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【タイ文化】ボーナスナゲットはナムジャイか?

カナダのマクドナルド店員が、2年半にわたり『10個入りチキンナゲット』に、店に内緒で11個目の“ボーナスナゲット”を入れていた犯罪行為が、タイでも話題になっています。タイ人の反応はおおむね「彼はナムジャイだね」(やさしい人だね)です。

日本語記事

タイ人の反応

タイでビジネスをしていると、このような「会社の利益を犠牲にして、自分がええかっこしたがる」従業員に、しばしば遭遇します。

本人は「いい人きどり」ですが、結局は、ルール通りに買っている他のお客さんにコスト転嫁されます。

タイ語教室にて

私自身、タイ語教室を経営していますが、生徒さんではないシニア日本人男性を教室に入れて、パソコンの再設定をしてあげていたタイ人講師がいました。

本人は「ナムジャイ」(やさしさ)のつもりですが、本当のナムジャイなら、時給の発生しない勤務時間外に、教室の外でやってください。

“ボーナスナゲット”の問題もそうですが、タイ人のナムジャイは、「自分の懐が痛まない」範囲内で発生するケースが多いように感じています。

長距離バス発着所にて

自宅近所の長距離バス発着所には、サムローが常時15台ほど待機しています。

長距離バスが着くたびに、10人以上乗客が降りてくるのですが、腕力の強そうな運転手さんから先に乗客をとってしまうので、一番気の弱そうな運転手さんは仕事がまったくとれません。

端から見ていて「少しはナムジャイで乗客を譲ってやれよ」と思うのですが、こういうケースでは、なかなかナムジャイは発動しないようです。

シラチャの工業団地にて

一方、以前働いていたシラチャの工業団地では、「身を切るナムジャイ」をしばしば目撃しました。

会社が派遣切りを行うと、正社員たちがそれに「かわいそうだ」と抗議をして、残業拒否を行うのです。

製造業の世界では、残業は「生活残業」と呼ばれ、残業代なしには自分の生活が非常に苦しくなります。

本当のナムジャイは、あるのです。

親族経営の飲食店にて

私は、毎日、タイ人親族経営の飲食店を、30分ほど手伝っています。

以前、自分の仕事が忙しくて、手伝いを休んだところ、「あなたはナムジャイじゃない」と非難を受けました。

私でなければできない仕事ではなく、「お金を払って雇っている店員にやらせればいいでしょ」というのが本音です。

しかし、「郷に入っては郷に従え」あるいは「タイ人親族とのコミュニケーション」と割り切って、毎日手伝っています。

プロンポンの飲食店にて

BTSプロンポン駅直下の飲食店では、営業時間終了後に、残飯を袋に入れて配っています。

貧しい人たちへの「ナムジャイ」です。

普通のタイ人は、プライドがあるので、残飯はもらいません。

タイ人はナムジャイなのに、なぜ格差は広がるばかりなのか?

実際、タイ人富裕層は、恵まれない人たちに対して、巨額の寄付をしています。

宗教上の理由と、節税目的のためです。

それなのに、なぜタイ国内では、経済格差が広がるばかりなのでしょうか?

それは、タイ人貧困層は、目先の現金を欲しがるからです。

富裕層から恵んでもらった現金は、「食費」「酒」「宝くじ」「ヤーバー」(麻薬)に消えます。

それでは、格差がなくなるはずがありませんね。

国家の根幹は「教育」ですが、タイ人貧困層は必ずしもそれを求めていない現実があります。

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