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シングルマザーのクッキー屋の話【仕事とわたしのこと⑬】

高校3年のとき、進路を製菓の専門学校に決めると、当時の家庭科の先生に呼び出されて、ものすごく反対された。

「お菓子の世界は洋菓子も和菓子も縦社会で修行の世界だから、あなたには向いていない」と。
どうして修行ができないと思うのか、わからなくて質問すると、「あなたは納得しないと人の言うことが聞けないでしょう。人の下で働くのは無理よ」と。

このことは最近まで忘れていたのだけど、思い出したときは笑ってしまった。実にそのとおりだから。
しかし、結果的に17年間、お菓子の業界で続けることができている。

どうして続けることができたのか。


最近よく耳にする「冷えとり」について、どんなものなんだろうと調べたことがあり、試しに何枚も靴下を履いてみたりしたけれど、洗濯物の多さに断念した。
ただ、そのときに知った「心の冷え」という考えがおもしろかった。

「心の冷え」というのは「強欲、傲慢、利己、冷酷」の4種類あるそうだ。

強欲:欲が深く溜め込みやすい。大腸や肺がわるくなりやすい
傲慢:人を見下し見栄をはる。肝臓や胆嚢がわるくなりやすい
利己:安全や安楽を求め我慢ができない。消化器系がわるくなりやすい
冷酷:自分の都合のみで思いやりがない。心臓がわるくなりやすい

わたしは、はじめて働いた会社を、胆石と胃潰瘍を患ってリタイヤしたのだけど、上記の通り「傲慢」だったのだと思う。

「傲慢」は単に頑固で見栄っ張りなだけでなく、「どうせ自分なんて」という「卑屈」というかたちでも表われる。

まさにわたしは「どうせ」の塊だった。それは自信の無さから来るのだと思っていたけれど、実は、自分のことがいちばん大事で、他人には理解されない(できない)だろうという傲慢さからきていた。「どうせわかってもらえないんだ」と、頑固で、他人を理解しようとしないのは自分の方だった。

そのことがわかってから、「どうせ」という考えを毒だと思って行動するようになって、あーちんのおかげもあって、少しずつなくなっていった(自己評価、自己比較だけど)。

この4つの冷えの項目は誰もが持ち合わせているもので、どれが強い傾向があるかというだけだから、まったくゼロになくなることはない。
そして、なくならないけれど変化して、それは良い方向にはたらくこともあるのではないか、と思うようになった。

「どうせ」という気持ちが、「どうせ自分はこれしかできないから仕方ないなー」と、ひとつのことに集中して、大きな力を出せることがある。
頑固さが、自分の考えをブレない強い芯にすることもある。

そして最近になって、独立して自分の力でなにかをしている人(経営者やアーティストなど)に会う機会が増えて、その人たちと話をすると、どこかが極端に強い(または過去に強かった)傾向がある。
特に、わたしと同じように「元、卑屈」だったという人が多い気がしていて(わたし調べ)、ちょっとうれしかったりする。

何が言いたいかというと、わたしは当時、先生に止められた通り、性格に極端な欠陥があったけれど、それを武器にかえることができたのだと思う。
作用(欠陥)の力が強いほど、副作用(効能)も強く出たのだろうと思う。

自分の毒を知って、それを使いこなせるようになるその方法やきっかけは人それぞれで、どうしたらいいのかはわからないけれど、毒に悲観して諦めることはないよ、仲良くもできるよ、という楽観的で無責任な話。


長くなったので・・・初回はこちらです。


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