするための「AirPrint」。SC-PX5VIIのプリンタドライバーを何の気なしにインストールした際に「AirPrint」でインストールしたことが問題だった。事をややこしくしたのは、これでも印刷することができたからだ。通常通り印刷はできるけども、《Epson Print Layoutに画像が読み込まれない》という問題だ。

解決方法は、「AirPrint」で作成されたドライバーを削除し、再度、適切に設定する。以上で、無事にEpson Print Layoutが利用可能になった。
PDF説明書の「困った時は」に記載のドライバーインストール手順を適切にすることがポイント)

カラーマネイジメンント問題

「なにーーモニターとプリントの色が全然合わない><!」。。
ディスプレイの色味と、プリントした色味が合わないというカラーマネイジメンント問題は、プリント内製の道で、誰もがぶつかり、乗り越え、卓越していかなければいけないことだ。勿論、これから追求していくのだが、スタートラインに立つまでの道のりが相当に難所なのである。

僕の場合は、(ワクワクドキドキの初回印刷より)とにかくマゼンタが強すぎる傾向だった。プロファイルをこねくりまわしたり、プリンタヘッドの目詰まりを疑いクリーニングしたり、部屋照明の光源を睨みつけたり。。笑

しかしどうにもスタートラインに立てない。インク残量も気持ちよく目減りし、紙もバンバン吸い込まれていく。発狂しそうになりながら、心の中で「いやこれ自体も楽しいではないか!楽しくないと人生じゃない。楽しまないと自宅プリントじゃない!」と言い聞かせ、、、なんとかスタートラインを切ることができました。

スタートラインに立てたポイントは2つ。

① 「Night Shift」機能をオフにする
② 「Epson Print Layout」を使う

ブルーライトを軽減する「Night Shift」機能が影響し、ディスプレイ上の色味に差異が発生していた。気づけば当たり前のことだが、盲点だった。「自分はほとんど何も知らない」という言葉が改めて身に沁みる。

そして、「Epson Print Layout」は最高だ。前述したが当初、EPLが使えずに印刷していた。もう全然違う。EPL上でのプレビューは、プリントとの色味の差異を軽減してくれるため、印刷後のイメージを掴みやすい。そして、実際のプリントもイメージにかなり近い。なんかもう、用紙プロファイルを使用しなくても「プリンターによるカラー管理」に任せた方が良い結果が得られるのではと感じるほどだ。

カラー設定の「モノクロ写真」も素晴らしい。「モノクロ写真」を選ぶことにより、カラーインクの使用を最小限にする効果が得られる事と、3色の黒インクを優先的に使い、よりトーンの美しいモノクロプリントを生み出すそうだ。

かくして、スタートラインに立った。

写真を撮る。現像する。プリントする。僕にとって、この作品作りにおける三工程の重要度はフラットだ。どれもが、等しくクリエイティブで、深淵であり、何より楽しい。作品を質量ある物質性を伴うモノに変換する行為がプリント。プリントまで責任を持つことによってこそ生成され、顕在化するクレジットに僕は浪漫と可能性を感じるのである。

プリント探求は今後マガジンとしてまとめ常時アップしていきたい。


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