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私が片道1時間かけてバイトに向かう理由


阪急河原町から徒歩8分。大通りから少し中に入り、何本か歩いた先にあるのが、スペイン料理Tato。私のバイト先。

大学3回の春からバイトを始めてこの3月で丸2年経った。そして大学を卒業し、京都を離れた今も月1.2回はバイトをしに大阪から通っている。


「片道1時間かけてバイトをしに行っている」と言うと驚かれることがある。でも私としては辞める必要性が出てこなかったから続けている、というだけだった。
あと理由をあげるとするなら、ただTatoでの時間が楽しいから。


この店には底抜けに明るい、タトという店長がいる。この人と同じ空間にいるといい意味でお客さんはみんな日本人らしくなくなる。


例えば昨日も、英語が全然話せないおじさん(常連さん)がカナダから来たカップルに話しかけ、Google翻訳を使いながらどうにかこうにかコミュニケーションをとっていた。カップルが嵐山に行ったことを伝えると、俺の家はそこからすぐ近くだよ!と話し、笑いあう。めちゃくちゃ楽しそう。混ざりたい。笑
最終的には連絡先を交換し、みんなで写真を撮っていた。帰り際におじさんは「ここに来るといつも新しい世界に出会える」と言っていた。


日本人のお客さん同士でも交流がある。昨日もいつのまにか知らない人同士で会話が始まり、話しているうちに、お互いの働いているエリアが東京の中でもだいぶ狭い範囲で同じだったことが判明し、また会う約束をしていた。あまりにも最初からそのグループで飲んでたんじゃないかと思われる馴染み具合にみんなで笑う。


それもこれもタト(店長)がもたらすいい影響だと思う。

彼はお客さんが入ってきたとき、「いらっしゃいませ」と言わない。初めて見る人には「よう!元気ー?」、久しぶりにきた人には「どっかで見たことある顔やなー!」そんなふうに声をかけるから、かけられた側も笑ってしまう。そしてそこからいろんな会話が生まれる。

国籍も、年齢も超えて知り合いになれる。なっていい。そんな空気がある。
そしてまたTatoに来て知らない人と繋がったりもできる。ゆるやかなコミュニティ的役割を持っている店だと思っている。


時にはお客さんもスタッフも交えてみんなでDespacitoを踊り、Queenを歌ったりもする。そんな時間が私はとても好きだ。

(昨日のまかない。これにビール。ばっか美味しい)


あと、私はTatoで働いている時タトがスペイン人だということを忘れている。約20年日本に住んでいるのでバリバリの関西弁を話すということもあるけど、スペイン語を話す姿を見ていても、タトがスペイン人だということを意識するタイミングはほぼ無い。これも本当にTatoで働いてよかったと思うことの1つ。


今思うとTatoで働く以前の私は、必要以上に外国人を「外国人」と認識していた。言葉が通じないから、文化が違うから。どこかで「外国人」というフィルターをかけて外国人を見ていた。でもTatoで働いて、タトや世界各国からくるお客さんと話して、目の前のその人をただ「その人」として見られるようになったし、「なんだ同じところはたくさんあるじゃないか」と違いよりも共通点を見つけられるようになった。


こんな風にバイトをしてる感覚なく、いろんな人と話したり、ご飯を食べたり(お客さんと一緒にまかない食べたりもする)しながら楽しい時間を過ごせる場所。
だから辞められないんだなぁ。改めてそんなふうに思った。


きっと今日もみんなで楽しい時間が過ごせるはず。
https://www.google.com/maps/place/Tato/@35.0061635,135.763541,17z/data=!3m1!4b1!4m5!3m4!1s0x600108915aad1321:0x36a2bd6b09b196f3!8m2!3d35.0061591!4d135.7657297?hl=ja

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