株主熱想~Time Capsule Orchestra株主総会議事録~ vol.3

この記事は、茅原実里、CMB、そしてTime Capsule Orchestraを追いかけてきた4人のマニアが、それぞれのバックグラウンドから、茅原実里やCMBの思い出、Time Capsule Orchestraとその未来を語った会議を記録したものである。
会議は四時間に及び、書き起こし原稿は五万字を超える大作になった。話題も流れに流れ、迷走に迷走を繰り返しながらも、認識と結論は大筋で一致するに至った。
参加者全員が55000円のVIPチケットを購入していたことも判明したために、この会議体を「Time Capsule Orchestra株主総会」と呼ぶことになった。

過去分はこちら

「スーパーハンドクラッパーズ」

SATOH:ここまでで、Time Capsule Orchestraにやってほしい曲の話をしました。カバーで何が来るかは、実は一曲だけは分かってるんです。間違いなく来る。キング・クリムゾン「21世紀のスキッツォイド・マン」です(※4月15日の対談収録時点では未公開だったが、4月20日に発表された)。以前にやってた配信で「69年」の楽曲と言っていて、一発で分かりました。ボーカルにエフェクトが入るのはこれしかない。タウンニュースホールの時に馬場ちゃんに「次回はキング・クリムゾンお願いします!」とお願いした結果なのかなと(笑) ただ、他に何が来るかは分からない。
Zoe.:逆にド定番のところとかやってほしいけどな。
トツ:Yesとか? 「Roundabout」、やったら面白くないですか?
Zoe.:信ちゃんが死ぬ(笑)まあ全曲死のセトリなんだけど(笑)
くの:ちょっと全員一回ずつ死んで欲しいみたいな(笑)
一同:(爆笑)
くの:さっき岩切さん死んだから、次は須藤さん死なせてみましょうかとか(笑)そういう感じでセトリ組むのを見るのも楽しいなと。
トツ:でも殺しに来るのは須藤さんの方ですよね。
くの:まあそうなんですけど、たぶん須藤さんが他の人を殺しに行くので、だったら須藤さんももう一回殺されてみたらと(笑)
トツ:自滅しにいくのか、誰か他の人が作った新曲で殺されるのか。
SATOH:死に方を選べ、と(笑)
トツ:自分で行くかどっちがいい? って(笑)
SATOH:あとはYesなら「Close to the Edge」、邦題「危機」とか。一曲18分(笑)
Zoe.:それこそセッション定番曲、「Spain」とかコテコテのものも。馬場さん、パット・メセニーとか好きだから、その辺りを持ってきたら面白い。
トツ:「Cissy Strut」とか。そういうセッションなやつをがっつりやってほしいのは、そう。特にガンタさんのレッスンやライブとかで、ガンタさんがセッション曲をやっているのを何回も見てるから、それにTCOのメンバーが入るとどうなるか見てみたい。
Zoe.:馬場さんもそういうことをやっていたから、あの二人が起点だと、そんな選曲になるんじゃないかな? どちらかというとフュージョン系出身だし。そっちは楽しみ。楽器やってる人向けの選曲だよね。そもそもCMBがO-EASTでやったとき、あそこにいた客の半分は演奏者だと思ってるから、そういう層に向けた選曲はしてくれるだろうっていう期待はしてる。
SATOH:タウンニュースホールの時も、ガンタさんの生徒っぽい人が多かった印象です。
Zoe.:うちのドラマーと一緒に行く予定だったけど、仕事が入って来れなくて、後から配られた(リズムで遊ぼうコーナーの)リズム譜見せたら大爆笑してた。
トツ:せめて音を先に聴かせなさいって(笑)
くの:印刷するんじゃなくて……
トツ:譜面が読める前提って何? って(笑) それが厳しい。
Zoe.:これスクールの教材でしょ?
トツ:うちのスクールにはあの内容はないんだけど、ガンタさんがリットーミュージックから出してた「ノリのクスリ」って本が元ネタっぽいですよ。

