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本日はお日柄も良く

ただいまご紹介にあずかりましたY子と申します。このような素晴らしい席にお招きいただき、心より感謝申し上げます。

新婦のさちこさんとは大学時代からの友人で、10年以上の付き合いになります。仲良くなったきっかけは、大学に入って最初の授業で他己紹介のペアになったことです。「本名はさちこじゃないけど、さちこって呼ばれてる」と言うさちこに、「あ、ちょっと変わった子だな」と思いました。

私たちには、スラムダンクやジブリが好きなこと以外、ほとんど共通点がありません。でも、授業のあとに一緒にお昼を食べることが多くなって、私のサークルのたまり場にもよく来るようになりました。本人は私のあとをついてくる忠犬のような気分だったらしいのですが、私のほうこそ、さちこに依存していたんだと思います。

さちこがフランスに、私がニュージーランドに留学していたとき、私の誕生日にさちこは私の年齢分のバラの絵を描いたカードを送ってくれました。1年ぶりに帰国したとき、私は誰よりも先にさちこに会いに行きました。

大学4年の時にはさちこと同じゼミに入りました。中高時代を海外で過ごしたために難しい漢字が読めないことのあった私は、さちこに読み方を教わったりもしました。「Y子ちゃんの先生役になれるなんて!」とさちこはなぜか興奮していました。

大学の卒業式でのことです。私は道の真ん中でさちこを抱きしめて、「さちこ好きだよ~!」と叫びました。さちこは大笑いしていました。恥ずかしながらその時の記憶がないのですが、その光景を目撃していた友人たちには、いまだにからかわれます。


さちこは時々、思い出したように「私が男だったらY子ちゃんと結婚できるのに」と言い出します。それを言わなくなったのは、Aさんとお付き合いを始めた頃でした。

私とさちこはほぼ毎日LINEをしているので、Aさんとお付き合いを始める前、出会った頃から、もちろん話は聞いていました。だけど、さちこが、、、さちこから、結婚すると聞いたときは、驚きました。

お祝いの言葉を、伝えないといけないとわかっているのに、なかなか言えなかった。さちこはいつまでも、私と結婚したいと言ってくれると思っていたのかもしれません。

Aさんが素敵な人であること、さちこが幸せそうなことも、わかっていました。だけど、くだらない笑い話も、愚痴も、人間関係の悩みも、さちこの喜怒哀楽を私以上に受け止めてあげられる人は、いないと思う。さちこが失恋したときも、将来の夢を語るときも、仕事を辞めたいって泣いたときも、いつも私がさちこの話を聞いてきました。

誕生日や、なんてことない日にも、バラの花をあげたり、カメラ女子なさちこに、カメラのモチーフのアクセサリーをあげたりしました。私にはさちこが喜ぶことが全部わかるし、さちこの人生で私以上にさちこに愛されてきた人は、いないよね。

でもさちこは、いつも私や、漫画のなかの男の子に恋をしていて、好きな人ができない、恋ってどんな気持ちかわからないとずっと言っていたから、そんなさちこが、Aさんと結婚すると言ったときの、照れた顔を、私は忘れられません。

これからさちこは、Aさんとたくさんの時間を一緒に過ごすことになるね。でもこれからも、一緒に買い物したり、美容室行ったり、乗馬に行ったりしたいし、私の娘と一緒に女子旅したり、たくさん遊んで、Aさんの愚痴でも、惚気でも、なんでもたくさん聞かせてね。

現世では、Aさんとどうか幸せに過ごしてください。
Aさん、さちこ、ご結婚おめでとうございます。












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以上、Y子ちゃんに披露宴の友人代表スピーチをしてもらったので文字起こししました。というていで書きました。私が。感動して自分で泣きそう。この世界のどこかにいるはずのAさん、待ってます。

「Y子ちゃんと私」シリーズ
note酒場で私が手に入れたもの
わけも解らず青の時は流れて (副題:さちこという女)
君の耳と鼻の形を知らない私

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