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富士五湖ツーリング その6


ホットドッグを食べている。

目の前はカフェテラスの人がいるので
窓越しの外はあまり見ないようにして。

スマホでnoteにつぶやこうとするが
電波が悪すぎて投稿できない。

遠いところにいるんだな。

いつも、ツーリング中につぶやきながら
誰かと一緒に旅をしている気分になってるけど
ここからは、1人だ。

どこで、またつながれるんだろう。


お昼を食べ終わった頃には
冷たいほどに汗で濡れていたTシャツも
乾いてきていた。

脱げばいいんだけど。

多めに着ている服のことを考える。
でも、ここから気温は下がっていく。

今が一番暑いだけだから。

そう思い、そのままジャケットを羽織る。

この先はずっと山の中だろう。
ここでお土産を買っておくことにした。

何がいいか悩む。

クッキーを手に取ると、リュックの中で
ほろほろと崩れてしまったイメージが湧く。

箱入りにするか。

誰かに渡せるくらい立派な箱を手に取る。

このくらいちゃんとしてた方が
子どもたちも喜ぶだろう。

もう一つ。
牛乳瓶を手に取る。

さっき飲んだのは、イメージと違うから。
違う種類の牛乳にする。

もっと濃いやつ。甘い牛乳。
重たくなるので195ccの小さいやつ。

このお菓子がめちゃくちゃ美味しかった

この後、お土産が買えるわけがないと
思ったのは、まさに虫の知らせだった。


お店を出て、目の前の景色に目をやる。

牧場の牛たち

のどかだなぁ。

もう2時になる。

ここから、富士五湖めぐりって。

どうする?



あまり休まないで進もう。

一つ一つの湖でゆっくりするのは止めよう。
目的を絞ろう。

そうだな。何がいいかな。

よし。写真を撮ろう。
富士山と湖の写真。

湖面と富士山が写っているアングルで
写真を撮ってまわろう。

そう決めた瞬間
ルートがおのずと決まってきた。

富士山が対岸にある形で
湖を通らなければならない。

つまり、富士山を起点にして
湖の遠い側、富士山と反対側の道を通って
富士山の見えるところで停まるという作戦だ。

最初は、本栖湖。

ここは身延に行く時に通ったので
ここからの道はわかる。

富士山の見えたポイントも知っている。

道を覚えているって
それだけで、かなり楽なんだな。

これから走る県道71でも
ここと同じように富士山が見えるんだろう。

持っていたお菓子と牛乳をリュックに入れ
目の前の富士山と後ろの牛に別れを告げた。


日なたの駐車場からバイクを慎重に出す。

バイクが熱い。
だから日陰に停めたかったんだけど。

砂利の道は
アクセルを丁寧に開けないと危ない。

よろよろと舗装路に出る。
ホッとしながら、アクセルを開けた。

すぐに木陰に入る。
ここからは走りやすい道。

富士山は見えない。
でも、右に感じながら走る。

あそこからなら見えるはずだから。

しばらく走ると、一気に周りが開けた。

停まると、時間を食うけど…
ここは多分、富士山ポイントだから。

路肩に寄せて停まって
バイクにまたがったまま、写真を撮る。

本当はガードレール側まで行きたかった

ここは、道が高台にあり
富士山との間が下がっていて、かつ開けている。

富士山の裾野まで見えるいいポイントだ。

でも、残念。

道路のこちら側から撮っているので
道端の草に阻まれて平野部が見えない。

急いでいるから、ここからで諦める。

全く見えない日もあったなぁ。

今日はどこからでも富士山が見える気がして
それだけが、がんばれる要素だった。


すぐの信号を左折。西へ下る。

道が狭くなり
白く砂が浮いたような路面になる。

ここからは富士山を背に走る。
目の前の山は青々としている。

お椀をひっくり返したような面白い山がある。
急ぐので写真は諦める。

車に追いついてしまう。
道が狭く、直線がないので抜けない。

仕方なく、のんびり走る車の後ろにつく。

この道は何度か通ったから慣れたのか
すぐR139に出た。(気がした)

車の後ろから一緒にのぞいて
国道に合流するタイミングをはかる。

両方から来る車が途切れ
右折しながら、無事に合流できた。


バイパスのように開けた道を走る。
カーブが緩やかで、道幅も広い。

道脇のススキが綺麗だ。
車の作る風にたなびいている。

ここは、道ぎわのススキを刈らないので
ススキが両脇に残っている。

朝霧高原のあたりがいいんだよな。

今日は通らなかった。

本当はさっきの合流で左折して
国道を折り返して帰るくらいの時間なのに。


肩が痛い。

左手をハンドルから外して
タンクの上に左腕を置く。

なぜ、こんなに肩が痛むんだろう。

疲れているからかな?

鍼灸の先生が
疲れると古傷が痛むと教えてくれた。

疲れているよね。多分。
だいぶ無理をしていたから。

ここは片手運転でも平気な、平坦な道。
右手だけで操作して、バイクを走らせた。


車について走っていたら眠くなってきた。
お昼を食べたからだろうか。

元々ぼんやりしている頭が
さらにボーッとしてくる。

このまま走ると危ないな。

本栖湖のほとりに駐車場がある。
そこで少し寝よう。

工事で停められたタイミングで
車の横をすり抜けて前に出て
旗が振られたら、一番に飛び出した。

スピードを上げないと寝てしまう。
バイクに乗りながら寝られるわたしは
眠い時の運転がとても危険だ。

R300の文字が見えて、信号を左折。

下りながら、入りたかったほうとうの店を過ぎ
次の曲がり角で湖畔に向かって左折した。


曲がりながら下っていく。

木が両側からおおいかぶさり
トンネルのような道を走る。

路肩の落ち葉に気をつける。
すぐに駐車場が見えた。

湖に向かってバイクを停める。
木陰を選ぶ。バイクが熱くなるから。

ヘルメットを取り
グローブとともに袋に入れる。

いつもは持って歩くが目の前なので
そのままバイクにひっかけ
前方の四角いコンクリの路肩に腰掛ける。

足元はずっと下がっていて届かない。
城壁に腰掛けているような感じだ。

足はつかないけど
意外に安定しているこの座り心地が好き。

遠くに、人々が湖で遊んでいる。

本栖湖 富士山は反対で見えない

夏は、もっと人がいたな。

季節が移り変わったことを
目の前の景色で実感する。

が、眠い。
とにかく寝よう。

後ろにバイクを感じながら目をつぶる。

寝落ちして下に落ちるほど
寝られるとは思わないから
安心して目だけつぶる。

これでも体を休められるから。

バイクを降りると肩の痛みが減った。

眠すぎて、何も考えたくない。

何分うつむいて目をつぶっていたんだろう。
少しうとうとしたかもしれない。

ふと眠気が引いた気がした。
これならバイクも走らせられそう。

寝たのは、10分か20分か。

停まるたびに書いていた手帳に
時刻を書くのがだんだん億劫になってきている。

この先、手帳に時刻の記載はない。
今、14:30頃。

富士五湖、ようやく一つ目。






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