Zoe.:昨日、SCANDALってガールズバンドのライブを見に行ってさ、やっぱりアニソン界隈の客はリズム感いいなって思った。TCOに来る人たちはできて当たり前なんだけど。カウント止まって一小節ちゃんとテンポを維持できるだけで、もうイカれてるんだよ
昨日は凄かったよ。カウントから始まって、四小節終わる頃にはもうテンポが一割進んでるの。四拍子ですらそれだから。
SATOH:バンドの音が止まって……?
Zoe.:いや、止まらずに、後ろで演奏してるのに、客のクラップの方がどんどん速くなってるの。
SATOH:曲が流れてて、ファンだけがテンポ速い?
トツ:人のクラップにつられて、どんどん速くなってくるの。
Zoe.:曲の方も速くなっていくんだよ。同期使ってなければドラマーのテンポになるからね。
トツ:クラップが聞こえて、そっちが速くなっていくから……
SATOH:クラップに合わせて加速しちゃうのか。
Zoe.:ドラマーもやっぱり慣れないよね。
トツ:リズムが聞こえたらメトロノームに合わせる感覚になっちゃうから、それでどんどん速くなっちゃう。
Zoe.:ある程度場数を踏んでる人じゃないと、鉄の意志を持ってテンポをキープするのは難しい。ノリのいい曲だとついテンションが上がっちゃうから、そうなるのはわかるんだけど。それを考えると、よく分からないテンポでもついていけてるアニソン界隈の人は凄いな、と。
SATOH:テンポ外れてると思ったら、止めた方がいいですよね。最近のアンコールは声を出さないで手拍子ですけど、これがどんどん速くなっていく。手拍子をやってるうちに、どこかが速くなってきて、それに合わせると、拍手で対応できない速度になってきて、また半分の拍に戻るんですよね。
トツ:波がありますよね(笑) ある場所と別の場所でテンポが違って、拍子がどんどんバラバラになっていく。
Zoe.:なんでリズム取れないのかなーって(笑)
SATOH:あれは面白いですよね。オタク現場だったらサイリウムの振りがあるから合わせられるけど、手拍子だと音になるので(速度が違うため)音と光の差が出る。
トツ:広ければ広いほどそうなるから。
Zoe.:ちゃんとリズムを取るって高等技能なんだなって思った。演奏者が半分っていうのを差し引いても、スーパーハンドクラッパーズはイカれてるなって(笑)
くの:猛者ですよね。
トツ:普通はもっとバラバラになると思うんですよね。
くの:意外とちゃんと揃いますよね?
トツ:あれを初見で出すのはおかしい(笑)
くの:もっと事前に予習動画とか出してくれるのかと。容赦がないですね。信頼されているのかもしれないけど容赦ないな。
SATOH:TCO、微妙な手作り感がいい感じですよね。多分このまま行くんだと思います。この感じでゆるゆると、大きくならない。なっても数百人、まあ新宿BLAZEが埋まったらいいくらい、って感じだと思っていて、それでもまあオンリーワンの音楽ができて、楽しければいいと思うんですよ。メジャーになるようなタイプじゃない。ケニーが燃え尽きるまで。
Zoe.:岩切さんが忙しくなってそれどころじゃなくなるかも。馬場さん・ガンタさんは自分でどうにでもマネージできちゃうけど、岩切さんはこれからの人だから、仕事で引っ張られるようになると大変かもしれない。そもそもああいうタイプのプレイをする人じゃないし……
くの:巻き込まれちゃってごめんね感ありますよね。ほかの三人はともかく、岩切さんがこういう感じで巻き込まれるとは全然思っていなかった。
トツ:そこなんだ、って感じですよね。
くの:ほどよくお付き合いいただければ幸い的な。
Zoe.:まあ、今直哉さんを連れてくるわけにはいかなかった感もあるから、いろんな意味で。
SATOH:その話掘ってみたいんですけど、ちょっといいですか?
Zoe.:最近、山本直哉さんが演奏以外に進出しているという。

