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趣味が進化した結果、寄生虫館

 最近自分の趣味がどんどん進化を遂げている。きっかけは四月のバイク事故だ。骨折し、リハビリだのなんだの含めて四ヶ月ほど完治にかかった。骨折するまでの趣味といえば、アスレチックに出掛けたり卓球したりして身体を動かすことや、車で日帰り弾丸旅行やバイク一人旅だった。左手の指を骨折してしまったので、スポーツは全部できなくなった。バイクももちろん乗れなかった。車の運転はかろうじてできたが、長距離ともなるとギアチェンジが疲れてしまうし坂道発進が鬼門だった。

 そのため、骨折してからというものの休日は家に籠りがちになった。とはいえそれはそれで楽しかった。noteをはじめたのも骨折してやりたいことがほとんどできなくなったのがきっかけだった。何もできないし本読むか~って『しょぼい喫茶店の本』を読んでいたらnoteが紹介されていたのではじめることにしたのだ。文章書くのも読むのも好きだしやってみよっかなくらいの気分で始めた。そう思って始めたら書く内容が内容なだけにどんどん自分と向き合うことになった。そして自分の内面と向き合うことが趣味になっていった。

 また、月一で本を買うことにした。最初はえらいてんちょうの『しょぼい起業で生きていく』と『しょぼい喫茶店の本』の二冊読んでみるだけのつもりだったのだが、やっぱり活字を読むのは楽しかった。自分と向き合ううちに、知的好奇心を満たすことが好きなのに気付いた。仮面ライダーの評論集みたいな、自分の好きなものを別角度から捉えるような本も読んでみた。ちなみに今読んでいるのは『世界はこうして宗教とつきあっている』だ。

 このnoteでも示しているように、私は元々新興宗教信者だった。自分はこんな感じに宗教とつきあっていたが、もっとマクロな世界ではどのように宗教と関わっているのか知りたかった。知的好奇心がどんどん湧き出てきた。

 こんな具合に、外に出られない代わりに自分の内面、特に知的欲求と向き合うことが趣味になっていった。そのおかげで、YouTubeの『へんないきものチャンネル』や『ゴシップちゃんねる』みたいなチャンネルを見ることが増えた。そこから自分の興味のある分野を調べてみて知的欲求を満たすのが趣味になっていった。

 そして今、怪我も治り、車もバイクも思う存分乗れる状態になった。するとどうなるか。怪我するまでは外に出て日帰りで遊ぶことが好きだった。怪我してからは知的欲求を満たすことが趣味になっていった。フュージョンのお時間です。知的欲求を満たすためにお出かけするようになりました。この前も目黒寄生虫館に行ってきました。これには割と真面目な経緯がありました。一番最初のきっかけはこれだった。

 こちら、現在では既に完全に終息しているが、日本の一部地域で大流行していた奇病「日本住血吸虫症」の話である。何百年も昔からその地域の人々を苦しめていた、寄生虫による病気の話である。詳しくはYouTubeを見ていただけるとわかるのだが、長く壮絶な戦いである。そして、この病気を発見、病態から原因からを何もかもわからない状態から研究を重ね、そして世界初撲滅に成功した病気でもある。

 このゴシップチャンネル、ソースはあるものの、そのソース自体必ずしも正しいとは限らない前提で話を進めている。そのため、知的好奇心を満たしたい自分にはちょうどよかった。このチャンネルはある程度根拠を踏まえて論理的に話を進めてくれる。しかし、それが正しいかどうかはちゃんと自分で資料にあたってくださいというようなスタンスで進められている。ちゃんと然るべき資料にあたって自分の目で確かめろというのは魅力的だった。動画を見たきっかけは日本の奇病ってなんだろう?くらいの軽い気持ちではあった。それでも見てみると何か強烈に惹かれるものがあった。変な生き物とか、そういうのは割と好きだってのもあったかもしれない。でももしかしたら、自分が全く知らなかった病気に対しての知的好奇心によるものだったかもしれない。

 この動画を見て以来、この日本住血吸虫についてあれこれと調べるようになった。どうやらまだ東南アジアとかそっちでは人々を苦しめているらしい。他にもまだメコン住血吸虫みたいな別種の住血吸虫がまだ世界各国で蔓延っているらしい。そんな住血吸虫と戦っている人がいる。自分にできることは…みたいな高尚な考えはない。でも、そういう現実があることは事実だ。その事実を知りたい。結局はただの知的欲求でしかないかもしれないが。

 ひょんなことから目黒寄生虫館でこの日本住血吸虫の展示をやっていると知った私は、その週末に出向くことにした。元々外に出るのが好きなのに知的欲求が加わるとどうなるか。知りたいと思ったらすぐに行く。その日あった予定をどんどん前倒ししまくってでも。とにかく知りたい。知らないことをどんどん知っていきたい。

 そういうわけで、若干の雨予報がありながらもカバンにカッパを詰め込んでバイクで出かけました。片道35キロくらい。

 目黒寄生虫館、最高でした。知的欲求が満たされていくのを感じました。メダルがどんどん貯まっていく感じですオーズ。こんな生き物にこんなのが寄生するんだーっていう興味から、日本で蔓延っていた寄生虫の歴史まで様々な展示がありました。じっくり見ても1.5時間あれば全部見ることが出来るくらい小さい博物館でしたが、中身は非常に濃かったです。

 寄生とは?どうやって寄生するの?どこに寄生するの?どうやって進化してきたの?とか小規模ながらも非常に詳しい説明があり、寄生虫に関する基礎知識が学べました。ジストマや蟯虫など、かつては多くの日本人も感染していた寄生虫の展示や解説もありました。標本もあり少々グロテスクかもしれませんが、寄生虫なので仕方ないです。そして私の悪い癖、写真を撮ってこない。そのため写真はありません。行ってみてください。簡単に目を背けられるような現実ではないです。

 そして今回の目当てでもあった日本住血吸虫。本当に悪い癖、写真を撮っていない。と思ったら一枚だけあった!

 現在の流行地や、その症状、過去の研究成果が展示されていた。ゴシップチャンネルで見たあの内容がちょっと詳しく展示されていた。こいつがかつて地方を苦しめていたのか。日本住血吸虫の生態ってこんなんなのか…。とか思いながら見ていた。そうなると今度は現地にある博物館に行ってみたくなるところ。いずれ、大流行地であった山梨に行ってこようと思います。山梨県立博物館に日本住血吸虫の展示があるそうです。実際に現地に赴いて知的欲求を満たしに行こう。大事なことなのでもう一度言います。この病気は日本では完全に収束しています。

 寄生虫の基礎知識やバリエーションなどについて知りたい方は一度行ってみると良いと思います。寄生虫なんてと思うかもしれませんが、意外と近くにいるかもしれません。知ることでできる予防もあると思います。正しい知識を身に着けていきたいですね。

よし涸れよ濁さんよりは