見出し画像

自分の居場所のつくりかた

自分に足りないものは何なのか?

それについてはずいぶん長いこと考えてきた。「才能が足りない」など、ないものを数えるだけで一生が終わってしまうようなものではなく、「本当はすごくほしいけれど、もっていないもの」を考えると、いつも同じものに行き当たった。わたしにとって、いつも足りないものは「お金と仲間」だった。まあけっこう致命的。

これは、自虐で言っているのではなくて、お金でいうと、18歳のときに父が倒れてからいつもなかったし、シングルマザーで収入もひとり分だった。仲間でいうと、夫もいなかったし、子供を産むタイミングが早かったので友達とも状況や悩みをわかちあえなかったりした。仕事でも価値観が合う人や話が通じてうれしいと思うことが少なかった。

そうして自分でちゃんと「ないものはない」と認めることで、「あったらできるのに」とないものねだりをしないで、ない前提で、ないままでもできることを考えてきた。前に進むための諦めが必要だったのだと思う。

ないものを諦めて、あるもので進んできたら、さらに足りないものがみつかった。それは「知識」だった。わたしは学歴もなく(専門学校卒)、お菓子の業界をちょっと出てみたら知らないことばかりだし、ありとあらゆることがわからなかった。


「わからない」には2種類あって、「わからない(から、できない)」と、「わからない(から、わかりたい)」がある。

わたしは社会のこと、仕事のこと、他人のことが「わからない」という無知の自覚はあったのだけど、「わからないから仕方ない」と諦めややさぐれの気持ちが大きかった。だけど、それでは新しいものがなにも入ってこなくてつまらないので、同じわからないままで「わかりたい」と思うようになった。すると、それだけで、自分に入ってくるものがガラリと変わった。


知識だけではなく、たとえば2年くらい前から書きはじめたこのnoteも、自分が何を書いているのか、誰に向けて書いているのか、書いてどうなりたいのか、まったくわからなかった。ただ、自分の中にあるものを出してみようという意思決定だけで書いていた。web上で目にするたくさんの文章や記事を読んでみても、むしろわからなくなる一方だった。

だけど、文章を書くことや人に読んでもらうということはいったいなんなのかわかりたかったので、「編集」や「コミュニティ」について勉強してみたところ、すこしずつわかってきた。

わたしは言葉で「有益な情報」や「学びのある知識」などを誰かに届けることはできないし、それを届けたいわけではない。

言葉を置いておくことで、それを誰かがひろってくれてそれぞれの意味を見つけてくれたり、感情に名前をつけて言語化することで、誰かの気持ちの落とし所になれたり、自分だけで抱えていたものがみんなのものになったりすることがあるんだなとわかったし、それが自分にとってうれしいことだとわかった。

昨年たくさん読んでもらったこの文章も、「やりたいことがない人」に「叶え組」と名前をつけてひとつの役割にすることで、過去も現状も変わらないままでも、「これでいいんだな」と肯定できた人がいたことが、とてもうれしかった。

わたしに足りないものは「お金と仲間」だと思って、いろいろなことを諦めてきたけど、なにがなんだかわからないままできることをやって、noteを書くことやお店の経営を続けてきたら、お金(お店の売上げ)と仲間(読者やnote仲間)ができた。

わたしは遠回りしたけど、つまり、できることを出すのが先で、出すとそこに自分と誰かの居場所ができる。居場所ができると、人が集まって、そこでお金(経済)がうまれるのだと思う。

わたしに足りなかった「お金と仲間」の原因は、環境のせいではなく、自分の出し惜しみから来ていた。


今まで「クッキー屋さんがどうして書いているの?」と聞かれても、ちゃんと答えられなかったけど、これからは「お店もnoteも同じで、だれかの居場所を作っているんだよ。クッキーを届けるか、言葉を届けるかのちがいだけで」と言える。

わたしはクッキーを作れないけど、クッキーを介して「お菓子をあげたい」「よろこんでほしい」という気持ちを動かして誰かに届けたいし、お店は働く人の居場所にもなっている。

言葉なら作れるので、言葉を介して「こうしてみたよ、こう考えてみたよ」ということを、かつてのわたしのように「わからない(けど、わかりたい)」「わかってもらえない(けど、わかってほしい)という人に届けたい。


というわけで今年は、「居場所をつくる」を意識して、出し惜しみしないでできること、やることを決めようっと。

改めてnoteでも居場所作りができそうだなーと考えているので、楽しみ。これからもよろしくおねがいします!



\読んでくれてありがとうございます!/ みなさんのサポートはとても励みになっています。