茅原実里から始めるクサメタル入門

茅原実里さんのライブ配信と同時配信の副音声を聴いていた中で、プロデューサーの斎藤さんから「クサメロ」の話が出てきて悶絶した。
この概念は、とても言葉にしにくいけど、音楽で伝えればある程度伝わる概念だと思う。なので、「クサメロ」という概念と、クサメロあふれるメタルである「クサメタル」というジャンルの話を、例を出しながら表現していきたい。

初級編~「クサい」という感覚について

「クサメロ」とは「クサいメロディ」で、この「クサい」とは何を意味するか。そもそも「クサい」という言葉の定義が必要だ。
漢字で表現すると、これは「臭い」である。しかしその匂いは腐敗臭ではない。私だけの感覚で語るなら、自分の中にメロディが満ちあふれた時、右手を斜め45度でガッツポーズして「うおお!きたぞー!」と叫ぶことを強いられる感覚、である。あまりの悪臭に「鼻が曲がる」ように、その感覚は自ら発生させるものではなく、外部からの刺激によって自然とわき上がってくる(までに慣らされた)状態を指すものである。
しかしこれだけでは、受け手の方で発生する二次的なことを定義しているに過ぎず、そもそもそれが何であるかを定義するには足りない。
一次的にその「クサい」感覚を発生させるものはメロディである。だが前提として、「クサい」という感覚が発生するには、文化的要因も大きいだろうと思う。それでも、語らざるを得ない。

たとえば、「リンゴの唄」。

「赤いりんごに唇よせて~」歌い出しのメロディ、これは紛れもなくクサメロである。メロディそのもののフックがとても強く、「唇よせて」あたりで引っ張り込まれる。もちろんこれは、私の生育歴(1985年・北海道生まれ)も多分に影響しているかもしれない感覚だ。簡単な一般化は避けたいが、私にはそう聞こえるからしょうがないのである。
楽譜的に考えると、この楽曲はずっとマイナーコード。そして引っ張り込まれた箇所のど真ん中に E♭が入っていた。たぶんこのあたりで「クサメロ度」を計ることはできるだろうが、私は楽器を放棄した身で、コードを認識する能力に欠けているため、多くは語れない。

もう一曲例を挙げよう。加山雄三「旅人よ」。

全編がクサメロでできている。このメロディをそのままギターソロにしてメタルに入れても通じる。

どうだろうか。「昭和歌謡はクサメロ」という過激な一般化もできそうじゃないか? そういえばマーティ・フリードマンがこんなことを言っていた。

武田:マーティさんがハワイにいた頃に、八代亜紀さんや石川さゆりさんの中間部のメロディと言いますか、その歌声の歪みがギターソロと同じような作られ方をしていると気付いたんですよね。
マーティ:よくご存知ですね。10代の頃、大物演歌歌手の歌い方を聴いて、その魂がすごくて!言葉が分からなかったのに、感情がズンと伝わってきたので、これが楽器で同じことができたら強い武器になるなと思ったんです。

https://www.excite.co.jp/news/article/TBSRadio_382651/?p=2

この話を聞いてから「天城越え」を聴くと、視点が変わるはずだ。

演歌もメタルじゃん!

ただ、このクサメロに関する感覚が日本固有ではないことは伝えておきたい。ヴィッキーの「恋はみずいろ」(L'amour Est Bleu)

これがわかりやすいクサメロだ、と私は勇気を持って言おう。

中級編~クサメロ増幅器

クサメタルというのは日本人の言葉であり、それをきっちり包含するメタルジャンルは存在しない。パワーメタル・シンフォニックメタル・ネオクラシカルメタル・メロディックスピードメタルなどのうち、日本人の琴線に触れる部分のみが「クサメタル」として切り取られている感覚は否めない。
その上で、メタラーが悶絶する「クサメタル」から、初級編で見た要素が表現されていることを確認する。

