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カナディアン・ロッキーの山旅⑤

2001年(平成13年)8月4日から19日までの15日間、山仲間4名でカナディアン・ロッキーの山旅を楽しんできました。
前回でMtロブソン登山を開始し標高2,525mのラルフ小屋に入りました。
いよいよ山頂を目指します。

俯瞰(グーグルアース)、北面から山頂、キャンプ場方面を見る。 

8月10日(金)リトルロブソン標高3,185mで登頂断念

浅い眠りでした。4時15分起床。4時50分出発。

前日のラルフ小屋

30分程で氷河舌端に。崩落したデブリを横切り左手に出ます。氷河近くの岩場を直上します。氷河の水で喉を潤す。4級のグレードと言われています。

山が大きいのでどこでも登れそうで登れない。
ひとつひとつケルンや小旗を探して高度を稼いで行きます。
中に入ってしまうと全体が見えません。
岩肌は鋭角で磨かれていないので指先は皮が剥けてヒリヒリです。
逆層や微妙なスタンスがあったりで緊張します。
間違うと股間から覗くキニーレイクへと一直線です。
標高3,000m付近から雪面が現れアイゼンを装着しました。
7時20分。右上に雪稜延びていましたが、トップは左に回り込みました。
岩と雪に氷がミックスした微妙なトラバース。
足元にはいつものキニーレイク。

グーグルアースより

安定した場所まで来て、トップMの様子を伺います。
急峻なガリー雪渓を上がればリトルロブソンと踏んでいましたが、深いラッセルで無理と判断し、退却することになりました。
退却はどっと疲れが出ます。
狭い岩棚で休憩し雪稜に戻りました。そのまま直上すると、すんなりとリトルロブソン頂稜に立つことが出来ました。
9時10分。ザックを降ろし腰を降ろします。

この先はコルまで少し下って三角錐のような雪稜を直上し、左のクロアールをトラバース。雪がなければ易しいであろう岩棚を越えてシュワルッレッジに回り込む。このルート上部には今にも壊れそうな氷河が覆い被さっています。赤線ルートを模索しましたが・・・

この新雪で状況が一変した光景を眺めながら、沈黙が続きました。
誰が先に退却と言うのか時間の問題でした。
先に進んだらヤバイ。そんな思いが支配していた。
Mの「退却」の言葉に二人ともホットします。
しかし、思いは複雑。インドでは挑戦すらできなかったが、ここでも失敗。海外での敗退は辛い。
退却が決まり、リトルロブソンの山頂に立ち記念撮影。
ロブソン山頂に思いを残しながら、9時50分下山を開始しました。
下りも慎重さが求められます。
すんなり登った雪稜も腐りはじめ雪面は、時折膝まで埋まるようになります。一時ロープを出しましたが、かえって邪魔になりフリーで下山します。ひとつひとつケルン、小旗を目で拾いながら下山。
1箇所20m程を懸垂下降(標高約2,920m)し、氷河側のルートに回り込む。
12時氷河水場、標高約2,700m。
13時40分ラルフ小屋到着。終わりました。

翌日、ラルフ小屋近くで

また、また、大きなネズミかと思ったら、ドイツ人男性若者二人のパーティーが陽が沈んだ頃やって来た。
小屋を我々三人で独占したニ晩でしたが、今夜は上段を二人に譲り、荷物も片方に寄せて彼らに食事場所を提供しました。

次回は、「下山しジャスパーに戻る。」を投稿予定です。   





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