AERAの"うつ特集"、プロはこう読んだ。

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10月7日(月)発売の、週刊誌”AERA”の巻頭特集に目を奪われたのは、私だけではないと思います。題して、”うつ「予防」と「抜け方」”。本コラムでも取り上げましたが、お笑いトリオ「ネプチューン」の名倉潤さんが、うつ病のため、休養されていました。

名倉さんは、タレントの渡辺満里奈さんと結婚したことでも話題になりましたが、今は、11歳と9歳の子の父親でもあります。その渡辺満里奈さんが、AERAのインタビューに答えました(太字フォントは、全て引用者)。

縛りを外したらもっと楽になる
渡辺満里奈 初告白「夫のうつ」

この特集では、私が特にコミットしている、慢性経過のうつ病は対象としていないのですが、記事の小見出しに沿って、インタビュー内容を見ていきたいと思います。

夫・名倉潤の異変には気づいていた

名倉さんの発病要因は、「2018年6月末におこなった頚椎椎間板ヘルニアの術後ストレス」(ウィキペディア)だそうです。正直、精神科では、私はあまり聞かないケースです。

「手術のあと、明らかに様子が違うなと感じていました……感情の起伏や表情の変化が乏しくなり(…)見ていてすごくつらかったです」

典型的なうつエピソードと、見立てます(私は医師ではないので、あくまで、誌面上の”見立て”です)。名倉さん本人に、どの程度、症状の自覚があったのかはわかりません。
初診では、睡眠障害と見て、睡眠薬を処方されたそうです。が、しかし、

「症状が改善しているとは全く思えませんでした。……もともと神経質で、こうじゃなきゃいけないって思っている人なのに、そうじゃなくなっていた。このまま服用を続けたら廃人になっちゃうかもって、心配になったんです」

薬で意欲減退が現れるのは、よくある副作用ですが、程度が重いと、家族からすれば心配になります。私も、父親が外科で術後薬としてソラナックス(頓服安定剤)を大量に処方されて、飲むのを止めたことがあります。うつサバイバーとして言うと、あんなものは、普通の人が飲む薬じゃない。薬効が強すぎる。

受診には乱暴なくらいコミット

渡辺さんは別の医師にかかることを決意する。脳の血流でうつ症状を調べる医師を探した。……受診に付き添い、名倉さんの普段の様子を詳細に伝え、できる限り薬に頼らない治療を求めたという。……今年春に受診した2番目の医師は「うつ病」と即診断。休養をとるようすすめた。

「薬に頼らない治療」が良いかどうかは、ここでは議論しません。インタビューにはありませんが、初診が誤診(?)だったということも、渡辺さんの行動の要因にあるのでしょう。外科の主治医が紹介したのが、心療内科(必ずしも、精神科と同義ではない)だったのも、名倉さんの症状悪化につながってしまったのかもしれません。渡辺さんが、この点を意識していたのかは、紙面では、わかりません(心療内科の存在を否定しているのではありません。念のため)。

本人は不安で眠れないから、もっと強い睡眠剤がほしいと言うんです。いやいや違うよって。一番身近で観察している家族が言わないと医師にも伝わらない。(中略)一番近くにいる人がよく見て、変化に気付いてあげるのが、初期段階では大切なのかなと思います。

不謹慎かもしれませんが、名倉さんはラッキーだったかもしれません。私が初発の時は、一人暮らしだったので、転院したのは、半年後、その時の担当医師が異動した時でした。その間、悪くはなっても、良くはなっていませんでした。転院後、「治療方針、変えていいですか?」と新しい医師に言われ、飲む薬の種類が、ごっそり変わり、病状は快方に向かい始めました。この辺は、医師との相性もあるので、なかなか難しいことですよね。私のような、医師でない人間には、手が出ない、もどかしい部分でもあります。このようなことで、医師に直談判(?)できるのは、家族しかいません。

休養中に話したこと

自分たちにとって大切なものってなんだろう、豊かに過ごすって、どういうことなんだろうとか、何が目標で、どこがゴールなのかっていろいろ考えましたね。
(中略)
より深く夫の人生にかかわることができているなということと、家族ってこんなふに形を変えていくんだなあって実感しています。……「支える」というのは経済的なことだけでなく、家族になった人間どうし、精神的に深い部分で支え合わないといけないんだなと。その役割は私にしかできないという思いは強くなりました。

支えてくれる相手がいるというのは、とても有難いことです。必ずしも家族でなくても良い。それが主治医でも友人でも、はたまた、私のような対人支援者でもいいのです。もう、誰もが家庭を持てる時代は終わりましたから。

渡辺さんは、こうも話してます。

うつ病をひた隠しにしなければいけない時代でもないなって。かねてから私、芸能界でも働き方改革をした方がいいと思っていました。芸能人は親の死に目にも会えないとか、もうそういう時代じゃない。無理をしないと仕事を失うのなら、別になくなってもいいじゃんって。
(中略)
「生活なんてどうにでもなるじゃん。休みたければ半年でも1年でも休めばいい」ってことあるごとに夫に言いました。

インタビューを読み終えて

インタビューは、見開きA4、2ページでした。そろそろ、”休養”の時期が開けます。このタイミングで、家族がインタビューに答えたのは、何か意味があるのかもしれませんが、現時点では話せないこともあるでしょう。深読みは避けたいと思います。私は、いち対人支援者として、名倉さんが元気になってテレビの前に現れるのを、気長に待ちたいと思います。気長に、です。

※その後、11日のテレビ収録から、名倉さんは仕事復帰されました(出処:オリコンニュース)。下の画像は、その後、東京中日スポーツの16日に載った記事です。

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山口修司

精神科キャリアカウンセラー。メンタル疾患からの復職を目指す方の、キャリア構築支援をしています。精神保健福祉士、国家資格キャリアコンサルタント・CDA、WLBコンサルタントなどのライセンスを保持。ホームページ→http://s-yam-gucci.jp
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