1. クラシック要素

これを説明するにはこの曲しかない。ブラームスのハンガリー舞曲第5番。

「クサメロとは何か?」を一曲で挙げるなら、これだ。1:10までの展開は全部クサメロ。いや、違う。この楽曲自体がクサメタルなのだ!
どういうわけかクラシックはクサメロにあふれている……というか、「クサメロである」という感覚に全部引っかかってくる感じがする。

ドイツのメタルバンドAcceptが、フルオーケストラ+バンドで「モルダウ」を演奏している。これはクサメタル以外の何物でもないだろう。

2. ツインギター

メロディの美しさはハーモニーによってより強化される。よりグッとくるのは、ツインギターによるスリリングなハーモニーである。ツインギターといえば、ドイツのメタルバンドHelloween

サビのフレーズがそのまんまイントロのギターリフになっている。原曲ではツインギターでハモっているところを、観客が歌う! 2:13からの間奏は、最高の一言しかない。初代メンバーのカイ・ハンセンも加わった、超重厚なトリプルギターハーモニーを囲んだ大観衆が、ギターソロを合唱する! 
歌えるギターソロはそれ自体で完成されている。普遍的であり、美しい。主観的ながら、たいていはクサメロど真ん中のフレーズだ。
Helloween「Power」には思い出がある。LOUD PARK15でサブステージからフラフラになって戻ってきた時、知らない曲でうとうとした中、ハッと目覚めるきっかけになったのがこのツインギターなのだ。そこからHelloween沼に落ちましたよ。

3. 圧倒的ボーカル

これに関しては必須ではないかもしれない。しかし、ボーカルが巧ければクサメタル感はいっそう際立つ。

ネオクラシカルメタル界最強バンドのひとつ、Ring Of Fire。トニー・マカパインを初めとする超絶バンドの中で、イングヴェイ・マルムスティーンで一躍有名になったボーカル、マーク・ボールズの歌唱力が際立つ。
彼はハイトーンとロングトーンが異様に強く、この唄に関してはもう誰も真似できないだろう。元メンバーをけなすことで有名なイングヴェイすら、マークの歌唱力は高く評価していた。たとえ髪の毛に問題があったとしても……。

クサメロ大国日本の誇る、悪魔的クサメタル。GALNERYUSのSyuと、暴力的歌唱力のFukiの組み合わせは、クサメタルしか生まない宿命にある。音域の広さ、ロングトーンの強さ、異様なハイトーン。この文章を書きながら私はずっと笑っている。あまりの異臭に笑うしかないのだ。

4. 仰々しいストリングス・シンセ

ストリングスやシンセが入ることによって、クサメロ感は醸成される。シンセが入るだけで決定的になるわけではないが、確実に大きな差が出る。
たとえば、デンマークのネオクラシカルメタルバンド、Royal Huntの初期の名曲「Epilogue」。

率直に言って、このボーカル、ヘンリック・ブロックマンは、音域が狭いタイプで、歌声もメタルにしては柔らかい。しかし、それゆえに高い音域に不思議な艶が出る。その感じを、ロシア生まれの鬼才キーボーディスト、アンドレ・アンダーセンが何倍にも増幅している。サビの歌詞は「Someone……」を連ねてゆく形で、これもまた哀愁が漂う。
余談ではあるが、ヘンリックはこのアルバムで脱退。新ボーカル・D.C.クーパーの一音で一オクターブ上がる圧倒的歌唱力と優秀な楽曲群により、日本での人気はさらに加速、名盤「Paradox」として結実する。神をテーマに描いたこのコンセプトアルバムは、今聴いても感動する。

5. スピード

速いことがすべてではない。しかし、優秀なクサメタルは、総じて速い。速さには人を狂わす魔力があるのだろう。その魔力が「メロディックスピードメタル」というジャンルを生んだ。

