君は知っているか、フォレストページを。

かつて、pixivもなかった時代、私はホームページでドリーム小説サイトを作っていた。夢小説と言った方がスマートだろうか。まだスマホがなかったし、イラストも載せたいし、デザインも凝りたい年頃だったので、FC2とかのレンタルサーバを借りて、PCからの閲覧を優先させたホームページを作っていた。

当時夢小説と言えばケータイ小説の亜種みたいなもので、今でも「文章がポエミー」みたいな文脈でバカにする人もいるが、ホモ小説だって同じくらいポエミーなものは山ほどあるから謂れのない誹りである。まあともかく、ガラケーから読む場合が多かったし、ケータイ小説と同じ文法の夢小説が多かったことも確かだ。

夢小説はその性質上、腐女子から目の敵にされることがある。pixivは男性向けと女性向けに分かれており、時にその間で論争が沸き起こることもあるが、夢陣営はその更に下で、pixiv大百科ではかつて「載せる際にものすごく注意を払った方がいいし出来れば避けた方がいい」くらいに書かれていたジャンルである。だから、長年pixivには苦手意識があったものだ。

だが時代は移り変わり、ソシャゲや乙女ゲーが一定の勢力を持つようになった。Twitterが普及し、その中で夢的な妄想やイラストを繰り広げる人も珍しくはなくなり、pixivに夢小説を載せることがそこまで批判されることでもなくなり、いいねまでももらえるようになった。

ところで、夢小説の最大の魅力はなんだろう。私は、「名前変換」だと断言する。初めて夢小説に出会った時、「名前が変換できる」「物語の中に入って、キャラクターと恋愛できる」「好きな人に、名前を呼んでもらえる」と知った時。インターネットに接して、あの時の驚きと感動を超えた事件は、まだない。「お前の名前を教えてくれないか?」実名を入れてナンボである。なんなら、自作した夢小説の夢主の名前は自分のHN(ハンドルネームの略)である。私が地主になったら、JavaScriptの神社でも造営したいくらいに感動したものだし、この機能だけでも随分お世話になったものだ。

2018年現在、私はpixivに夢小説をいくつか載せていて、見知らぬ方々に読んでもらうことが出来ている。それでも、pixivに名前変換機能は付いていない。Twitterでもやりようがない。名前変換のない夢小説は書きづらいし、やはり醍醐味が失われてしまうと感じる。だが、新しいサイトを作るのは手間がかかる。最近のコンテンツは移り変わりが激しいのだ。昔は、話のネタが浮かばない時はサイトの改装ばっかりやるなんてことも出来たが、今は夢小説を書く方に時間を割きたい。そうやって悩んでいる時、友達が言った。

「フォレストページ使えば?」

まだあるのか!と思って検索したら、あった。http://id4.fm-p.jp

フォレストページは携帯向けホームページ作成サービスであり、昔からフォレストで夢小説を書く人が多かった。そして今でも、トップページに「フォレストページで夢小説を書こう!」と案内がある。

最近はスマホが発達してPCをつけるのが億劫になり、すっかりスマホ優先の生活をしていた。何をするにもまずはケータイ、という今こそ、フォレストページを利用するべきではないのか…?私は迷わず登録した。

About・Illust・Text・Linkなんて画像を素材サイトから持ってきて、加工写真を使ったイキりホームページを作っていたのはもう十年以上も前のことになる。平成最後の夏、夢小説が書きたくてフォレストページに登録することになろうとは。時代は変わるが、変わらないものもある。夢小説よ、永遠なれ。フォレストさん、これからどうぞよろしくお願いします。

あなたの感じたことって何物にも代えがたいよね、ってことを一人ひとりに伝えたい。感情をおろそかにしたくない。って気持ちでnote書いてます。感性ひろげよう。