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インドネシアのユニコーン企業GO JEKとは? 事業内容や資金調達についてまとめてみた

こんにちは、東南アジア生活4ヶ月目のShodaiです。

今日はインドネシアで圧倒的成長を遂げている大注目の企業、GO JEKについて見て行きましょう。実はインドネシアってユニコーン企業が4社もあって、めちゃめちゃ伸びてるマーケットなんですね。

日本にいる方にはあまり馴染みがないと思いますが、東南アジアではUberやGrabと言った配車サービスを使っての移動が主流です。ちょうど2018年3月にGrabがUberの東南アジア事業を買収しまして、Grabの市場独占化を心配する声もちらほら。

そんな中、インドネシアの配車サービス市場では、Grabの猛攻を迎え撃つ強力なローカル発のスタートアップ企業が存在します。GO JEKです。

結論から言うと、GO JEKは競合Grabと比べて資金調達額では劣っているものの、インドネシア国内のみで事業展開しているため、限られた資金・リソースを最大限活用し、多様なサービスの提供・幅広いユーザー層の獲得に成功しております。

以下でGO JEKの簡単な概要から、事業内容、資金調達の流れを見ていきましょう。

GO JEKとは

GO JEKは2010年にNadiem Makarimをはじめ、3人の起業家によって創業されました。配車サービスの競合と比較すると、Uberの創業が2009年、GrabとLyftが2012年なので、かなり初期から市場に参入していると言えます。

始めはバイクの配車サービスからスタートしましたが、現在ではGO JEK (配車、物流、フードデリバリーなど)、GO PAY (モバイル決済など)、GO LIFE (家事代行サービス、出張マッサージなど)の3つの事業を軸にビジネスを拡大させています。

GO JEKは"Creating Social Impact Through Technology" (テクノロジーを使って社会に大きなインパクトを与える) をミッションとして掲げ、バイクのドライバーをはじめ、あらゆる分野で雇用の創出に大きく貢献しています。

TECHINASIAの記事によると、2017年9月時点のGo Jekのドライバー数はなんと65万人。Grabのドライバー数は公表されていないので単純比較は難しいですが、ドライバーだけで65万人もの新しい雇用を生み出したってすごいですよね。

では、なぜGo Jekは短期間でこんなにも成長し、ユニコーン企業にまでなれたのでしょうか。大きく以下の2点が理由としてあげられます。

1. 急速かつシナジーを生かした事業の多角化
2. 世界中の有名企業・投資家からの資金調達

では1つずつ見て行きましょう。

1. GO JEKの事業多角化戦略

GO JEKは、元々バイクの配車サービスから事業を始めていますが、現在では3つの事業を中心に、なんと16ものサービスを展開しております。

こちらがサービスの一覧。配車サービスから派生して、宅配、オンラインショッピング、モバイル決済、家事代行サービスなど、本当に様々なサービスを展開していますね。以下で詳しく見て行きましょう。

(1)GO JEK

GO JEKはバイクの配車サービスで培ったドライバーのネットワークやユーザーデータを駆使し、配車・物流などで幅広くサービスを提供しています。GO RIDE (バイク配車)、GO CAR (タクシー配車)、GO FOOD (フードデリバリー), GO MART(日用品EC), GO BOX(宅配), GO TIX(イベントや映画のチケット予約), GO MED(薬局から薬を家までお届け)。巨大なドライバーネットワークを築いているGO JEKだからこそ成せる業ですね。

競合であるGrabも、2018年4月時点ではインドネシア、タイのみですがフードデリバリーサービスを提供しています。UberはUber Eatsが日本でも有名ですね。GO JEKはまだインフラが先進国ほど整っていないインドネシアで、ここまで多様なサービスを展開できているのは驚きです。

2016年には日本人に馴染みの深いチャットアプリ「LINE」がインドネシアでGO JEKの配車サービスをアプリ内に導入したことで話題になりました。アメリカではFacebook MessagerがUberと、中国ではWeChatが中国発配車サービスDidi Kuaidiと提携し、事業を拡大させている中で当然の流れとも言えます。(詳しくはこちら

(2)GO PAY

GO PAYはモバイル決済のサービスです。元々GO JEKの運賃支払い用の機能でしたが、そこから派生し、現在はGO BILLS(毎月の電気代等の支払い)、GO POINTS(GO PAYの使用時に得たポイントを割引に使えたり、お得なサービスに使える)、GO PULSA(スマホ料金の追加チャージ)を提供しています。

