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諦めの呪いを、許可でとく話

シングルマザーがクッキー屋を営んでいるという現在の状況になって、過去をふりかえると、よくここまでやってきたなと自分を褒めたい気にもなるのだけれど、こうなろうとしてなったわけではないし、こどものときに「大きくなったらシングルマザーになってクッキー屋さんをやりたい」と思ったことは、もちろんない。自分でもときどき「わたしはいったいなにをやっているんだろう」と、思うことがある。


「目標」をたてる人と、たてない(たてられない)人がいる。目標を立てる人は、遠くても近くても「あっちの方に行きたい」と見据えて進むと、毎日の選択をするのに、どっちの方が目標に近づくか で選ぶことができると言う。目標を立てない人は、その時その時にいいと思うことを選び続けていると、結果的に行きたい方に進むことができると言う。

わたしは完全に後者で、目標に向けてがんばって進んだことが一度もない。嗅覚だけで、いいにおいのする方に進んできたような気がする。常により良い方を選んできたはずだったけど、「選ぶ」というより、そもそも他にも選択肢があるのを知らなくて(知ろうとしなくて)、知っている中だけで、これしかないかという「諦め」だったかもしれない。ただ、その時はちゃんと良い方を選んでいるつもりだった。そういうやり方しかできなかった。


23歳で子供ができて結婚したとき、「結婚」について理想や目標が一切なく、「こういう夫婦になりたい」「こんな家族をつくりたい」と考えたことが一度もなかった。だから、当時の夫には「結婚してもいいけど、考えたことがないから続けられるかわかんない」と宣言し、「誓えないから結婚式はしない」と言って挙式も断り、ノープランで結婚生活がはじまった。

ただ、わたしは先のことはあまり考えられなくても、目の前のことは解決できる能力があるので、日々はまあ平和にすごしていた。若い夫は、仕事の都合をつけられる立場ではなく、がんばってたくさん働くことでしか生活費を稼げなかったので、よりお給料のいい深夜の時間帯で働いていて、午後に起きて朝方に帰宅し、日中は寝ていた。そうなると当然育児はわたしがひとりでやっていたのだけど(うわさのワンオペ育児)、これが特に大変なことはなく、ひとりで楽しくできていた。夫は実際いないので期待することがなく「夫がいるのになにもやってくれない!」という不満もない。それぞれの役割をやればいいと思っていた。

育児はひとりでできちゃうし特に困っていない。夫は仕事をがんばる。ケンカもなく一見平和なこのやり方で進めていった結果、どうなったかというと、家の中に夫の居場所がちょっともなくなってしまった。その結果、ほどなく離婚することになった。

その流れの中ではそれが一番いい方法だった。常にいい方を選んできたらそうなってしまった。

はじめからどうなりたいか何も見えていなかったけれど、もしも、「こんな夫婦になりたい」「こんな家族をつくりたい」と理想や目標があったら、「なんかちがう」というポイントで不満がうまれたり、もっとこうしてほしいと夫に変化を求めたりしたのだろうか。ぶつかりながら方向を少しずつ変えて、「あっちに行こう」ともっと先に進めたのだろうか。

目の前の問題をひとつずつ解決して、よりいい方を選択して、たどりついたのは、別に自分が望んで来たかった場所ではなかった。こうしかできなかったのだから、これでよかったのだと思う反面、どうしてこうなっちゃったんだろうとも思う。


わたしが選んだつもりで諦めてきたものは、いったいなんだったんだろう。「これしか知らないからしかたない」と、選択肢を貪欲に広げようとしなかったのはなぜだろう。最近はこの原因がちょっとわかってきた。わたしが、「こうなりたい」と目標に向かってがんばることがどうしてもできなかったのは、自分がしあわせになることを許していなかったからだ。しあわせになるための選択肢をみつけようとしないのは、自分にそんなものは用意されていないのだと信じていたからだ。

目標をたてられないことがダメなのではなくて、自分がしあわせになってもいいのだと許可してあげられないことがダメなのだ。

おそらくこどもの頃から「素直じゃない」理由も同じだと思う。これは、わたしがここ最近している「意思で素直になる」という実験でみえてきた。素直に、正直に、ほしいものはほしい、すきなものはすき、したいことはしたいと認めていくと、さいごに待っているのは「しあわせになりたいか?」だった。

しあわせになるんじゃなくて、目の前のことをしあわせと思うかどうかでしょ、などと言っては、なかなか認められなかった。今でもちょっとむずかしい。だけど、自分をしあわせにすることだったらできるよなと思って、それを基準に、今日も明日も選択しようと思っている。

いちばんの呪いは、自分自身でかけているかもしれなくて、それなら自分でとけるはずだよっていう話。

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