SATOH:謎のYoutube、謎のインスタグラム。
トツ:遠藤正明さんのPVとかも作ってましたよね。
Zoe.:どこに向かっているかわからない人になっていて。
くの:いろいろできて凄いとは思うけれど。
SATOH:ソロやってるんでしたっけ? 何をやるんだろう。歌うのかな。
トツ:プレイヤーとしてもですけど、アレンジャー、コンポーザーとしての活動を広げていきたいし、ライブがなかった時期にいかに仕事をするか頑張っていて、最近はVTuberさんの楽曲提供もやっていて、奏みみさんに楽曲提供しています。
くの:方向性を模索しているんだろうなという感じですね。生き残り、コロナとかで大変だったのもあるから。
SATOH:ミュージシャンはみんな2020年から今までは悩んでたんですよね。それぞれに考えて、いろいろ動いて、試行錯誤しているわけですね。

ミュージシャン熱想

Zoe.:メンバーの話に戻ると、「別の世界線のTCO」。歴代メンバーで組んだらどうなっただろうか? という話も面白いかなと。
SATOH:まずヴァイオリンが欲しいですよ(笑)
Zoe.:それはそう。
トツ:出オチ(笑)
SATOH:別にCMBメンバーじゃなくてもいいかもしれない。追加メンバーもあるんじゃないかな、というのも。別の言い方をすると「四人で辛くないですか?」という話しも……
Zoe.:まあやっぱり、もう一人欲しいよね。
SATOH:四人だと絶対休めないし、むしろこの状況だと減る可能性しかないという。
トツ:毎回ゲストプレイヤー呼ぶとか?
くの:ゲストはありかもしれない。
Zoe.:陽介さん呼んで欲しいね。他のメンバーの話だと、ドラマーが髭白さんだった世界線は見たかったな。
トツ:yamazoさんって作曲家の方のYouTube動画に、髭白さんが出てるやつがあって、変拍子楽曲をがっつりレコーディングやってる風景が見られるんです。

Zoe.:ドラム髭白さんになると自動的にベースに二家本さんが来るから。セット運用だからさ。ふたりのTwitterのどっちを見ても、だいたいもう片方も映ってる。
SATOH:そうなると、ガンちゃんが持ってるあの感じが消えるんですよね。
Zoe.:ベースが二家本さんになった瞬間に超タイトなリズム隊になるので、プログレよりはフュージョン寄りになる。
トツ:そうそうそう、テクニカル系に寄る。
SATOH:それは面白そう。
Zoe.:ギターは馬場さんでもしんどそうで、これは見てみたかった世界線でもあるけど、たぶん須藤さんのやりたいこととは違う。
トツ:須藤さんもラフ目な演奏になるから。
Zoe.:あの二人を持ってきた瞬間に「え?」となると思う。
トツ:ガンタさんはもとの打ち込みらしいニュアンスが基本にある演奏ですけど、髭白さんはどっちかと言うとロック系の感じがあったりして。
Zoe.:ベースラインは演奏者によって大きく変わるね。特に最後の岩切さんが一番いじくる人だから、原曲の面影が残ってないケースもあるからね。
トツ:めっちゃ動いてますよね。
Zoe.:コードの捉え方が違うんだよな。不思議な使い方をする。二家本さんはよく動くんだけど、ルートは弾かない。あの人は3度を使うんだ。二家本さんのベースは何が違うんだろうと思ってたら3度を使う。なるほどなあ、と。水樹奈々さんのバックで一回演奏してたのが上がってたけど、なるほど坂本竜太さんとこう違うんだ、というのが分かる。岩切さんはコードトーンに忠実ではあるんだけど、よく分からないところから音を持ってきて「ほおー」となる。
SATOH:聴ける音源で差分が分かるものを出してもらえます?
Zoe.:二家本さんが一番残ってないんだよな、サマチャン一回だけだから。三宅さんはテレビの音源が一回残ってる。
SATOH:音源収集自体が困難なのはでかいな。
Zoe.:夏限定の人は特に。
トツ:ドラムに関しては比較しやすかったんですよね。ほとんど残ってるし、違いも分かりやすいし。
Zoe.:結構違うね。「純白」は特に違う。
トツ:ガンタさんの叩く「純白」のエンディングに関する解説動画を上げてます(笑)

