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泥中に咲く一輪の白い花(18)

  誰 

翌朝、目を覚ます桜子。「お手洗い」と書かれたドアを開け、用を足す。ドアを開け出ると、男が反対側のドアから出てきた。黒いスーツを着ている。
「……お、おはようございます、、、」やっとの思いで挨拶をした。
「ん?、、、ああ、、、俺は出かける。これがカギだ。」テーブルの上に鍵を置く。男はそのまま出て行った。

桜子、ソファーに座り、天井を見上げる。目の前にはブラインドのかかった窓がある。立ち上がり窓に行く。ブラインドの陰から外を見る。黒い車が下から出て行くのが見えた。
そのまま、目線を周りに向けると、そこはシャッターの閉まった商店や空き地、フェンスで囲われた工事中の土地。少し先には夜のお店らしき行灯のある店。
【お腹、空いた、、、何か買ってこないと、、、】桜子は、財布とテーブルの鍵を持ち、寝ていた部屋から帽子とマスクを手にして、外に出る。
コンビニへ行こうと思ったが、何処にあるか分からない。取り合えず、賑やかそうな方へと歩いた。路地の先にコンビニの看板を見つけ、そこに向かう。
パンと牛乳、おむすび、弁当、コーラを買い、あの部屋へと戻ろうと向かった。
入り口のガラス戸を開けて入ろうとすると、女の人が出てきた。入口で待っているとその女は、
「あれ、、、あんた誰?、、、竜崎さんの何?、、、」と睨みつけられた。【あの人、竜崎さんて言うんだ。】
「あ、、、何でもないです、、、、、昨日、泊めて貰っただけで、、、、、、すみません、、、」桜子、もじもじしながら答える。
「……ふ~ん、、、泊ったの、、、で、竜崎さんは?」薄笑いの女。
「出かけられました、、、」
「そう、、、また来るわ、、、」その女はニヤッと笑って、桜子の横を通り、お店が並ぶ路地方面へと去って行った。
暫くその女を目で追いながら桜子は、、【飲み屋のお姉さんみたい、、、あの匂い、、、昨日寝たベッドの匂いと違ってた、、、】
買ってきた物を食べた桜子、部屋のテレビを見ながら過ごす。そのうち、眠ってしまった。

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