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『キノボリトカゲ』(BiOctober2021/10/10)

 アガマ科の一種。オキナワキノボリトカゲなど日本固有のものを含むいくつかの亜種が確認されている。気分で変わる体色は褐色から鮮やかな緑色までを示し、日本のトカゲとしては大型かつ派手な種として知られている。

 もともと沖縄諸島を除く日本国内には生息していなかったが、九州南部~北部に侵入して既に定着済み。さらに、2008年ごろから本州(静岡県)にも侵入・定着が確認されている。熱帯性の種であるが、温暖化も味方して生息域を広げ続けている。

 2019年に本種を採集したときの記録は以下に。

思い出

 上記の採集記でも触れているが、本種が野外で普通に繁殖している様子は目を疑う光景だった。体も口も大きいので相当な量の昆虫などを捕食しているだろうし、なんなら競合するカナヘビなどは直接食われていてもおかしくない。在来種に対する影響が心配なところ。

 浜松の採集記を上げてから何人かに詳細な場所を聞かれ、教えたり教えなかったりした。外来種であるため採集圧を気にする必要はないが、場所が場所なので(神社の境内)、マナー良く採集してもらえそうな人にだけ教えることにしていた。まあ、公開されている情報だけで推測可能な場所だし、その手間を惜しまないでほしいなという気持ちもあったが……。

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 ワイルド個体ではあるが、何回か給餌したら素直にピンセットから食うようにもなり、ペット化は容易であった。そもそも移入の経緯がペット個体の逸出だと思われるので、それも原因かもしれない。試してはないが、ピンセット給餌に慣れ切った個体であれば人工飼料にも餌付くと考えられる。

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 国内外来種という経緯さえなければとても良いトカゲで、人間の身勝手な行動さえなければ疎んじられることもなかったのになと思うと、いろいろ考えてしまう。

 生物飼育はあらゆる面で人間のエゴだ。犬や猫は人間を家族として見なしているかもしれないが、それとて「そうなるように品種改良を続けてきた」「人間の家族となるために生み出された」という点でエゴだ。それはもうそういうものだとして受け入れるしかない。だからこそ、せめて環境には負荷をかけないようにしていくことが必要となるのだ。もう今までさんざんめちゃくちゃにしてきたのだから、せめてまだ残っている価値に目を向けないといけないのだ。

 ペットを逃がすのはやめよう。あと猫を外で飼ったり野良猫に餌やるのもやめようね。

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