あと、「Shining Mosh」の10/8拍子も、6/8と4/8で切ってるわけですけど、その割り方や取り方も、ベーシストやドラマーで違ってくる。どう聞こえるか、どういう拍子の割り方に聞こえるかが変わってくるから、比較すると面白いかもしれない。それを須藤さんが「違う!」と言うかもしれないけど(笑)
Zoe.:作った本人がどういう意図で作ったのか、譜面をよこせと(笑)
SATOH:須藤さんの譜面、河口湖で見ましたけど……書き方が面白いというか、長い。
トツ:あれ、ちょっとでかいんですよ。
Zoe.:オケ用の用紙使ってるんじゃないかな? それに比べると加藤さんはよくあるセッション譜面で書いてたから……
トツ:「Refreshing Zone」もそうですね、確かに(譜面を広げながら)
Zoe.:あー、そうそう、これね。あの曲本当にイカれてるから。
SATOH:この状況は声だと分からない。凄い会話が横で展開されてるけど、見ちゃいけないやつだ、これ(笑)
トツ:「Funny Combinations」はスクールの発表会の課題曲になりましたよ。
一同:(笑)
Zoe.:なんでやねん(笑)
トツ:5/4拍子(笑)
Zoe.:直哉さんの曲だよね?
トツ:一週間前が発表会だったんですけど、その時「マジンカイザーのテーマ」やったんですよ。「マジンカイザーのテーマ」は須藤さんのアレンジですよね。
くの:そうですそうです。
トツ:間奏に17/16拍子に聞こえる4/4拍子があるんです。普通に取ろうとするとずれていくカンジで。須藤さんらしさがバリバリのサウンドで、発表会のサポートメンバーが非常に苦戦していらっしゃいました(笑) ガンタさんは慣れてるからできる。自分とかは変拍子に慣れてるから気にならない(笑)
SATOH:大分壁が(笑)
Zoe.:悪い教育を受けている奴がいる(笑) 頭が悪くなる大人のプログレトレーニング(笑)
くの:マジンカイザーのテーマは須藤さんらしい須藤さんですからね。
Zoe.:JAM Projectの「鋼の救世主」のオケを作ったんだけど、読んだ瞬間「あ、せやな」と思った(笑) 途中に入るフレーズが、確かに4/4に収まってるんだけど、切り方がおかしい。
くの:JAM Projectの初期は須藤さんや河野さんがプロデュースだったじゃないですか。あのとき、須藤さんのインタビューで「ハードロックにプログレを足した感じをJAMでやりたい」ということで。本人がプログレハードと思っているかはともかく、ハードロック+プログレがJAMのコンセプトだったっぽいので、「鋼の救世主」はそうなるわな、と。
SATOH:その延長で行くと、茅原実里におけるCMBのコンセプトはどんなもんなんでしょう?
Zoe.:それは確かに聞いてみたい。
SATOH:プログレが根っこにあるのも分かるんだけど、その載せ方、認識ってどうだったんだろう。基本的にプログレを推してる感じはありますよね。
トツ:プログレを推してる感じはあるんだけど……とはいえ……
SATOH:純プログレって感じではない。着替え曲の条件があって、かつ盛り上げるって条件があるわけですね。だけどプログレって盛り上げるためのものじゃないんで、キャッチーに短めに切ってますよね。で、ドラムソロ入れて(笑) ガンちゃんが遊べるように作ってある。前半やって、切って、ドラム叩いて、戻ってくる。
トツ:ある意味では、須藤さんが持ってるストックをうまく連続で使うために、間にブレイクが必要なんですよね。メドレーにしたいけどキーがつながらないときに、間の、一回転換させるためのブレイクとしてドラムソロって有効だから、その役割が大きいと思いますね。
Zoe.:ドラムソロ明けると別の曲になってるお得意のやつ。
トツ:前も後ろも「宇宙かけ」なのはいいんだけどさ(笑)
くの:後ろの曲が二曲くらい繋がってるのもありましたね。
Zoe.:その典型が「Open The New Century」じゃん。(ベートーヴェンの)「9番から(ドヴォルザークの)9番、そうつないだかー」って、最初聴いたとき思った。最初に「新世界より」始まった瞬間にそう終わるなとは思ったけど、年末だし。とはいえ、やるかコレ?って。
トツ:「Open The New Century」と言えば聞こえはいいけど、Rainbowの「Difficult to Cure」だし(笑)
SATOH:イントロから同じじゃん(笑)
トツ:何でしたっけ、サマキャン2にもそのまんまの楽曲が……
SATOH:Dream Theaterの「Just Let Me Breathe」ですね(笑) 「Summer Hammer」です。
くの:あれは鍋ちゃんですね。サマキャン3は……In Flames。あの曲好きなんだけど、さすがにあれはちょっとなって(笑)
Zoe.:ごく初期のCMBは明らかにリファレンスが透けてるよね(笑)
SATOH:それ、一回まとめたいんですよ、どうしても思い出せない曲があって、どこかで聞いた覚えがあるんだけどずっと見つからない。
トツ:「Brilliant Knight」、In Flamesの「Deliver us」だ! 流石にそのままだったからCMBサイトにも書かなかったんだ(笑)
くの:須藤さん、わりと作曲よりもプレイヤーなんだろうなって気がするんですね。自分の弾きたいフレーズを曲に入れるところがあって、オリジナルのフレーズがどうこうじゃなくて、とにかくあのフレーズを弾きたいみたいなタイプの人な気がするんです。だから曲を作ると何かのオマージュになったりするんでしょうね。
SATOH:この話を深掘りしたい気がします。B’zの松本孝弘さん、よくパクりって言われるんですよね。で、正直すごいパクってる。だけど松本さんは、ケニーと正反対で、ソロは完全に自分なんです。
Zoe.:あの人は、何弾いても自分にしかならないから。
SATOH:パクっておいてちゃんとアレンジしちゃうんですよ。「Bad Communication」なんて、Led Zeppelinの「Trampled Under Foot」のファンクみを吹っ飛ばしてダンスミュージックにしちゃう。あれは天才的なものがある。いろんな意味で一番ヤバかったのはエアロスミス「What It Takes」を丸パクリしたと言われている「憂いのGYPSY」って曲。イントロ、Aメロはまんまで、Bメロ、サビは自分で作っている。エアロと比べると同じところは多いけど、一応違うところに着地して、余韻も違う。パクリも才能なんだなと。
トツ:許される、という界隈的な特性もあるし、ここはやっても許されるラインがあるから、いかに上手に踏むか(笑)
Zoe.:クラシックの時代から先人のやったことをアレンジして出すのが音楽って界隈だから、ある程度のオマージュは許されるんだけど、曲としてね。
くの:換骨奪胎みたいな。
Zoe.:CMBだって、メジャーでリリースされている曲だって、リファレンス透け透けの曲もあるし。
トツ:みのりんの「PRECIOUS ONE」とスフィアの「明日への帰り道」のイントロがそっくり、ってのもありましたよね? 作曲家が一緒なので気に入ったフレーズ使いまわしている、っていうカンジで。
Zoe.:定期的にみのりんの曲に出てくるB’zソングとか、ひところアニソンで何を聴いても「Rising Hope」が出てくる時代もあったし(笑)  「Everlasting…」あるじゃん。あの曲を作った藤末先生がソロで活動してて、曲提供してて……この曲が、進行完全にまんまなの。

