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ぱにたん!

2016年12月26日からずーっと考えていたことの総括。

スマヲタかつサタスマ厨なわたしにとって、中居くんは長いこと、遠い存在ではなった。
いや、こう書くと語弊があるか。もちろん、中居くんは決して近い存在ではない。本人も言うように「手の届かない」存在であるのは重々承知だ。それでも、中居くんには”中居くん”と呼びたくなるような親しみやすさがある。20代の小娘が40歳をすぎたタレントを”くん”付で呼ぶのもおかしな話だけれど、それでもそう呼びたくなる何かを中居くんは持っている。

勝手に抱いていたそんな親近感が少しだけ薄まったのは、舞祭組を追うようになってから。
キスマイでフロントに立てない、いわば「後列アイドル」だった4人を不憫に思った中居くんが彼らに曲を与え、歌割りを与え、活躍の場として与えたのが舞祭組というグループだった。そこでの中居正広は、”中居くん”とは呼ばれない。プロデューサー・中居正広は、あくまでも”中居さん”だ。実際、「棚からぼたもち」をはじめとする舞祭組の楽曲は”なかいさん”という名義で作詞・作曲されている。
自らの一存のように舞祭組に曲を与え、オリコン1位を目指させ、達成できなければスカイダイビングをさせる。そんな中居正広は、わたしが知っている”中居くん”ではないように見えた。

そんな4人が、中居さん、もとい中居正広への感謝を詰め込んだ曲が、「道しるべ」だ。
本人たちがそう言っているわけではないけれど、断定して良いと思うので、言い切ってしまうことにする。

やわらかなピアノのイントロに、ヴァイオリンの温かい音が重なる。今までの曲と同じグループの曲とは思えない。初めて聴いたとき、”ちゃんとした”バラードのイントロにハッとした。この4人は本気で、伝えようとしてるんだなと。もちろん、今まで本気でなかったとは思っていないけれど、今回は違うぞと。

聴き終わって最初に思ったのは、「ありがとう」だ。舞祭組のファンとしてより、SMAPのファンとして、心からそう思った。
スマスマ最終回直後の「レコメン!」で、寂しくて、悲しくて、やりきれない気持ちで聴いた曲だった。歌詞に散りばめられたメッセージがすごく温かで思わず泣きそうになって、と思ったらサビの最後に〈ぱにたん〉。もう、可愛くて仕方がなかった。中居くんが作った〈ぴろぴろぱにたんすーりすり〉という意味不明な文字列を、祈りの言葉にしてしまうなんて。中居くん、貴方にはこんなに慕ってくれる後輩がいるんだ、本当に良かったね。そう思った。

4者4様に感謝の想いを述べる、中盤のセリフ部分。バックで流れる間奏がそれぞれのキャラをうまく表していて興味深い。宮田くんには"王子"にふさわしい、気品漂うピアノ。二階堂さんには、指揮者が棒を強く振る様子が目に浮かぶ程にドラマティックなフレーズ。横尾さんには軽快だけれど落ち着いた楽節が割り当てられ、千賀くんには優雅で壮大な旋律。アレンジャーさん、良い仕事しすぎ。

何より、フルで初めて聴いた時に、このセリフに凄く凄くハッとした。

僕が大好きな人が決めた事だから、受け入れるよ。
笑顔をくれたように、僕も笑顔を届けるよ。
泣いたって仕方ない。

わたしはずっと、大好きな5人に起こった出来事を"受け入れる"ことができなかった。
夏のラジオでコメントを読み上げるのを聴いても、ビストロで「最後」と口にしたレディ・ガガやタモリさんを見ても、最終回で涙する中居くんを見ても、サムガで「バイバイ」と叫ぶ中居くんの声を聴いたときでさえ。
わたしよりも近くで中居くんを見ていたであろう二階堂さんは、「2016年終わってほしくない」と口にしていた二階堂さんはどんな想いで、この言葉を綴ったんだろう。
MVで、笑顔でこの言葉を発していたのがあまりにも印象的だったのだ。

なんで笑顔になれるんだろうって思って、蓋をしていた自分の気持ちをもう1回開いて、それからしばらく色々考えた。

2016年、あまりにも色々なことがありすぎた。何がどこまで事実だったのか、わたしには分からない。知りたくない。
一つ思うのは、もしかして「無理やり存続させよう」と思えばできたんじゃないかなって。5人はプロだから、確執があろうがなかろうが、体制が変わろうが変わらなかろうが、SMAPとしての仕事はできたはず。たくさんの声が届いていたことを知っているのであれば、なおさら。
続けたいと思ったにせよ、思わなかったにせよ、無理な存続を選ばなかったのは5人自身なんじゃないかなって。だったらわたしも、それを受け入れる。
もうずっと会えない、とは思ってない。またきっと会える。だけど、だから、今は泣いたって仕方ない。

二階堂さんの「大好きな人」、中居さん。わたしにとっては憧れの大人である、中居くん。

名前が変わったばかりのラジオ「on&on air」で、中居くんは「道しるべ」を流した。初めて流した時にはタイトルすら紹介せず、2度目も何も感想を言わず。3回目にしてようやく感想を言ったかと思ったら「つまんない!」だ。自分の手を離れて始めて1位を取ったから、「つまんない」。5作目はまた自分がやろうか、なんてぼやいて。挙句、「つまんないからもう1回掛けよう」。照れ隠しのように繰り返されたそのツンデレは、わたしが慣れ親しんだ"中居くん"その人だった。
舞祭組を好きになって、よく見えなくなったと思った中居くん。本当は誰より優しくて、ファンやメンバーや後輩のことを思っている癖に、それを隠そうとして。だけど、皆その人柄を知っているからこそ、周囲から強く慕われる。舞祭組の4人もきっと、そういう中居さんを見てきたからこそこんな歌を作ったはずだ。

「道しるべ」で描かれた中居くんの姿は、わたしがずっと見つめていた中居正広そのものだった。どうして今まで気づかなかったのか、不思議なくらい。
"中居さん"と"中居くん"が、ようやく重なった。

1月の半ばに、仙台で行われたリリイベに参加して、舞祭組のメンバーとハイタッチをしてきた。
メンバーと間近で会えたのはあまりにも一瞬で、声を掛けるにも一言が限界だったし、何より頭が真っ白になってしまって「ありがとうございます」と呟くのがやっとだった。だけど本当は、二階堂さんに伝えたかった言葉がある。

「あなたの言葉と笑顔に、たくさん救われました」

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