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レトロCM魔改造・100本レビュー:SEASON1

冬野と書いてとうのです。
1年ほど前にこの記事を書きました。

ここで挙げさせていただいた高野政所さんが新たな試みを始めたとのことで……

その名も「レトロCM魔改造」

レトロCM魔改造とは……

いや、説明するより見ていただいた方が早いのですが、定義するなら

昭和~平成の懐かしいCMの音源をREMIXして、それに合わせて編集された映像が流れる動画
(ちなみに編集方針は「トリップする」)


と言えるでしょう。

最初はなんとなく見ていたのですが、この100本ノック、1日1本アップされており、毎日見せられてしまっては
「感想を述べたい!」
という気持ちも募り、加えて
「100本観終わったらあるテーマでnoteに書く」
とツイートしたのを高野政所さんに見つけていただいたので(ありがとうございます!)、取り急ぎ感想をこっそり書かせていただこうと思いました。

前置きとして……
私はクラブに行ったことがないし
音楽のことも昭和サブカルのことも葉っぱの種類のことも全く分からない、
何もかもさっぱりな、ただ文字を書くのが好きなだけの素人です。
なのに何でこんなにハマってるのかは別の話になるので割愛しますが……

そんな奴による、レトロCM魔改造レビューです。

いっぺんに書こうと思ったのですが、
「それ書くのも勿論、読む方もしんどいだろうな」と思い、

上記リストの形式に則り、10本ずつアップしていこうと思いました。

それでは、スタート!

001
ねるねるねるね

全てはここから始まりました。
これを観たときは100本やると知らないで観たので、
「また訳分からん面白いことをやっているな」と思っただけでしたが、
今観直すと『王道中の王道』

「ねるねるねるね」のCMはそもそもインパクトがある映像として一般に膾炙しているので、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
(この後続いていくレトロCMの中でもかなりメジャーな部類に入るかと)

そのインパクトを更に増大させることによって、
「ぶっとぶ」感覚(="魔")を生み出すのが魔改造なのです。
「魔改造はあくまでも素材があっての魔改造」という氏の言葉を正に体現しております。

そもそも、DJの発祥は、パーティーの間、絶え間なく場に合わせて延々とレコードを再生する(つなげる)ことから始まっておりますので、良い素材(=音源、この場合は昔のCM)を見出して、元々15~30秒くらいしかないCMの尺を伸ばすテクニックも、DJならではの力と言えるでしょう。

何はともあれ、まずはこれから観ることをオススメします

002
夕月かまぼこ

音はともあれ、一気にCMの「昭和」感が増します。
昔は今より全年齢的に相撲人気があったためか、レトロCM魔改造シリーズでは、力士のCM出演も多いかなという気がします。

ここでは「朴訥さ」がキーワードになります。
元のCMを見ていただければ分かりますが、この動画は若乃花の歌い方からそのビートとかグルーヴというものが生まれています。それが素朴であるからこその、「改造」の施しようがあるのではないかと考察されます。
朴訥というテーマについては、高野政所氏の配信ACID PANDA BROADCASTにて語られております。(下動画の29分くらいから)

ちなみに動画タイトルについている【キメました】は後述する裏テーマに続いていく布石なので、敢えて記載してあるものと思われます。

003
ヤマハ マイバンド

音楽苦手(とCM中で言われている)ジャイアント馬場氏が
一瞬にしてパーティーの主と化してしまう!
商品の効果を増幅して見せるCMの本質を、さらにenhanceする、それもまた魔改造。

今思うと、締めのダジャレが手つかずのままに(魔改造されずに)残っているというのは、まだ初期作品だなぁと思わされます。
なるべく1分以内に収めるという編集方針もあるそうなので(Twitterに載せられるのがそれまでだからだったかな?)一概には言えませんが……

004
ハイマンナン

そもそもの製品からして、非人工的でヤバそうなムードが漂っています。(こ、これがいわゆる「アシッド」……?)

このCM魔改造の制作に携わる前に、高野政所さんがとにかく「宇宙」にハマっていた時期があり、その世界観(=「宇宙汁」と呼ばれている)が出ている作品。1分過ぎた辺りからスローになるところです。

言葉のリピートが「魔」を生み出していますが、最後には「食べたい、でも食べたい」になる……魔ゲージがピークになる瞬間です。

人工甘味料、映像の対象としての「女性」、今ではある意味contraversialなCMですが、誰かが言っていた、この言葉に尽きるのでしょう。
「結局、人間は食べたいし痩せたい」

005
ユニクロ

もともとのCM自体が面白くて、個人的に大好きな作品。

っていうかユニクロって昔こんなんだったんだ~今はジョナサン・アンダーソンとかとコラボしちゃってるけど~~と思いながら、おばさんの「替えてな!」に笑い続けてしまう。

これもやっぱり下着姿の男女が出てしまう点で、「今じゃ流せないだろうなぁ」と思わされるCMで、それを繰り返し繰り返し見せてくれるCM魔改造。っていうかもっと映像が鮮明だったらYoutubeのアップにも引っ掛かったのでは?と思いますが、そこはレトロ加減でうまくカモフラージュしてくれたのでしょうか。

先にもDJの話をしましたが、情報過多な現代では、「元動画を発掘してくる」こと自体に才能が必要なのではないだろうかと思わされる一作です。

006
ほねっこ


基本的に毎回「知らないCMが来る」というていで観ているのですが、今回は知っていたので、展開に注目することができました。

「反復」は魔改造の基本的な手段ですが(クラブミュージックはそのような傾向が強い気がする)、これは元のCMがゴン太のルーティンが反復されているので、そこをどう変化をつけてくるのか。