圧倒的なプレイとスピードは、もはや曲芸の域に達している。特徴的なリフはシンプルすぎてダサい領域だが、すべてのプレイが優秀すぎてみんなぶっ飛んでしまうのだ。その中でも突き抜けるボーカル、マーク・ハドソンの表現力の翼に載ったメロディの美しさたるや!
この曲は初代ボーカル時代の楽曲だが、メンバーチェンジを経てコーラスを全員が取るようになって、美しさに磨きがかかった。新メンバーによる化学反応である。

メロスピといえばSonata Arctica「Wolf and Raven」を忘れてはいけない。初期の二枚があまりにも優秀すぎて、誰もがその影を追い求める、美しくも不幸なバンド。

演奏は荒いし、英語も聞きにくいかもしれないが、これほど爆走したメロディは稀だろう。

6. ストーリー

音楽にストーリー? と思われるかもしれない。しかし、クサメタルはストーリーから生まれることもあるのだ。ストーリーから生まれたメタルほど、バンドの結晶として長く広く愛され続けることになる。その点で最も秀逸なのが、Freedom Call「Metal is for Everyone」

これまで紹介したどのバンドよりもシンプルだが、それゆえにメロディの真っ当さが際立つ。ギターソロも非常に骨太。PVは世界中のファンが参加している。

この曲は歌詞が凄い。
歌い出しから「Metal is for everyone, stronger than the law」である。
日本語にすると「メタルはみんなのもの、法律よりも強い」。この一節だけで世界観がすべてわかってしまう。それに続くメロ(ヴァース)のフレーズが秀逸なので紹介したい。

Welcome to a metal wonderland, where all is one, unite
Here, vikings, dragons, wise men say, "Raise your hands up high!"
Return to the valley of kings and dragons, hear the warriors calling
Open the gate to a magic dreamland, follow the sign
Follow the flame of victory
メタル・ワンダーランドへようこそ、ここではみんな一つ
ここにはヴァイキングもドラゴンもみんないる。賢人が言う「その手を高く掲げよ!」
諸王とドラゴンの谷へ戻り、戦士の叫びを聞け
魔法のドリームランドの門を開き、しるしに従え
勝利の輝きに従え

こっぱずかしすぎて、日本語にするとどうやっても壊れていく言葉たち。究極までに磨き上げた様式美の神髄、と呼んでいいだろう。二行目は視覚的表現だと思う。あたりを見回せば伝説のヴァイキングやドラゴンがいて、それに驚いていると賢人たちが叫ぶ。
余談だが、メタルの歌詞はCD付属の和訳では表現しきれないところが多々あるような気がする。2行目は公式の和訳とは違う約仕方をしたが、どうやっても間投詞を文脈で切り分ける必要があり、しっかりつながらない感じがする。ともかく、英語の歌詞は英語話者にしか分からない、と思わないでもらいたい。Freedom Callはドイツのバンドだし、「メタル・ワンダーランド」「ヴァイキング」「ドラゴン」なんて単語を聞けば、英語が分からなくても笑うだろう。それでいいのだ。
加えて、このフレーズのほとんどがメタル世界の頻出単語であることにも注目である。「Follow the sign」は同じドイツのHelloween「Eagle fly free」からきていることはほぼ確実。世界中のメタルバンドが作り上げてきた世界観を総括して「metal wonderland」と言っているのだ。

全文は以下URLから。

https://genius.com/Freedom-call-metal-is-for-everyone-lyrics

上級編の前に~完成されたクサメタルたち

Sonata Arctica「San Sebastian」

フィンランドの若きヘヴィメタルバンド。哀愁を漂わせながら疾走する、若さあふれる泣きのクサメタル。楽曲も最高中の最高だが、歌詞を知ると、その切なさは二桁上昇する。

Sun of San Sebastian eighteen years young today
She's all I ever dreamed, but now my skies are turning gray
It was good I got to know her well, because it made me see
That the sun of San Sebastian is just too hot for me
サン・セバスティアンの太陽は18歳
彼女をずっと夢見てきた、だが僕の空は曇ってゆく
彼女をよく知れたのはよかった、だって、分かってしまったから
「サン・セバスティアンの太陽は僕には熱すぎる」

