台風だけど出社させた、バカ企業に告ぐーグローバル基準を知らない者は、淘汰されるー


基本的に本コラムは、社会一般のことを評論するものではありませんが、さすがに、今回の台風災害での一部の企業の行動は、頭に来たので、キャリアを専門とする者として、一筆書きたい。

12日(日)、Twitterで、
#台風だけど出社させた企業
というテーマが、トレンド入りしていた。

私の家族がこれでした。

とある公的機関に勤めているのだが、11日(土)の時点で、翌日、交通が麻痺することがわかっているのに、通常出社させるという。スタッフから「帰れなくなる」との声が挙がったが、それに対しての上長の対応は、「シフトを日中シフトにします」。

はあ!!??

「外出することが、命の危険に関わるレベル」って、報道されているんだぞ。
お昼には、電車が止まるんだぞ。何考えているんだ?

電車が止まるので、電車利用のスタッフはお昼までに返し、残ったスタッフで、定時までシフトを回すという。

残ったスタッフは、どうやって帰宅するんですか?
電車が止まるくらいだから、バスだって止まりますよ(実際に、ストップした)。
もちろん、タクシーなんて捉まりませんよ。
状況認識と危機管理とコンプライアンスとガバナンスが、甘いにも程が有る。

スタッフが、シフトが回るかどうかを気にする必要はない。それは、管理者である上長の仕事。命懸けで出勤させるような会社なら、そんな会社は辞めた方がいい。
本人に、そんなことが言えるわけがないから、代わりに私が「帰宅の安全が全く保証できないので、出勤させない」と電話を入れて、12日は強制的に休ませた。

で、どうなったのかと言うと、結局、正午で施設を閉めたという。街中の商業施設が休業になっているのに、そこだけ午前中開けて、何の意味があるのだろう。”公共性”とでも?そんなこといったら、社会でニーズのあるサービスは、全て公共性があるということになる。自分たちは特別だという認識には、ならない。私には、公務員のただの思い上がりにしか見えない。
結局12日は、他の職員全員が出勤したという。まぁ、想定の範囲内。


3.11の時、私は、とあるソフトウェア開発企業に勤めていたのだが、計画停電で鉄道が止まり、出社できなくなった時、「車でJRまで出て出社しろ」「どうやったら出社できるか考えろ」と言われ、かなり困ったのを今でも憶えている(”車”って、何?何で、親の手を借りることを前提にしているの?)。家に帰れなくなったら、どうするんだよ。(とても頭に来たので、翌日、10時出勤なのにも関わらず、始電で出社した。もちろん、時間外手当なんかはなし)。私の周りの友人は、自宅待機になっている人が多かったから、何でうちの会社はそういうことができないのかと訝しんだ。

そして、出社した時、会社の社内メールか何かで、

「大災害の翌日にも関わらず、9割以上の社員が出社し、お客様の大切なシステムを守っていることに、誇らしくなりました」

などと、当時の社長が述べていて、この会社ダメだわと思った(今は、当時とは全然違う分野で稼いでいるらしいので、念のため)。システムの保守プロジェクトに対し、24時間張り付いていないといけない人月の割合は、たかが知れている。全社員が出社する必要は、全くない。その一人を出社させるために、どれだけ社会にコストを負担させているのかという発想が全くない。そういう、融通の利かない、カチコチの企業文化だったのだろう(皮肉にも、その会社は、「自社の企業文化とは何か」を、全社を挙げて明文化していたのだが)。

人命に直接関わる仕事(三次救急医療など)や、インフラ系の仕事(今回のダム放流管理が典型)を除けば、本当に出社が必要な仕事など、ごく一部。ただの、社長のうぬぼれである。


さらに呆れた事例が、ネットニュースになっていた(ソースは、削除された模様)。

内定者の皆さん、お疲れ様です。総務部の○○です。
10/14(土)14:00〜の内定者研修ですが、台風19号接近のため、自由参加といたします。しかし、余程の事情がない限りは参加して頂きたいと思います。
このような状況で何が試されているのか。それはみなさんの、会社への「忠誠心」です。「忠誠心」と聞くと前近代的なイメージを持つ方もいらっしゃるかも知れませんが、要するに仕事への責任感のことです。公共交通機関がストップしそうなら、車で来たり、前日から近くのビジネスホテルに泊まったりなど、そういった「何としてでも内定者研修に参加するぞ」という気持ちを、会社は評価します。
(中略)
なお、今回の内定者研修に参加する先輩社員は、当然自由参加ではありません。社会人として責任を果たすとは、どのようなことなのか、ぜひ先輩の姿をみて学んでいただきたいと思います。

<持ち物>筆記用具、手帳・スケジュール帳、印鑑、夕食

”夕食”って、初めから、帰れないことが前提なのかよ。
こういうのを見て、大東亜戦争の戦艦大和出撃を想起するのは、私だけなのだろうか。ビジネスパーソンなら、『失敗の本質』くらい、読んでいるよね。

”車”とか”ビジネスホテル”とか書いてあるけど、通勤手当が出るのだから、タクシー代もホテル代も出るよね?

当然、ネットでは非難轟々。まとめ↓

先述の私のケースと、そっくりかと。

会社は、「出社するかは、各自の判断で」なんて甘っちょろい対応では、許されない。「危ないから、来るな」と言わなければならないのである。そして、出社させる以上は、確実に帰宅できることを担保しないといけないのである。万が一、帰宅するまでに何かの事故に遭ったら、通勤災害(労災)になる。労働法規を知らないのか?その時点で、経営者失格である。労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)を見よ。

労働契約法第5条(労働者の安全への配慮)
使用者は,労働契約に伴い,労働者がその生命,身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう,必要な配慮をするものとする。

以下のことも知っておくべき。


ところで、先ほど挙げたネットニュースのツイートは、デマらしい。

しかしながら、このツイートが炎上するということは、そういう事例が実在してもおかしくないことの証左だろう。そして、それを未だ、日本人の美徳とするような企業は、今やブラック企業に分類されるのである。ドメスティックな文化は、グローバルでは、淘汰される。

なお、本稿及び本コラムは、いかなる政治的主張とも関係ありません。

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山口修司

精神科キャリアカウンセラー。メンタル疾患からの復職を目指す方の、キャリア構築支援をしています。精神保健福祉士、国家資格キャリアコンサルタント・CDA、WLBコンサルタントなどのライセンスを保持。ホームページ→http://s-yam-gucci.jp
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