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江戸川コナン君は異次元の幼なじみ

高校生探偵・工藤新一が江戸川コナン君になってテレビに登場したころ
コナン君と同じ小学1年生だった私は
気づけば安室透(通称「あむぴ」)と同い年になろうとしている。

『名探偵コナン』という作品が私にとって特別な理由の一つは、
人生で唯一「いっしょに育ってきた」作品であるということ。

ドラえもん、ちびまる子ちゃん、サザエさん、クレヨンしんちゃんなど、
日本が世界に誇るべきご長寿アニメは結構数多くあるけれど、
どれも私が物心つく前からこの世界に存在していたから、
「主人公と同じ目線で」物語の世界に入ることができたのは、これだけ。

小学生のころは毎週月曜日、テレビにかじりついてコナン君を見ていたし、
コミックスの新刊が出れば、それ以前の数冊もあわせて読み返していた。

そうして私はコナン君から、人生を楽しく生きるうえでまったく必要のない
様々なことを教えてもらった(という同年代の人は多いと思う)。

青酸カリはアーモンド臭がするとか、
ブラジャーのワイヤーで人を殺せるとか、
激しい運動の最中に死ぬと死後硬直の進みが速いとか。

コナン君のお決まりの台詞、「あれれ~?おかしいぞ~?」や
「やっぱり、犯人はさっき妙なことを言ったあの人だ!」のおかげで
推理モノのドラマで犯人に目星を付けるのも得意になった。

そういう推理モノとしての魅力もさることながら、
『名探偵コナン』といえば、やっぱりラブコメ。人間ドラマ。

私は怪盗キッド様に恋をし、平次くんを好きな和葉ちゃんを応援し、
灰原哀ちゃんに胸をしめつけられ、妃弁護士と結婚してぇ~と思いながら、

コミックスは本堂瑛祐とか水無怜奈とか出てきたあたりでリタイア、
劇場版も爆発アクションの色が強くなってきたあたりでリタイア。

いつの間にか、新一くんより、高木刑事より、年上になってしまった。

それでも、私はいつまでも、
怪盗キッド様に心を奪われた少女のままで。

世間で大きいお姉さんたちが騒いでいる「あむぴ」とやらにも、
ぶっちゃけ全然興味がなく、シリーズ最大のヒット作になった
『ゼロの執行人』も、見に行くかどうかすごく迷っていた。

という話を友人にするたびに
「あむぴに興味がなくても、さちこは行っておいたほうがいいよ」
と言われたため、

「あ、来年の映画はキッド様なんや」とわかってしまったんだけど、
そこまで言われたら見にいかんといけんな、と思ったので見た。

『ゼロの執行人』、めちゃくちゃよかった。
たしかに間違いなく、シリーズ初期作に引けを取らない名作であり、
同時に、『名探偵コナン』ではない作品だったと思う。

コナン君がいろんな葛藤を乗り越えながらも常に言葉にしてきた
「真実はいつもひとつ!」という確固たる信念に、
ここまで真正面からアンチテーゼが提示されるとは。

『名探偵コナン』も、ついにここまで来たのか。
これほどまでに大きな作品になってしまったのか。
という、衝撃と感激。

原作を追いかけるのをやめてしまった過去の自分を悔いました。

そしていまこそ、懐かしい少女の頃に戻ったみたいに、
もう一度、コナン君に出会いたい。
彼が追い求める「真実」を、私も一緒に見つけたい。

というわけで、
コミックス1巻から買い集め、読み直すキャンペーンをスタート。

感想、思い出、新しい発見などなど、
大人になった今だから味わえる『名探偵コナン』について
マガジンに少しずつまとめていきます。

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