身分違いの恋とか、不釣り合いの片思いとか、そういう曲だ。歌詞を考えるとより切なさが溢れてくる。その感情がクサさを爆発させる。

https://genius.com/Sonata-arctica-san-sebastian-lyrics

Stratovarius「Eagleheart」

フィンランドのヘヴィメタルバンド。リーダーだったティモ・トルキの奇行の数々が伝説になったが、キーボードのイェンス・ヨハンソンは手製爆弾でトイレを爆破する、もっとヤバいメンバー。映像はLOUD PARK 2013のもの。ファンがものすごいいい笑顔なのにも注目。イェンスが楽器にアヒルをつけているのにも注目!

聴いてもらえばわかるだろう。どういうわけか、サビがSMAP「世界に一つだけの花」と同じメロディなのだ。これは発売日も前後しているため、単純な盗作ではないらしい。単なる偶然らしいがそれにしてもすごい。同時に、SMAPもクサメロだということがよく分かる話だ。
あとイェンスのトイレ爆破はこちら。たまに見ると元気が出る映像。

BABYMETAL「Road of Resistance」

イントロのツインギターかクサさ爆発。歌い出し前の仰々しい法螺貝、そして始まるWall of Death!
BABYMETALの楽曲はどこまでもシアトリカルで、とにかく絵になり、かっこいい。
サビのメロディ、特に「君が信じるなら」の部分が非常に歌謡曲的であることも指摘しておきたい。洋楽を意識した音楽では捨て去られてしまう、この邦楽感がBABYMETALの特徴といえよう。
それとCメロも注目。メチャメチャ歌謡曲ですよ。

Golden Resurrection「See My Commands」

スウェーデンのネオクラシカルメタルバンド。Youtubeで発見した瞬間、私は優勝した。
約4分間の演奏のほとんどを、今はSabatonのギタリストになったトミー・ヨハンソンのピロピロギターが埋め尽くす。スキンヘッドのボーカル、クリスチャン・リレグレンはドスの聴いた熱唱。Bメロの転調が異常に熱い。サビがわかりやすく誰でも歌えるレベル。PVは「十戒」! ファーストアルバムの一曲目でこんな超絶クサメタルをぶっ込んできた。これは悶絶する。
クリスチャン・リレグレンは、Narnia・Divinefireなど、クリスチャンメタルに全特化したバンドを複数掛け持っている、あまりにも信仰心に溢れたボーカリスト。どのバンドもクサメロど真ん中で、どれを買っても損しないが、日本では超マイナーなバンドだ。

これ、さらに歌詞が凄いんだ。あまりにも旧約聖書の絶対神を表現し尽くしている。

See my commands
Follow them all
You're my creation
I care for you all
Seek in your heart
You'll find the way
See my commands
我が命令を聞け
すべてに従え
汝は我が創造物
我は汝を慈しもう
心に従え
さすれば道は開ける
我が命令を聞け

https://genius.com/Golden-resurrection-see-my-commands-lyrics

Dark Moor「A New World」

スペインのネオクラシカルメタルバンド。

バックトラックが非常に仰々しいが、イントロが二段展開するのが面白い。後半パートでは雲が開けたかのように爽やかになる。メロディが全体的に悶絶するクサみにあふれ、ややクセのある女性ボーカルの唄がさらにフックになる。

上級編~茅原実里がクサメタルである所以

茅原実里「Flame」

「Sing All Love」12曲目。ここまで聴いてくと漂うクサさがわかるだろう。間違いなくクサメタルど真ん中だ。歌い出し直後に入ってくるストリングスがクサすぎる。自由に乗ってくるピアノが猛烈に北欧を感じる。BメロのコードチェンジはGolden ResurrectionやDark Moorでみられた手法だ。どれも優勝。今になって聴くと、完全にDark Moorなのでは?
サビのメロディ、二周目が一周目の一番最後を食って前に出てくるのが気持ちいいですよね。

