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編集者という呪い

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編集者は「原作者」か「最初の読者」か、あるいは「もっとも非情な批評家」か。書籍編集の仕事を通して学べたこと、学ばなきゃよかったことを、ぽつぽつ呟きます。
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記事一覧

よぉボウズ...クラウドファンディングって知ってるか?

よぉボウズ...知ってるか?
怪盗はあざやかに獲物を盗み出す創造的な芸術家だが...
探偵はその跡を見てなんくせつける...
ただの批評家に過ぎねーんだぜ?

と、『名探偵コナン』で怪盗キッド様が言っていましたが、これは「私の人生を形作った10の言葉」の一つに数えてもいいというくらい、影響を受けた考え方です。ちなみに暗記しています。

小学生ながらに、キッド様のような芸術家たちに魅了され圧倒され続

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さちこを殺す日

井浦新という役者がいる。彼の名前は、昔はARATAだった。三島由紀夫を演じた作品から改名した、その理由は「この映画のエンドロールの最初にアルファベットの名前が流れてくるのは違うと思ったから」。

原稿を校正させていただいた方からのメールに、どう返事をしたらいいものか、気づいたら5時間も悩んでしまった。メールには、「作品を発表するとき、ぜひ”さちこさんのお名前”を入れさせてください」とあった。私の名

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書きたいことを書いたら負け

書きたいことを書いたら負け

文章を書くとき、テーマから決めるのか、結論ありきなのか、使いたいフレーズがあるのか、などなど、どこから始めるかは人それぞれ、その時々によって変わると思います。

私の場合、いずれのやり方であっても、文章を書くときに思い出すようにしている、先人たちの言葉がある。書き方というか伝え方というかの、極意みたいなもの。

■極意その一
酒の席で「これだけは言っておいたほうがいいな」と思うことは大抵「それだけ

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そんなにライターになりたい?

そんなにライターになりたい?

2月はやたらと色々なことを頑張ってしまった。「夢に向かって」は全然進んでいないけど、なんか色々やった。そして疲れてしまったのか、一歩進むのが怖いのか、3月に入ってから脱力しきっている。

noteをのぞく頻度もガクッと少なくなり、そして気づいたら私のタイムライン(って言う?)は「毎日書き続けるコツ」みたいな投稿で埋め尽くされていた。

そういう時期なのかな。楽しく読ませていただいていて、勉強になる

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編集者って最高

編集者って最高

何件か校正をさせていただいて、驚いたことがあります。

それは、書き手のみなさんが、自分の欲望を文章にしているわけじゃないってこと。私は私のために書いているので、みんな自分のために書いているんだと、心のどこかで思い込んでいました。

そんな私の勝手な先入観、偏見は、物を書くだけでなく、何かを表現して、つくりあげている方たちに対しても、その作品に対しても、非常に失礼なものだったと、今更ながら、改めて

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文字で魅せる音・におい・温度

文字で魅せる音・におい・温度

先日、高嶋イチコさんの作品を校正させていただきました。その体験談をnoteに投稿してくださって、とても嬉しかったので引用させていただきます。

私から説明するより、ずっとわかりやすくまとめてくださっています。自分でも、私がやってるのってこういうことなんだ、って初めて理解しました(笑)。

文章を直すにあたって、「明らかな間違いを正す」「間違いではないが正確に伝わらない可能性があるものを、わかりやす

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小説の校正をさせてもらった話

原稿、読ませていただきました
年末に「あなたの原稿、読ませてください!私、校正がしたいんです!」というnoteを書きました。書きましたが、まさか本当にお声掛けいただけるとは思っておらず、「note見ました」という件名のメールが届いたときには正直びっくりしました。自分で言い出したのに。

約7万字の小説『耳元の鈴を鳴らさない!』を読ませていただきました。ジャンルを分類するとすればライトノベルというも

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あなたの原稿、読ませてください!

あなたの原稿、読ませてください!

★このnoteは「校正・校閲のお仕事をください」という内容です★

活字中毒でもないし、難しいものは読めないし、読書家でもないんだけれども、日々、読み込んでいる文字量はそれなりに多いほうだと思います。

出版社で働いていたときも、ひたすら企画書を書き、ひたすら原稿を読み、ひたすら赤字入れをする毎日のなかで、毎晩寝る前に小説を2~6万字程度は読むのが習慣でした。

小説といってもプロの作家さんの本で

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「少年たちの2週間」

2013年5月のことです。作者・尾田栄一郎さんの体調不良を理由に、「ONE PIECE」が2週間休載となることが発表されました。

そのときの尾田さんのコメントに、「少年達の2週間がどれ程長いか承知してます」という一言があって。当時の私は、この言葉に、雷に打たれるような衝撃を受けた。

大人になった私たちの、1日、1週間、1カ月、1年は、あっという間に過ぎてしまう。

今だって、1年前の今頃のこと

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私は私を満たせない

私は私を満たせない

可愛くなりたい。
おしゃれになりたい。
かっこよくなりたい。
賢くなりたい。
物知りになりたい。
センスがよくなりたい。
知識も教養もあって知性あふれる人になりたい。
「いい仕事」ができる人になりたい。
人から憧れられたい。
何においてもまわりの人から一目置かれたい。
うらやましがられたい。

うらやましがられたい。

うらやましがられたい。

私自身のここ数年の生活環境からしても、「うやらましが

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140字の論理的思考

140字の論理的思考

ヘビーツイッタラーである。

文字を読めるようになる前から漫画を読み、図鑑を読み、絵本を読み、文字の読み書きができるようになってからは読める文字すべてを読み、書かなくてもいいことすらひたすら書き綴った。書くことは、楽しい。読むことも、楽しい。私の人生で、何かを読み、書くことは、一番の楽しみだったかもしれない。

小学生の頃は「帰りの会」で先生からの連絡事項を「連絡帳」にメモして、さらにその日一日を

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セックスの形容詞

セックスの形容詞

先日、とある小説で非常に気になる表現に出会いました。つまるところ二次創作なので出典は記載しませんが、意訳するとこんな文章。

「彼、かわいい顔してセックスはえげつなかったわ。ええ、上手だった」

私はいま無職なので、プロの書いた文章より、素人さんの書く文章(というかまあ二次創作)を読む機会が圧倒的に多いのだけど、セックスについての表現で「えげつない」という形容詞に出会うのは初めてだった。

私は衝

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