基本的にゴン太がほねっこを食べてるところに「魔」が発生していて、「テレビ見て」などのところはノータッチ。犬にとって、骨を嚙む行為が中毒的なまでに「やってしまう」ものなのだと想起させる改造ぶりです。

しかし「あくびして」でめちゃくちゃ笑ってしまうよね。

007
リズムタッチ

この後も多々出てくるのですが、一見しただけでは何のCMか分からないCMというのがあります。
単に「ローカルCMだから」とかでは納得できない、
多分改造されてなくても何のCMなのか分からない、
時空を切り離してしまうと意味が読み取れない、
レトロCMには完全にオーパーツ化した映像というものがあります。

「リズムタッチ」は最後文字で紹介が出るので(低周波治療器)まだいいのですが、それでも初回はこんなヤバい映像を見せられたあとだと見逃してしまいました。

だって商品説明が「頑張りリズムで頑張るリズム リズムタッチ」しかないんですよ。

なんでガソリンスタンドで売ってるのかも、分かりません。

そして企業のイメージギャルの募集。完全に見失います。

これはレトロに限ったことではないかもしれませんが、CMって結構攻めてるものは本当に何言ってるかわからないですよね。商品名を覚えさせるということに特化したCMを「タイトルCM」と暫定的に呼ばせていただきます。(業界用語で、もう既にカテゴライズされてそう)
その意味では「ほねっこ」とかもカブりますけど、あれは犬が食べてるという映像が補足説明になってるのが大きな違いですね。


008
づぼらや

このCMに限らず、レトロCM魔改造の中では名キャラクターになった芦屋雁之助氏の出演。

友達に見せたところ「えっ、あの有名なづぼらや?!それにしても芦屋雁之助って人間って感じの顔をしているね」という意味不明な感想が返ってきました。

でもそれはある意味「魔改造映え」する顔ということでもあったのかもしれません。
また音源も芦屋雁之助氏の声のトーンとリアクションだけで聴かせるものとなっています。(先に述べた「リズムタッチ」とは異なり、「キャッチコピーのリズム」ではなく芦屋雁之助氏の驚きの声を活かして刻まれている点が、その人そのものの個性を生かしているということになります)

こうした魔改造はこの後もいくつか生まれるのですが、まだ先の登場になるので、ここではお楽しみに取っておくことにしましょう。

009
生菓子協会

私のイチオシの魔改造です。
これを書いている時点ではまだ全部公開されていないのですが、TOP10には入るでしょう。

「昭和っぽいCM」の特徴を挙げるとするなら、結構「和風」強めなものが多いということです。
生菓子協会のCMはまさにそのど真ん中を行くところなのですが……
なんでしょうね、この「和×デジタル」の良さ。

魔改造ファン界隈ではあんまり人気なさげ(?)ですが、私はめちゃくちゃ好きです。
野点 野点 野点 野点・・・・・
う~~~~~ん オイシー(chill out...)

「デジタル和」は魔改造に限らずですが、もしかして「ポップンミュージック」から「アンビエント」が好きになった影響かなと思ったんですが(ポップンミュージックでのカテゴリは一般的な音楽ジャンルと異なるので一応記載)
魔改造でアンビエントも何もないだろうという……

多分和楽器と電子音楽(または音がデジタル処理されている)の組み合わせが個人的に好きなんだろうなと思いました。

それと、「デジタル和」は外国人向けの日本のお土産モノ(「パチモンの日本」感)のセンスに通じるところがあると思ってます。「大和魂」って書いてあるTシャツとか。

こういうの、たまらないですね。

高野政所さんもよく配信やTwitterなど語られておりますが、魔改造、ひいては高野政所さんの志向と「パチモン感」は切っても切り離せないので、そういう観点からも面白い一作です。

ちなみにニセモノ愛はこちらの動画の1:22:30くらいから。
「モビルフォース ガンガル」との出会いが嗜好形成に大きな影響を与えたというめちゃおもしろエピソード。


010
大正ゴキブリゾル

もろゴキブリの姿が映っているCM。
こういうのも現代ではクレーム来ちゃって流せないだろうなぁ。

魔改造以前に、冷蔵庫が勝手に後ろに下がっていくのとかが怖いです。
背景が真っ白なのとか、ゴキブリを目立たせるための効果なんでしょうけど、ハイナンマンにしろ、人工的な商品のCMって、登場する人までもどことなく無機的な印象を感じさせるんですが、私だけでしょうか。哲学的ゾンビ的な……。

その無機的な感じに、ドッドッドッドッ……って低いビートがとてもマッチしてるんですよね!極端に言うと踊りたくなるというか、これがグルーヴ感というものでしょうか。映像も、ゴキブリが死んでる様子を逆に直視できる映像になっているというか。

現代の視点から見るとすでに「魔」を感じさせるCMに、加速させる形で生き生きとした魔を乗せていっているタイプの一本です。

以上、レトロCM魔改造・100本レビュー:SEASON1でした!

思ったより書くのが大変だったので、SEASON2以降やるかは謎です。

ちなみに今回ご紹介した10本はこちらから見れます↓

界隈の識者の方々からしたらお見苦しい点が多々あるかもしれませんが、突っ込みとか間違ってるところとかあったら教えていただけると幸いです。



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