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バイクツーリング 群馬 榛名 その7


いも恋を待っている。
九州の名前で言うと『いきなり団子』だ。

朝早く家を出て
ようやく休憩に入ったサービスエリアで
大好きなお菓子が蒸し上がるのを待っている。


あと5分。


待っている間に
いも恋の写真を撮る。

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九州のみなさんに
「これ、いきなり団子ですよね。」
と言うために。笑


そうこうしていたら
ようやく蒸し上がったらしく
「どうぞー」と呼ばれた。

何個買おうか悩む。


今、お土産に買ったら重いな。
帰りに買おう。

(これが後の後悔となる)


今、食べる用に2つ買った。

熱々だ。


大事に手のひらで包みながら
持ち歩く、いも恋まんじゅう。


どこで食べようかな。


お店を出て、バイクの近くに戻る。
机と椅子があった。


ここでたべよう。


いま恋まんじゅう。

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久しぶりに食べる味。


美味しい♪


熱々の皮が美味しい!

半透明の白い皮。
餅ではなく小麦だと思う。

うどんや餃子の皮的な
もちもちしていて、でも歯切れ良い皮。


中は厚切りのさつまいもと粒あん。
どちらもハフハフするほど熱い。

粒あんの甘さでさつまいもの甘さが増す。


不思議なことに
どちらの甘さかわからなくなり
口の中で2つの甘さが混ざり合う。

美味しい。大好きだ。


なのに
いつもほど味わえない自分がいた。

人前で食べることが
恥ずかしかったのだ。

早くこの場を離れたくて
せっかくのいも恋を慌てて食べてしまった。


堂々としろ。わたし!!


ライダーの多さに負けている。


自慢できるバイクじゃないことが
気持ち的に負けている理由か。

RZか大型車か外車か
何かだったら、もっと自信が湧くのか。

排気量が250ccなこと
車種が珍しくないこと
着ている上着が古いこと
自分が若くないこと

結局、そういうことで
自信が湧かないんだろう。

そういうことだ。


これを書いてて
イライラしている自分がいて

次からはこんな気持ちは持たない!

そう思っている。


気になるならジャケットを買えばいいし
みっともない走りはしていない。

若くないのは仕方がなくて
むしろ、リターンで
また乗ろうとしていることに
誇りを持てよ。誇りを。

事故に遭っても
諦めずに乗ろうとしてることを。

自分に自信を持て。


とnoteを書きながら
自分を叱咤激励している。


半年前のツーリングのことを書くと
こういうことが起こるのかと
少し可笑しくなった。



空を見上げる。

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青い。


気にするのは止めよう。


そう思いながら
バイクに戻った。



ヘルメットをかぶる。
グローブをつける。

キーをさして
ハンドルロックを解除する。

リアシートを押しながら
バイクをバックさせる。

バイクにまたがる。

エンジンをかける。


バイクをスタートさせて
三芳サービスエリアを出た。



高速に合流する。
車の流れに乗る。

バイクを加速させ、
いつものように右側の車線に移る。

周りに合わせて速度を落とす。

スピードを出すのを止めた。


今日は、走っている今を楽しもう。

富士山の時みたいに
悲しくなるのは止めよう。

バイクに乗ることができる
その幸せを噛みしめよう。



風が優しくなった。

首元を過ぎる風の
冷たさも和らぐ気がする。



周りを見る。


空はどこまでも広い。
青空は夏ほどの濃さはないものの
澄み渡る青さだ。

高速の両端は
壁が低く、遠くまで景色が見渡せる。


のどかな田園風景と
時折見える工場や民家。

まだ、山は近くない。
水平に広がりを持った景色だ。


高速上に視線を動かす。

周りに一定間隔で
車が列をなしている。

大きな流れだ。



しばらく流れに身を任せていた。



突然、車が
鉄のかたまりに見えてきた。


鉄のかたまりの中にいる彼らと
生身の体をさらしている自分。

その対比と不思議さが
どんどん心の中で広がっていく。


みんな、カゴの中にいるみたい。


鉄のカゴの中におさまって
高速で動いている。

切り取られたカゴの中の空気は
動かず、じっと止まっている。

中の人も、カゴの中でじっとしている。


一方で、わたしは
身体中に向かい風を受け

おしくらまんじゅうのように
その風と仲良く遊んでいる。



そんなことを考えていたら
不思議な感覚が湧いてきた。


身体の外側の線が
だんだん曖昧になっていく。


いつしか
バイクに乗っているというより

地面より少し上を
滑空しているような

鳥のような気持ちになっていた。



たくさんのカゴが
周りで高速移動して

わたしは
鳥のように低く空を飛んでいる。



ふと、世界にわたしが
とけこんでいく感じがした。


なんて不思議な感覚だろう。


あまり感じたことのない感覚。



あなたたちはこの
世界にとけこむ感覚なんて
感じていないんだろうな。


カゴの中の人たちが気の毒に思えてきた。



身ひとつで
世界と向き合っているような

世界の一員であることを
震えるような喜びで感じているような

そんな感覚。


世界とは自然界のことで
世界とは地球そのもののことで

わたしは自然の中の一つで

身体の外側にも、心の外側にも
世界との境目はないような
身体と心の広がり。



そんな
世界にとけこむ感覚を感じながら

高速道路を
バイクで走っていく。








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