感情を言葉にすることの力について

小学校5年生のとき、日記を書く宿題があった。わたしはもともと日記を書く習慣があったので、それをそのまま提出した。

誰かに読まれる前提で書いていなかったので、いいことやうれしかったことだけではなく、その日にあったことを記録するつもりで、イヤだったことや悲しかったこともそのまま書いた。

先生がいくつかピックアップしてみんなの前で読むことがあり、ある日、わたしの日記が読まれた。

その内容はくわしく覚えていないけど、なにかイヤだなと思ったことについて書いたものだった。すると、クラスメイトが明らかにひいたのがわかった。悲劇のヒロインなの?とも言われた。

おそらく、わたしは明朗活発なカラッとしたいい子に見えるのに、心の中で感じているネガティブな感情を知って、驚いたのだろうと思う。

わたしも「しまった」と思い、本当に思っていることをそのまま出したらいけないんだな、と学んだ。そして、出さないようにしていたら、「ネガティブに思ってしまうわたしがおかしいんだな」と、感情ごと否定するクセがついてしまった。


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ここ2年くらいずっと「やりたいことがないのはなんでだろう?」と考えていたら、やりたい仕事だけではなくて「こうしたい!」「これが好き!」「これがほしい!」という“欲”そのものがあまりないということに気がついた。


「これがしたい」「これがほしい」ではなく、いったい何を基準に決めていたのか遡ってふりかえってみると、いつも「自分にはこれがない」という不足から出発していた。誰もがみんな持っていても自分にはないものを見つけては「ないものはないからしょうがない」と諦めることがスタートだった。

「やりたいことがない」についても同じで、湧き上がるやりたいことがないから、じゃあ何ならできるのか?と考えてやることを決めてきた。

それ以外でも、お金がない、学歴がない、夫がいない、時間がない、人望がない、自信がない、など「ないもの」を捉えて認め、「ではどうするか」を考えた。

これは、持たざる者の考え方としてはかなり前向きでまちがってはいないと思う。だけど、それだけではどうしても自分をよろばせることができない。


ずっとその道を進んできて、ふと気がついたときに「なんでこんなところにいるんだろう?」と途方に暮れた。そのときその都度、自分のできることで、よりいい方を選んできたはずが、自分がうれしいことやたのしいことにちっとも辿り着かなかった。


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「感じてはいけない感情はひとつもない」
「自分の本来の感情や欲をとりもどすことが大事」

これは、2年間考えていろんな人と話をしてわかった結論に近いものなんだけど、いつかどこかで自分の感情や欲を抑えてしまったフタを剥がすには、どうしたらいいのだろうか。


わたしの場合、冒頭のような経験や、環境によって抑えるようになってしまった感情のフタは「すきなことを見つけよう」「やりたいことを探そう」という方法では剥がすことができなかった。

小5の素直な日記の内容からしても根が暗いのか、どうしても「ないもの」や負の感情を見てしまう。これはたぶん性質で、もうしょうがないことだと思う。

その「ないもの」について観察しながらしつこく書いていたら、デッサンで影や穴を描くために光をみつけるように、「こうしたい」「これがほしい」という陽の部分が見えてきた。


これはたぶん「言葉にして書く」という作業が大事で、同じように「ないもの」について考え続けるだけでは、光の部分、どうしたいのかという欲は見えてこなかったように思う。言葉にして出さないと、穴に引きずりこまれてしまうような気がするのだ。


たとえば、どんなに些細なことでもいいから「やりたいこと」を書き出してみると、何かが引っかかって書けないことに気がつく。恥だったり、いつかの誰かの評価だったりがジャマをする。それは書いてみて気がつく。

逆に、自分ができないことや嫌なことなど負の部分を書き出してみると、そのすぐ裏にある「羨ましい」と思う気持ちや、批判のすぐ裏にある「わたしならこうする」という案が見えたりする。これも書いてみて気がつく。


感情や欲にフタをしてしまった身に覚えがある人は、人に見せなくてもいいから、支離滅裂でもボロボロで汚くてもいいから、言葉にして書いてみると、フタの正体が見えてくるかもしれない。

書いて出すことにはそういう力があると、わたしは思う。


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