『ダンジョン飯』の魔物を飼う(宝虫編)

※原作準拠で書いた記事です。アニメ版とは若干の差異がある可能性があります。


宝虫の登場シーン

シーン①
 カブルーのパーティが迷宮内のゾンビ(グール?)を倒し、その持ち物(宝箱)から財宝を回収する。この時点では宝虫の登場はなし。
 →宝箱内に長い時間潜んでいた。人間に見つかっても財宝のフリをする。
 →その後、死体回収屋とのやり取りで宝虫は麻痺毒を持つと判明
シーン②
 ライオス一行が行き倒れているカブルー達を発見。周囲に散らばる財宝を整理する過程で宝虫が一斉に襲い掛かってくる。マルシルの失神魔法で倒す。
 チルチャックは宝虫を食べたことがある。マルシル「郷土料理みたいなの」センシ「外で飼うと味がぐずぐずになる」
 →迷宮外でもメジャーな魔物であり、養殖されている? 食用と見なす人間は一定数いる。日本におけるイナゴみたいなものか。
シーン③
 ミミックとの戦闘においてコイン虫が登場。ミミックに産卵し、幼虫はミミックを食べる(肉食である)ことが判明する。

作中での表現

 まず、「宝虫」と一括りにされる魔物の中には複数種が含まれると考えられる。作中に登場して名称が判明しているのはコイン虫と真珠ムカデだけだが、その他にブローチ、指輪、宝石など様々な形状が見られた。ティアラ状の「巣」には卵と幼虫が入っているようだが、どの宝虫によるものかは不明である。
 甲虫に近い形状のコイン虫と、そもそも昆虫ではないムカデに近い真珠ムカデでは大きく生態が異なるように思える……が、以下の点からほぼ同じ生態である可能性も高い
①初登場時に様々な種が同居していた
 カブルー達に拾われるまで、宝虫はかなり長い間宝箱に入っていたものと思われるが、共食いなどの形跡はなかった。またライオス達に襲い掛かる際にも協調的な動きを見せたことから、異なる見た目の種であっても競争関係にはない可能性が高い。
②ライオスが「宝虫」と一括りで説明した
 前述のミミックを食べる生態について説明する際、コイン虫限定の生態であればコイン虫と発言したはず。逆に言えば(ライオスの認識では)宝虫全般に共通する生態であったと考えられる。
 証拠としては若干弱いが、これらのことから「宝虫」は類似の生態を持つ種群として扱うことにする。

食性

 幼虫は肉食(ミミック食)。成虫は食事シーンがないため不明。
 人間に襲い掛かったことから成虫も肉食かもしれないが、仮に人肉を食うような生態であったとしたら、チルチャックが過去に食べていたりマルシルが魔物食として受け入れていることに違和感がある。また、カブルー達も深刻な被害を受けた様子はない。
 防御のための麻痺毒を持ってはいるが、食うための狩りはしない、とするのが妥当なところか。幼虫と同様にミミック食か、植物寄りの雑食性、あるいは摂食自体しないパターンかもしれない。

繁殖

 ミミックに産卵し、羽化するまでミミックを食べて育つ寄生型の生活環。成虫の移動力自体は高いと思われるが、おそらく人間に運ばれることで移動可能な距離や他個体との交流機会を増やしていると考えられ、そういう意味では人間にも寄生していると言える。
 宝虫が持つ麻痺毒は、あるいは繁殖の際にミミックを鎮静化するためのものとも考えられるが、「ミミックは宝虫を食べない」という表現からすると、そもそもミミックは財宝や金属に対して反応しない性質を持つのかもしれない。

生息環境

 作中で登場したのは動植物が少ない階層であったが、迷宮外に持ち出され養殖されている(?)ことを考えれば、様々な場所に生息していてもおかしくない。ミミックと同様に、人間が訪れることを前提として生息地を広げているのだろう。
 財宝があっておかしくない場所を好むとするならば、以下のような条件が考えられる。
 ・ある程度狭い場所
 ・カビが生えるほど湿っていない場所
 ・日光が差し込まない場所(昼夜のサイクルはなさそう)


 以下、これまでの情報を基に宝虫の飼育方法を捏造してみた。

飼育方法の一例

 ①雌雄がわかりやすいコイン虫の成虫を捕獲する。できればメスを多めに確保して産卵数を増やしたいところ。
 ②あらかじめ捕獲したミミックの幼体を清潔な箱(幅50cm以上)に入れ、そこにコイン虫を投入する。密閉すると湿度が高くなりすぎて生育に悪影響なので、ミミックがハサミを出せない程度の隙間を開けて箱を針金で縛り、目の細かい網を張っておくと良い。
 ③この箱は温度が一定の静かな部屋に置く。ミミックが餓死しないように、表面を消毒した動物の肉を時折入れてやる。
 ④1か月ほど経つと箱の中から何かを削るような音がし始める。これは終齢幼虫がミミックの殻をかじっている音で、この段階になるとミミックの肉部分は食いつくされて殻だけになっている。
 ⑤音がしなくなって数日で蛹化→羽化する。箱を開け、新成虫を回収して①に戻る。

飼育の注意点

 ミミックが自然に病死や餓死してしまった場合、宝虫が食いつくす前に腐り始めてしまう。こうなると、その時点で飼育を中断して個別飼育に移すしかない。新しいミミックの生体を入れると、幼虫が摂食できる量と比べて餌の量が多すぎるため、食べ残しが腐ってしまうためである。個別飼育としては、5cm角ほどの小さな箱にカニやエビの剥き身を入れる方法があるものの、手間が煩雑であり羽化率も良くないとされる。とにかく質の良いミミックの入手および管理が肝要である。

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