スタミュが私にくれたもの〜7年前と今の私へ〜

「俺は……夢をあきらめる方法なんて、知らない!」


この記事は、とあるアニメの主人公のセリフと、そのセリフを受けたことを忘れた人間が反省のために書き残すものです。

布教を目的とはしておらず、ただ自分の感情を残したいと思っただけのものですので、ご了承いただける方のみどうぞ。





皆様は青春ミュージカルアニメ「高校星歌劇-スタミュ-」をご存知だろうか。

2015年10月に1期が放映されたオリジナルアニメであり、その後もOVA、2期、3期と続き、たくさんのコラボカフェ開催、舞台化等とアニメ原作としては大成功した作品のように思う。

私のような一消費者が業界の中で成功か否かを語るのは烏滸がましいの一言に尽きるが、放映当時の盛り上がりから判断させていただいた。

(※筆者はアニメ2期からリアルタイム視聴をしていました)


今回はそんなスタミュの舞台化作品、ミュージカル「スタミュ」(以下スタミュミュと呼ぶ)に焦点を当てて語ろうと、筆を取った。

正確には、スタミュミュを見た時の気持ちを忘れていた自分を恥じた反省文のようなものである。

スタミュを広めよう!みんなに知ってほしい!という類の初心者向けの頭の良い文章ではないことをご理解いただいた上で閲覧いただきたい。

もちろんこれを機に興味を持ってくれたらすごく嬉しいです。



アニメスタミュ1期、スタミュミュ1stの内容を簡単に説明するのならば、
「バラバラだった高校生達が、一つの目標に向かって切磋琢磨しチームとして完成していく物語」
であると私は思っている。

キャラクター達が名門・綾薙学園への入学を果たした後、更にミュージカル学科に入る為にオーディションを受けることから物語は始まる。

挑戦者はみな実力者ばかりだが、その中に異色の゛彼゛がいる。

主人公・星谷だ。

彼は「昔見た綾薙学園の高校生が踊っている姿が忘れられず、芸術部門のない一般中学から挑戦した」、何とも無謀な、しかしひたむきな青年である。

無事オーディションを通過し、彼を含む5人のチームが結成される……が、彼はそこで疎まれる。

ミュージカル俳優を目指すものとして十分な経験を積んでいないから、ド素人と揶揄され、チームはバラバラの状態から始まった。

後に続く試験を乗り越えなければ、正式にミュージカル学科生になることが出来ないためメンバー達も必死である。

でも星谷は諦めない。持ち前のポジティブさでメンバーに真っすぐぶつかり、分かり合い、いつしかチームはまとまっていく。彼はリーダーと呼ばれるようになった。


試験に向けて順風満帆かに見えたが、ここで大きな事件が起こる。

ずっとチームを支えてきた指導者が、突然行方をくらませてしまった。

途方にくれるチーム。星谷でさえもどうしたら良いか分からず、またチームはバラバラになってしまうかもしれない、そんな不安が付き纏う。


そんな中、状況を知った別チームのリーダー・辰己が星谷を訪ねてくる。

星谷達のチームを称賛する一方で、彼をこうも言う。

「でも、俺たちの敵じゃない」

「生き残るためにチームを引っ張っていくのは、大事なとき、決断をすべきなのは、リーダーの、君なのにね」


そして星谷は再び歩き出す

「俺は……夢をあきらめる方法なんて、知らない!」







このセリフはアニメ原作にももちろんある。

幼いころ私たちは、よく夢について語った。

将来の夢、手が届きそうな身近な夢、子供にとって夢は未知の世界へのワクワクと未来への希望、今努力するための礎に思えた。

青春は若者の、もっと言うなら学生の特権のように語られることもある。

自分の学生時代を振り返れば確かに間違っていないのかもしれない。

与えられる時間や環境を思えば、何かにがむしゃらになるに相応しい年代とも思える。


現に7年前、スタミュ、そしてスタミュミュに出会った当時は学生であり、なんと国家試験を控える身であった。

生来勉強が好きではなかった私はそれはもう血反吐を吐く勢いで苦しんだ。

そんな私を密かに支えてきたのがスタミュというコンテンツだったのである。

「国家試験に合格する夢」を抱き勉学に励む日々ーーー合間にスタミュを摂取しながら、キラキラを浴びながら夢を諦めないよう努力した。

(ちゃっかりコラボカフェのために大阪に遠征したり、丸1日使ってイベントに参加したりしていたので、国家試験を通らなかったらスタミュのせいにされる!と必死だったのもある)