一同:(笑)
Zoe.:これ「Everlasiting」じゃん(笑)
トツ:知ってるなー、これは知ってるなー(笑)
Zoe.:思わず「弾いてみた」出したら藤末先生に見つかった(笑)
俊龍さんもそれやるやん。典型が「灼熱Paradise」と、「アイドルマスター シンデレラガールズ」の「銀のイルカと熱い風」。最後半音転調するんだけど、転調した後の進行が完全に一緒。サビ丸々持っていて、ギターの入り方も全部一緒。「やってんなー」って。俊龍さんは特にそうだな。Sizukのファースト「Dystopia」はほとんど「a.b.y」だし。編曲が神田ジョンさんだったから、まあ藤田淳平サウンドの方向性に近くなるわな、って。
トツ:ああー!
Zoe.:ある程度リファレンスは許されるんだろうな。藤末先生も結構セルフリメイクをよくやるね。まあ、そもそも「Re:Contact」ってアルバムもリメイクアルバムだから。
トツ:あれはそういうコンセプトだからね。
Zoe.:予想通りだったけど、藤末先生の曲が「Key For Life」で来るんだ?とは思った。個人的にはバラードの方で来て欲しかったけど。「a.b.y」はヴァイオリンのいない「暁月夜」だし。
SATOH:こんな話できるのはなかなかないですね。
くの:スペースでやればいいんだけど、絶対表に出しちゃいけない話ばかり(笑)
Zoe.:斎藤さん出てきたらどうする?(笑)
トツ:全員沈黙(笑)

