ゾンビランドサガ 2023/12/7

 ゾンビランドサガいいよね~~。

 何回か日記で書いたこともあるけど、俺はゾンビランドサガがかなり好きで、アニメ全体で見てもトップ3には入ると思う。そもそも完走したアニメがほとんど思い出せないというのはあるが。地上波で原作無しだと他にキルラキルくらいしかないかも。

 というわけで今日はゾンビランドサガの良さを語ります。


 アイドルをテーマにしたコンテンツは他にもいろいろあるけど、基本的なストーリーラインはいわゆるスポ根だ。アイドルに限らず、馬でもギャンブルでもだいたいはそうだ。つまり、「なんらかの挫折を味わう」→「困難を跳ねのけて勝利する」という流れで、下げてから上げるパターンとも言える。長期連載とかソシャゲとかで終わりがない場合はもっと複雑だろうけど。
 我々は挫折から親しみを感じ、そのターンがあるからこそ勝利に向かう姿勢に対して共感するのではないかと思う。

 その点、ゾンビランドサガはすごい。何がすごいって、まず与えられる挫折が「死」なのだから。これ以上の苦難は(生命体としては)ちょっと考えられない。

 「死」から復活した彼女らは、その時点で苦難を乗り越えたようにも見えるが、そうではない。当然ながら、戸籍や住民票がない彼女らには人権もないし、死んだときから時間が経っていて知人が全くいない者もいる(皆すでに死んでいる)。さほど時代が離れていない者でも、生き返ったことにできない以上は、生前とは別人として振る舞うしかない。新たに友人ができたとしても、自身が死人であるという最大の秘密を抱えたまま接しなくてはならない。
 「死」によって絶たれたのは命だけではなく、社会や他人との繋がり、いわば人生そのものが世界から切り離されてしまったのだ。

 そんな境遇の彼女らが人前に出てアイドルをやろうというのだから、これはもう挫折・苦難・アクシデントが山のようにやってくる。物理的にも精神的にも。ほら、皆好きだろ? 自分と関係のないモメ事がさ……。

 そして、それらを乗り越えて……乗り越えてるのか? まだストーリーが完結していないので何とも言えないが、とにかく彼女らはアイドルをやっている。佐賀県で。


 他のコンテンツを腐すわけじゃないが、現実的なアイドルというのは単なる職業にすぎないのだから、辞めてもいいし趣味の一環でもいい。実際、今日本に何千人の地下アイドルがいるのか知らないが、その生き方を死ぬまで続ける人がいったいどれだけいるのだろうか?(まあ、そうすべきと思っているわけではない。)
 しかし、フランシュシュ(作中のグループ名)にはアイドルとしての生き方しか残っていないのだ。呼吸を辞めたら死んでしまうように、アイドルを辞めたら彼女らは単なるゾンビになってしまう。だからこそ、フランシュシュの楽曲は熱く、己を奮い立たせ、再起を誓い、全力を尽くす。

 王道のスポ根でありながら根本的に違う点として、そこに共感はない。死に匹敵する挫折を我々が味わうことはないし(生きているので)、状況が特殊すぎて感情移入を呼ぶようなこともない(友人との喧嘩とか、そういう小さな日常はあるにせよ)。

 我々にできるのは応援くらいだ。頑張ってくれと願い、祈ること。そして彼女らはそれに応える。

 それを偶像……アイドルと言わずに何と言うのか。


 劇場版の公開待ってます!

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