茅原実里「TERMINATED」

イントロのすべての音がメロディックスピードメタルど真ん中を指している。たとえばJudas Priest「The Hellion」のように、聴いた瞬間に沸くフレーズだ。しかしそこから歌い出しまではわずか16小節しかない。メタルは前奏も長いので心の準備ができるが、「TERMINATED」は、その牙を抜いた途端に襲いかかってくる、恐るべき瞬発性を秘めている。これだけの瞬発性に並ぶのは「Eagle Fly Free」くらいか。

サビパートで注目してほしいのは、ボーカルの後ろでストリングスが第二のメロディーを奏でているところ。茅原実里あるあるなのだが、このクロスオーバーがさらに熱さを生む。というか二重にクサい。また、二番サビ「過去のカルマ」の「a」音が非常に気持ちいい。

茅原実里「animand~agitato」

コーラスを初めとするバックトラックの仰々しさは、まさにメタルそのもの。その分だけ茅原実里の抑え気味の柔らかい歌唱が際立つ。
直観的に似ているなと思ったのが、Nightwish「Storytime」。

ボーカルが変わった直後のNightwish。前のボーカル、ターヤがあまりにも強烈すぎたため、このラインナップは早々に崩壊したが、今聴くと、クセのないシンフォニックにメタルとしては非常に良質。
茅原実里の音楽性、どことなくこのあたりのものを感じるわけです。常人のボーカルがたどり着ける最良の着地点。

茅原実里「Sacrifice for Dear」

隠れたクサメタルスーパーロボットアニメ的な王道アニソン感が凄いが、リフはParadise Lost直系の上、成長したボーカルが冴え渡る。「パパパッパ」という感じのシンセがオブリガードとして全体に撒かれていて、これがすごい90年代のロボットアニメ……キングレコード的な感じを与える。
サビに薄く乗っているコーラスがよい。ギターソロも思う存分暴れてスッと引いていく潔さが素敵。

超上級編~クサメロですべてを押し切る猛烈バンドたち

クサメタルには致命的な弱点がある。クサさを追求すればするほど、バランスのよい音楽からは外れて、暴走していくのだ。しかしその暴走したクサメタルには、独特の輝きがある。というか、中毒性がありすぎて、一般人の尺度をはるかに超えたレベルに爆走してしまう。
メタラーの話がよくわからないのは、だいたいこのあたりの異次元に足を踏み入れてしまったためだ。

Accept「Metal Heart」

イントロがチャイコフスキー「スラブ行進曲」、不穏なリフから始まり、耳をつんざく、ウド・ダークシュナイダーの超個性的ボーカル。個人的にはとても苦手なボーカルなのだが、どう考えてもオンリーワン過ぎる歌声に圧倒される。
だがこの楽曲の神髄は、楽曲のすべてを奪っていくほどのインパクトのギターソロ。過激なまでに唐突に差し込まれる「エリーゼのために」が不気味な存在感を放つ。強烈すぎてクセになる。

Kaledon「New Kingdom」

イタリアのヘヴィメタルバンド。メロディは綺麗なのだが、何かが狂っている。いろんなものがぶちこわしにかかっている。やたら手数の多いドラム、イタリア訛りとハイトーン、さらにポーズが強烈なボーカル、突然激変するテンポ、ずっと他パートとシンクロするギター、教則本のようなギターソロ。
インパクトがありすぎるこのPVがニコニコ動画でアップされた時、ついた名前が「物件紹介メタル」。曲はいいんだよ……。