SATOH:それにしても馬場ちゃん、みのりん案件でハワイにまで行くのはどういうことなんですかね? どういう仕事の仕方をしてるんですかね? どこにでも行くのはわかるけど、断らないにしてもほどがあるんじゃないかなと。
トツ:興味あるものは何でも手を出すタイプの人だなあー、とは思う。
SATOH:ハートカンパニーのラジオでやってる、「○○熱想」もそうですよね。
トツ:熱想もそうだし、山もそうだし。
Zoe.:チャンババ村。
トツ:わざわざ免許を取って船までやって。
Zoe.:次は何をやるんだろう。
SATOH:音楽だけでは我慢できないタイプ、視野も興味も広いプレイヤーなんですよね。
Zoe.:プレイヤーだね。歴代のギタリストの中でもうまい方だし。まあトップ2が化け物すぎるのでアレだけど。
SATOH:馬場ちゃんは何でもできちゃうんですよね?
Zoe.:幅の広さでは一番かな? 松尾さんとかもクソ巧い人だけど、アコギ持たせたら馬場ちゃんがトップなんだよ。クラシック出身だからね。
トツ:そうだよな、確かに。
Zoe.:エレキだけ弾いてる分には松尾・鍋嶋組が強すぎるんで。
トツ:ソロとかは、コード進行だけ把握して、アレンジして弾く、みたいな人も多いけど、鍋嶋さんは「みんながCDを聴いてきて、このメロディ、このソロを聴きたいんだから、それをできるだけ完コピする」と昔おっしゃってて、楽曲とファンへのリスペクトがすごいなぁと。
Zoe.:それをフルピッキングするんだよ(笑) 二言目には「この方がかっこいいだろう?」 って。クッソ強い(笑)
トツ:思想の違いとかがそれぞれあるんですよね。
Zoe.:あの二人はトップクラスに巧い。アコギを弾かせるとチャンババって化け物だなって思う。
トツ:ナイロン弦の方がなおのこと強い、みたいな。
Zoe.:そっちの人なんだなって思う。サマキャン4のアコースティックコーナーの「君くれ」、あれはたぶんベスト音源の一つだと思う。イントロのソロは尺も決まってなくて、完全にインプロで弾いたって言ってた。「何も決まってなかったよ?」 って。
SATOH:CMBプレイヤーの話、深掘りしていきましょうか。プレイヤーの話。陽ちゃん、大ちゃんの違いの話とかも。
Zoe.:陽介さんは、この界隈ではとても珍しい人で、シンプルにフロントマンなので。良くも悪くも。
トツ:何を聴いても山本陽介。
Zoe.:岩切さんに近いかな。何を弾いても岩切さん。「よくこれでスタジオミュージシャンがやれたな?」っていうタイプ。だからこそ自分でもバンドやってるし。たぶんバンドマンタイプなんだろうね。陽介さんはそういうタイプだからこそ、ソロやってたり。
SATOH:「コンクリート・レボルティオ」でしたね。
Zoe.:ハイウェイスターを辞めてからどういう仕事の仕方をしてるんだろう? でも声優現場の仕事も戻ってきてるし、よかった。
SATOH:最近では浜崎あゆみさんのコンサートで弾いていたり……
Zoe.:ああいうタイプは合うな。
SATOH:あとAdoさん。ここではケンケンとプレイしている。
Zoe.:懐かしい組み合わせになってるな。
SATOH:CMBのプレイヤーが大成してるんですよね。
トツ:同期演奏に慣れているのも大きいのかなと。Adoさんとか、VTuberさんとか、サウンドの都合もあって同期演奏ができる人がすごく求められる印象があります。初音ミクの「マジカルミライ」もケンケンが叩いてたりしますし。
Zoe.:歴代ギタリストの中では、加藤さんが一番立ち位置がフワっとしてるんだよね。
SATOH:元・Λuciferですから。最近ではジェジュンのバンマスも務めてます。
