「ひきこもりは中年以降が多い」って常識じゃなかったの?学歴エリートの挫折とコミュ力と精神疾患

”ひきこもり”について、昨日、朝日新聞の記事がありました。

ひきこもり、40代が最多 支援先は若年層が中心
https://digital.asahi.com/articles/ASMB954RDMB9UUPI00C.html

”ひきこもり”が、従来の対象としていた、20〜39歳よりも、40代以降の方が多いというのは、私は常識だと思っていましたが、そうではないようです(でなければ、新聞記事にならない)。8050問題って、知りません?50代のひきこもりの人の生活を、80代の親が自分の年金で支えているという社会問題。親が他界したら、その人の面倒を誰が見るの?、という話です。

私は、3年前に、オウンドメディアで、似たような記事を書きました。
”ひきこもり予備軍”、あなたの周りにもいるかも…
http://s-yam-gucci.jp/archives/1293

何が問題なのかを、ひと言でいうと、

サポート制度の対象と、需要がミスマッチを起こしているのです。私も、学生時代や、休職していた時は、ほとんど、ひきこもり同然の生活をしていたので、当事者の気持ちは、よ〜くわかる(つもり)。
ものすごくあけすけな言い方をすると、”ガリ勉君”は、一人でガリガリやってきたので、コミュ力(という言い方をあえてする)が足りないのです。だから、社会に出た途端につまづく。関連する記事を貼ります。

学生時代のエリートが挫折する深い理由

別に、誰かを貶めたいのではなく、私がほぼそのパターンでした。

受験勉強にしても、大学での勉強にしても、基本的には自分一人でやるもので、それを突き詰めれば、評価は概ね付いてくるわけです。よく、「みんなで一緒に、自習室で勉強しよう!」という話を聞きますが、私は、そんなのは無理。精神保健福祉士の専門学校でも、周りの人は自習室でやっていましたが、私は一人帰宅して、自室で勉強していました。こういうのは、親の養育環境も影響しているみたいです。

ところが、社会人の勉強となると、”独学”はNG。

MBAなんかが、その典型ですね。題材(ケース)を事前に予習し、授業ではディスカッションをして、学びを深めていく。ちなみに、今、私もそういうのをやっている。MBAの教科書なんか読んでも、何にもわからないから。具体的には、慶應MBAの外部講座に週一で夜間に通っています。
何が言いたいのかというと、”勉強”ですらも、社会人になるとガリ勉のやり方では通用しないのです。そうなると、もう、ガリ勉君が比較優位であることは、何もなくなってしまう。”使えないやつ”というラベリングに、まっしぐらです。

ひきこもりのきっかけになる、就活の失敗について触れると、

私は、合同会社説明会なんてまっぴらでした。大学院の転学が決まって、半年間暇になった私は、就活をしてみましたが、大阪城ホールの合同会社説明会に行ったものの、あの個を圧殺するような独特の重苦しい雰囲気に気持ち悪くなり、午前中の3時間だけでドロップアウトしてしまいました。

会社説明会に行くことも嫌だった私は、これでは到底、内定なんかもらえないと直観し、どこの会社説明会に行っても、必ず質疑応答に手を挙げることを自分に課していました。かなりくだらない質問もしましたが、自分の訓練だと思って、自分に対し、心を鬼にしてやりました。
これだけやって、”売り手市場”と言われた当時に、20社落ちました。周りからは、「なんで?」と聞かれましたが、そんなことがわかっているなら、苦労しない。

何せ、就活どころか、バイトすら、できなかったのです。口の悪い人は、”逃げていた”と言いますが、自分がどういう心理状態になるかを想像しただけで、エントリーすらできなくなる。
ちょっと長くなりますが、自分を含めたそういう人達が、どういうことを考えているかがわかる引用をします(太字引用者)。