Opus Atlantica「Holy Graal」

甘いボーカルと不穏なギター、だが一番強烈なのはサビで、コーラスの大合唱とのツインボーカルが唐突に始まる。一枚しかアルバムを出してないバンドだが、時たま猛烈に聴きたくなる中毒性に溢れている。間奏パートは嗚咽がこぼれるほど気持ちいい。

Dragon Guardian「暗黒舞踏会」

一音目から悶絶する。アニソンとメロディックスピードメタルを融合させた、日本固有の究極のチャレンジング企画! 2:40から始まる語りパートは、このバンドの象徴。アルバム自体が一つの物語になっていて、日本語でこの物語を楽しむことができる。
ボーカルは前述のFukiさん。あの圧倒的歌唱力の片鱗が聴けるが、ボーカルのミックスはかなり悪いかな。

クサメロ殿堂入り~Rhapsody「Emerald Sword」

このバンドは世界を変えた。非常にわかりやすいメロディ、壮大な世界観、圧倒的演奏力、すべてがそろったのがRhapsodyだった。

非常に分かりやすいサビにまず注目。ここに要素が全部詰まっている。

For the king for the land for the mountains
for the green valleys where dragons fly
for the glory the power to win the black lord
I will search for the emerald sword
王のため、大地のため、山々のため
ドラゴンの舞う緑の谷のため
栄光のため、暗黒卿に勝つ力を手に入れるため
エメラルドソードを探し求める

「I will search for the emerald sword」という一番大事なワードに対して、すべての「for」がかかっているのだ。「glory the power」も、「glory(, for) the power」と省略していると考え補うことができる。
そして何より、このメロディーは他より低く作られていて、ファンと合唱するパートになっている。当然、ライブでは大いに盛り上がる。

O-EASTの熱狂ぶりを見てもらいたい。やばいぞ、これ。明らかにファンがずっと熱唱している。日本人がこんなに熱唱するライブは、そうそうない。

アニソンに詳しい人ならお気づきだと思う。BメロはJAM Projectの「GONG」だ。エメソはアニソンの礎でもあるのだ!

イチオシのクサメロ殿堂入り候補~Unlucky Morpheus「Knight of Sword」

すでに何回か推しているが、現代のクサメロ第一人者、Unlucky Morpheus。
「Fate stay/night」の世界観を表現したこの楽曲は、どこからどう見てもクサメタル。ここまで掲げてきたクサメロ6要素を完璧に網羅している。唯一の弱点は、レベルが高すぎてまったく合唱できないことだ。カバーするにしても相当な勇気が求められるぞ。

イチオシのクサメロ殿堂入り候補~Galneryus全部

どの曲を推したらいいか分からないくらいの、無限のクサメロの泉!私が最初に出会ったのが「Angel Of Salvation」なので貼っておくが、Syuのギターは存在そのものが泣いている
全曲クサすぎて選べないのだ。

ここで貼ったAngel Of Salvationは、原曲は15分のものを、さすがに長すぎるのでカットしている状態。これでもお腹いっぱいレベルなのが恐ろしい……。

Galneryusは、二代目ボーカル・小野正利加入後の楽曲はどれも聴きやすい。聴きやすい上に猛烈にテクニカルなのが、沼に落ちたら深い。「DESTINY」は異様なハイトーンと明るいボーカル、それと対照的なモンスター的間奏パートがやばい。Youtube版はカットしてあるので注意。

一発目のシャウト「アァァァァァァァァーーーーー!!!!」が小野正利の持ちネタと化してしまった「RAISE MY SWORD」、イントロのギターが猛烈な異臭を放つ。

おわりに

そんな(唐突)茅原実里さんの、最後の河口湖ライブが目前です。
プログレ系演奏陣をバックに、Elements Garden作曲の楽曲を歌いこなす茅原実里はメタル。
クサメロであることは間違いないので、ぜひ配信で聴いてみてください。今からやぞ!

https://eplus.jp/sf/detail/0205440005