Zoe.:プレイヤーとしては何が売りか、というと難しくて。何をやっても最低限できるんだけど、山本さんほどキャラが立っていないし、お行儀よいし、馬場さんに勝てるかというとそういうわけでもない。
SATOH:主観ですけど、イングヴェイフォロワータイプですよね。
トツ:それは間違いない。
SATOH:控えめなイングヴェイタイプ、という珍しいキャラクター。オーケストラサウンドにエレキギターを載せた「Reincarnation」は凄くよかった。あれはベストだと思います。
Zoe.:あとは、歴代というわけじゃないけど、クラスタシアのサポートに入ってた人、あの人も味のあるプレイをする。ベーシストがクソ巧かったから。
SATOH:そういえばクラスタシアのライブ、音が混雑してた感じがしましたね。
Zoe.:構成に無理あるもの(笑) 純粋にトリオでやっても難しい構成で、そこにサポートでギターとベースとドラムが入るから。まあまあ大変だよ。下手すりゃそこにボーカルが入るんだから、そりゃグチャるよね。
SATOH:チェロって音域的に厄介なのかなと。
Zoe.:一番厄介なのはピアノだよ(笑) ベーシストが一番ケンカするパートだから。
トツ:ピアノはどうしようもないですけど(笑) そこにチェロがボーンとぶつかるんですよ。
Zoe.:クラスタシアの場合、そこにギターも入るんだよ。ピアノは左手のパートにベース、バスドラが重なるし。
トツ:低音が渋滞してるんですよね。
Zoe.:あのユニットは、下が大渋滞しているところに大先生が悠々と乗ってくる印象だね。
SATOH:クラスタシアは2021年で結成15周年だったらしいですよ。
Zoe.:最近活動してんの?
SATOH:うーん……(笑)
Zoe.:定期的に思い出しては「やんないんですか?」って突っついてるんだけど。
SATOH:やってくれ? やってくれ? 
Zoe.:まあどこまで行っても室屋光一郎の存在があってこそだから。
SATOH:今、室屋さんのプレイを聴くにはどうすればいいですか? 分かってるのは、澤野弘之さんの現場に行けば聴けるということですけど。
Zoe.:表に出なくなったからね。
トツ:わかりやすく前に出ることは減りましたね。しれっといろんなところにいますけど。
SATOH:音楽の日、それとレコ大でも聴けますね。
トツ:CDで聞くなら、「あんスタ」とかですね。あんスタのストリングスは8割方室屋さんです。あんスタのCD全部買ってるんですけど、作詞家にこだまさおりさんがいるし、アレンジャーに大久保薫さんいるし。聴いてみたら聞き覚えのある音がするし。
Zoe.:生で弾く現場は水樹奈々さんのところでも出てないし。ステージの仕事はあまり見ないな。

次回予告

最終回となる第四回では、Time Capsule Orchestraの活動方針について語ってゆく。このテーマが一番白熱したのは、「バンドを長く続けてほしい」「新しい音楽が聴きたい」という情熱ゆえ。ファン視点だからこそ言える過激なことや、マニアだからこそ書ける細かいことをたっぷり詰め込んだ、本記事のメインテーマだ。

おわりに

トークの主題となったプログレッシブロックバンド、Time Capsule Orchestraの初エレキ編成ライブ、その名も「ELEKI de BURN」が6月17日に開催される。同日昼にはトークイベント「TALK de BURN」も行われる。
VIPチケット・グッズ付きチケットとも販売終了しているが、一般チケットは5月13日から先着順で購入できる。
2023年は「太陽と戦慄」「恐怖の頭脳改革」など、数々のプログレ名盤が50周年を迎える年だが、そんな中で、こんな時代に、新たなプログレバンドが生まれてしまったのだ。マニアには、ちょっと覗きに来てほしい。