競合のGrabはどうでしょうか。Grabは国によって提供しているサービスの幅が違うのですが、インドネシアでは運賃支払いの際のモバイル決済のみ導入しているようです。登録したクレジットカードで支払いができたり、事前にGrab Pay上にお金をTop Up (プリペイド)しておくと、割引価格で乗れたりできますが、GO JEKでも同じような支払い機能が備わっていますので、差別化ポイントとは言えないでしょう。

日本ではLINE Payが似たようなサービスを手がけています。やはりモバイル決済関連はネットワーク効果が期待されるので、すでに一定のユーザーを獲得しているLINEやGO JEKなどと相性が良いですね。個人的にはGO JEKが個人間送金にも力を入れて行くのか、今後注目していきたいところです。

(3)GO LIFE

GO LIFEは忙しいビジネスパーソン向けのサービスと言ったところでしょうか。 GO MASSAGE(出張マッサージサービス), GO CLEAN(掃除代行サービス), GO AUTO(出張型自動車修理サービス), GO GLAM(スタイリスト出張サービス)を提供しています。「忙しくてマッサージに行ったり、おしゃれなネイルをしに行く時間はないけど、来てくれるならぜひ頼みたい!」などの需要に対応している感じですね。

サービスの質にも力を入れているようで、マッサージ師や自動車修理士は、三年以上の経験のある人の中から選抜して選んでいるそうです。マッサージに関しては6種類のマッサージから好きなものを選べたり、スタイリスト派遣だとネイルからヘアセット、メイクまで、とにかくサービスの種類が豊富なのも非常に魅力的。

競合のGrabやUberのサービスは、GO LIFEのサービス領域にはまだ手を出せていないようですね。GO JEKは2015年の資金調達後にこれらのサービスをリリースしているので、市場初期参入による優位性は、今後Grabがこの市場に参入してくる際に強みとなるでしょう。

2. 世界中の有名企業・投資家からの資金調達

GO JEKは上場企業ではないので、投資家からの資金調達や会社の利益によって事業投資を行なっています。未上場でありながら時価総額が3000億円を超えていると言われているGO JEKですが、残念ながら資金調達に関して一部情報が公表されていません。

ここでは可能な限り流れを追っていきましょう。

2015年10月  カリフォルニア発のVC企業Sequoia CapitalやRakuten Ventures等から資金を調達(金額非公開)。直後にGO MASSAGE、GO CLEAN、GO CLAMの3つの新規サービスをリリースしました。

2016年8月 既存の投資家に加え、KKRやWarburg Pincus、Farallon Capital、Capital Group Private Marketsから、総額550Mドル (600億円ほど)を調達。この時点で時価総額は1.3Bドル (1500億円ほど)となり、創立から7年目でユニコーン企業入りを果たしました。(詳しくはこちら)

2017年5月 中国3巨頭の一角であるテンセント等から総額1.2Bドル(1400億円ほど)を調達。この時点で時価総額はおよそ3Bドル(3000億円ほど)超えと推測されました。(詳しくはこちら)

2018年1月 上記の調達ラウンドにGoogleやシンガポールの国有投資会社であるTamasek等の参加が明らかになりました。ちなみにTamasekは競合であるGrabのシリーズAラウンドに参加しています。

この時点で競合のGrabは総額4Bドル(4500億円ほど)、Uberは驚異の20Bドル(2兆円)以上を調達しており、世界で最も高額の資金調達を行なった未上場テック企業となりました。(詳しくはこちら

GO JEKの事業多角化戦略と資金調達から推測できるコト

公開されている限りでは、GO JEKは世界中の超有力テック企業や機関投資家、VCなどから総額2000億円以上を調達していることになります。かなりの金額を調達しておりますが、競合のGrabやUberと比べるとかなりビハインド。

ですが、GO JEKはあえて海外展開せず、インドネシアマーケットのみに特化することで競合よりも多くの新規サービスを提供し、幅広いユーザー層の獲得・ユーザー1人当たりの単価をあげることに成功しています。

最後に

以上、簡単にですがGO JEKの事業内容と資金調達についてまとめてみました。

僕はタイとベトナムに住んだことがあるんですが、東南アジアって都市部と地方で、インフラ環境とか人々の教育レベルが全然違うんですよね。だからGrabにしてもUberにしても、主要都市ではうまくいくけどそこから地方に進出できない。

ですがGO JEKはすでにインドネシア国内50都市でサービスを提供していて、今後もどんどん拡大させていくのだとか。こうやって地方でもどんどん雇用が生まれて、人々の生活レベルが上がっていくのは素晴らしいですね。今後のGO JEKの活躍にますます期待!

ここまでお読みいただきありがとうございました。「GO JEKのこういう情報を調べて欲しい」や「他にもこういう企業を分析して欲しい」等ありましたらこちらにDMしてくださーい。

ではでは。


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