そしてめでたく合格、晴れて社会人になれることが決定した。

その時にはもうアニメ、舞台の続編は決定していたのでハッピー社会人オタクの爆誕である。

アニメ3期放映終了、舞台シリーズ終了まで大いに楽しんだが、それはまた別の話とする。







ここで語りたいのは、その後の話だった。

コンテンツの供給が減っていけば、自然と仲間同士の話題も減ってくる。

リアルタイム視聴している時、現場(イベントや舞台のことを指す)がある期間に盛り上がるのは当然だが、それがなくなれば友人との話題が変わっていくのは当然のことだった。

かつて夢中になったものは、過去の美しい記憶として語られていく。

それが寂しいと思うこともあったが、自分も段々と慣れていった。

そして、忘れていった。


週5日の仕事に忙殺され、新しいジャンルの流行に飲まれて、私の中からもスタミュは薄れてきてしまった。

実際それでも楽しい日々を過ごしていたように思う。お気に入りのアニメ、漫画、ゲーム、アーティスト、舞台、ライブ等たくさんの娯楽がある。

夢中だった日々を慈しむことはあっても、その時の気持ちを思い出すのはもう難しかった。喉元過ぎれば、というやつである。




そして運命の日はやってくる。

2023年10月某日。更新された公式ツイッター(あえてこう書かせてもらう)に表示された、新ミュージカル「スタミュ」の文字。

正直目を疑った。何の冗談かと思った。
でも公式サイトに出る各関係者様の言葉。現実だ。またスタミュミュを浴びることの出来る嬉しさと、美しい記憶が汚されて(※1)しまうかもしれない恐怖。

情報を入れたり入れなかったりして、何とか初日のチケットを(友人が)取った。

下手に感情を刺激しないように、当日までは今まで通り過ごそうと決めていた。






1月下旬、初日。

会場に入り席に着くと、板の上の天井から降り注ぐ5色のライトが目に入った。

緑、黄、赤、青、紫。

それを見て泣きそうと友人に伝えたら、「普段なら(気持ちが)重いってバカにするところだけど、今は笑えない」と自嘲気味に言われた。
開演前アナウンスが終わり、幕が上がる。


舞台上に星谷君が現れた時、歌い出した時、「あ、違う」と思った。

でもそれは決して嫌な感情ではなかった。

彼も星谷君なんだと思った。

そう思えた。


そこからは既存曲だったり、新しい演出もあったりと変わらない点、変わった点があったが

中盤に差し掛かる頃にはすっかり実家のような安心感で観劇していた。

かつて私が愛したスタミュがそこにあると思った。

7年前に私が貰った、キラキラしたものと同じ。

それなのに何故忘れてしまったんだろう。


ただの一観客である私は、スタミュというコンテンツには何の関りもない。

どんなにスタミュが成功しても、私の人生がそれに沿って躍進していくわけではないのだ。

それでも受け取った気持ちを糧に、ちょっと日々の気持ちを前向きに持って行ったり、億劫になることでも頑張ろうと思えたり。

気持ち一つで毎日をキラキラさせることが出来ると気付かせてくれたのはスタミュだったし、それが当たり前にあった期間がどんなに恵まれていたか、今なら分かる。

当時は供給が当たり前だったから、頑張ることは出来ても感謝出来ていただろうか。




どんなコンテンツでもそうだ。

私たちは消費者として利益を生み出しているかもしれないが、そこにあることに感謝を忘れず、それを伝えていきたいと強く思った。
(改善してほしいところをご意見として公式に送ることももちろん大事だと思います。アンケートには色々書いた)





この文章を書き始めたのが月曜日であり、仕事中に書き進めているのだが(仕事しろ)
木曜日現在、既にちょっと自分の中でキラキラが薄れ始めている。
忘れないと決めたばかりなのに……これだからキャパシティー極小のオタクは……

スタミュミュのある週はあっという間に過ぎるのに今週はとても長いです。





今この問題を解決できる手っ取り早い手段は、週末に行われる京都公演を観劇することだが、今回はあえてそれを選ばずにやり過ごそうと思う。

知人との約束をブッチすることも一瞬だけ考えたが(駄目です)、京都公演でキラキラを浴びたところで来週の水曜日あたりにはまた同じ現象に陥ることは想像に容易い。




今解決したい根本的な問題は

「いかに長くスタミュのある時代に感謝をし続け、受け取ったキラキラを生かす人生を継続していくか」である。


良い解決方法がありましたらご教授よろしくお願いします。

配信、円盤、アクスタは購入予定なのでそれで延命します。

スタミュ、新スタミュミュの益々のご発展をお祈り申し上げまして、当雑記を締めさせていただきます。



最後に

★★★★★俺たち、スターダスト★★★★★






※1:良い表現が見つからずこのような言葉を用いてしまいましたが、もし新しいものに不満があっても割り切っていたとは思います。

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