夏と言えば

 花火、海、夏祭り――
 「あの夏に乾杯!」というお題を見た時はひと夏の恋みたいな話を書こうと思っていたのに、気付けばまた弱小野球部を描いていました。夏と言えば甲子園ですよね。今もテレビで流れています。

 先日中継を見ていた時のこと。レフトのエラーで得点が入り、母がテレビを覗きにきました。で、画面はバッターが打って外野前までボールが転がったところまでのリプレイ。
「トンネル?」
「いや、お手玉」
 ……よく考えるとこの会話、比喩がすごくないですか? ただのエラーが「トンネル」「お手玉」「バンザイ」といった言葉によって一気に映像的に浮かび上がるんですよ。
 野球用語と言えば、東川篤哉さんの『殺意は必ず三度ある』があります。野球見立て殺人ということで、作中は「タッチアウト=刺殺」とか「ワンアウト=一死」とか物騒な言葉ばかり注目しちゃいますが、逆に「ホームイン=生還」も使えるんじゃないかと今思いました。野球用語ハンパないですね。


 さてさて、先程「また」と書いたように、僕のパソコンの中には『弱小野球部シリーズ』と自ら銘打ってしまうくらい彼らの物語が眠っています。基本的にはどれも青春恋愛小説で野球は関係あったりなかったり……
 『この夏はカンパイ』はシリーズの先陣を切るプロローグのつもりで書いてみました。書きたいことばかり書いたせいで当初のものは完成度が今一つなのですが、手直ししておいおい掲載していきたいと思っています。


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