別に人間関係が悪かったとかブラックバイトだったとかいうわけじゃない。働いている間ずっとスイッチを入れ続けている、あの感じが本当に無理だった。「ちゃんとしていなきゃいけない」。あの感じがすごく疲れてしまう。
バイト先に行った瞬間、本当の自分を捨ててちゃんとした自分を演じるのが辛かった。社員さんが目を合わせてくれなかったり、コップを少し強く置いたりするだけで、自分が何かしてしまったんじゃないかと考えてしまう、あの感じが大嫌いだった。
自分はちゃんとしているつもりでも、誰かの機嫌を損ねてしまっているかもしれない。じゃあ自分はもっとちゃんとしないと。もっとしっかり演じないと。もっともっと本当の自分を捨てて、だめな自分を見せないようにしなければ。そんな悪循環をどのバイト先でも繰り返した。働けば働くほど、本当の自分はだめなやつなんだという気持ちが強くなった。そんな気持ちが溢れてしまうと、パタッとバイトを辞めてしまう。そして、辞めてしまったことで、より一層自分はだめなやつなんだという気持ちが増していく

もう、感覚的に無理なんですよ。

自意識過剰と嗤うのは勝手だけれど、こういうことをぐるぐる考えてしまうのです。そうすると、防衛本能が働きますから、ドロップアウトするのがベストチョイスになる。そんなことを繰り返していたら、心を病むのは必然です。自分の心に、ぶすぶす刃物を刺しているのだから。そのうち、フィジカルの方も耐えられなくなり、孤立無動な状態になってしまう。心と体はつながっているから。完全に、コミュニケーションの問題です。
バイトですらこうなんだから、企業で勤務するなんて、とてもできないです。もっと理不尽で辛いことが、たくさん起きるわけですから。”拘束”時間も長いですし。

”ひきこもりのトリックスター”と呼ばれる、勝山実さんは、著書の中でこう述べています(太字引用者)。

ひきこもり中年男子に就労支援だなんて、…焼け石に水…がんばれば立派に働けるようになるというのは、でたらめでしょ。……手遅れに早いも遅いもない。…さも、変えられる将来がある人のように、恐怖する必要があるでしょうか。まな板の魚が海に逃げることを考えるでしょうか。就労に対する恐怖は何年も前に過ぎ去ったと気づくべきです。
(「就労支援は違うのです」)
最初から役に立てる人間などいない、ぐずぐず言わず働き続けて腕を磨け、そうすれば役に立てる人間になれる。ほんとうだろうか。自分の代わりはいくらでもいるじゃないか。誰でもできるあってもなくてもいい仕事ばかりじゃないですか。…努力しなければできないことには手を出さない。普通の人があたりまえに、呼吸をするようにやっていることを、死に物狂いの訓練で身につけたところで、生きるのが嫌になるだけです
(「ひきこもりブッタへの道」)

私の知り合いの大学の先生は、専用施設を造って、そこにぶっ込むしかないだろうという趣旨のことを仰っていました。上の引用からすれば、合理的な政策です。社会的に受け入れられる発想かどうかは、また別の話ですが。

私の書いたレビューを、ご参考までに貼っておきます。

ひきこもりの本質は、ここにあるわけです。

だから、若者をサポートの主な対象にするのは、的外れなのです。中年ひきこもりの方が、問題解決は困難なのに、根っこのコミュニケーションの問題に光を当てていないのだから。現実の社会を知らずに、机上の理屈と統計で制度設計をするから、こういうことになる。挫折知らずの霞ヶ関エリートに、そんな人たちの気持ちがわかるわけがない(失礼)。私は、「現場が大事」という考えにはあまり賛同しないのですが(頭でっかちここにあり)、当事者の心理に何が起きているかを理解もせずに、支援なんて、できません。
サポート制度の対象と、需要がミスマッチを起こしている」という、冒頭の意味が、あなたに伝われればいいなと思います。

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山口修司

精神科キャリアカウンセラー。メンタル疾患からの復職を目指す方の、キャリア構築支援をしています。精神保健福祉士、国家資格キャリアコンサルタント・CDA、WLBコンサルタントなどのライセンスを保持。ホームページ→http://s-yam-gucci.jp
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