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シングルマザーのクッキー屋の話【仕事とわたしのこと⑦】

さて「アイシングクッキー屋さんをやる(でもまだ作ったことない)」と決めたら、その後はそこから広がる選択肢と向き合う作業を重ねた。

お店屋さんというのは、どんなものを扱うお店でも決めることは同じで、「どこの、だれに、なにを、いくら分売るか」だと思う。
変幻自在のそれを、譲れない優先順位や、逆に変えられないことから逆算していく。

たとえば実家など場所が決まっている場合は、その場所で何ができるか考えなければいけないし、全国に店舗展開をしたい場合はそれ相応の知識や資金が必要だし、夫婦ふたりだけで営む場合はその労働力や必要な収入に合わせた規模にしなければいけない。

例えば、お菓子作りが得意な女の人が趣味が高じてお店を出す場合は、何を売るかが決まっていて(ケーキ)、小さく1〜2人くらいの規模ではじめて(資金合わせの規模)、場所はお客さんが来てくれるかもしれない立地(でも好条件すぎると家賃が高いのでムリ特に東京都内)、という優先順位があるとすると、その1〜2人で1日に1ヶ月に1年にいくら分製造できて、販売できるのかがすっぽり抜けていたりする。
そうすると、イメージではひとりで作れた分だけ売ってマイペースに仕事をするつもりが、繁盛しなかった場合は単純に売り上げ不足だけれど、繁盛した場合に営業時間中にお客さんの需要に応えるには生産が間に合わないで売り切れ(売り逃す)またはムリして長時間働いて身体がしんどい、小さな場所だから狭くてスタッフが雇えない(または全部自分の手で作りたい)というパターンを何度も見てきた。
お客さんの需要や必要な売上げと、生産の規模や面積が合わない。

わたしはまず、そのバランスをどこにするかのシミュレーションと計算を何度もした。
固定しているのはアイシングクッキーを売るということと、お金がないこと。あと当時高倍率の抽選に当たった都民住宅から引っ越すのがもったいないから、仕事場は家の近くがいいということ。

それからわたしの性格には店に不向きな欠陥があって、お店を開けている時間はお客さんが来ても来なくてもそこにいなければいけないということが辛すぎてできない。落ち着きがなくて逃亡癖がある。偉そうに言うことじゃないけれど。

だから実店舗はなくても構わないので、オンラインショップでの販売を考えた。
調べてみるとアイシングクッキーの販売は趣味で作っている小規模か、工場生産や輸入の規模が多かった。その中間が空いていたので、規模はそこにしようと決めた。

クッキーの一人当たりの製造できる金額と時間がだいたいどれくらいかわかっていたので、その金額に合わせて、製造するのに必要な機械の種類やサイズを出し、それらが置ける面積を割り出した。
これで月にいくら分作れるかが決まり、それをどこに向けて売るかは、オンラインショップで全国のどこにでも送る。そのためには知られていないお店が写真だけで購入してもらえるには雑貨的な魅力がないといけないなと課題が見えた。

そして場所は、家の近くとなると家賃が高くて店舗物件は到底ムリだったのだけれど、製造と出荷する場所だけでいいかな、と思って探すことにした。

あとは残りの固定条件「お金がない」をクリアしなければ。


長くなってきたので・・・初回はこちらです。

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