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【小説】SNSの悪夢

家に帰ると、気持ちを落ち着かせて、次に行う事を考える、弁護士が必要だ。

慌てて携帯で調べてみる、そんな事件が多いのか、割と弁護士が出てくる、どの人が良い弁護士かなんて解らない。

これは勘の様なもので連絡するしかない。

メールで連絡すると程なく返信が来る、どうも警察に行ってくれるらしい、値段は解らないが、高くないというのを信じようかな。

「ただいまー。」娘が学校から帰って来る、「お帰り。」いつもなら仕事に行っていて返事は出来ないが、今日は出来る。

「お母さん、仕事に行かなかったの?」不思議そうな顔をして娘が聞いてくる。

「うん、問題が起きてね、仕事に行かなかったの。」娘に父親の事件を教えるべきかどうか、少しの時間悩む。

子供にはショックだけど、言っておかなければ、生活が変化するのを受け入れられないだろう。

「あのね、問題と云うのはお父さんが捕まったの。」さりげなく言ったつもりが、急な言葉に為ってしまった。

「えっ、誰に???」娘も驚いて言葉が出ない様だ。

「警察に捕まったのよ。」絞り出す言葉が震えてる、子供にどう言ったら良いんだろう?

「警察ってマジじゃん、会社でお金を盗んだとか??」痴漢なんて考えもしていないのだ。

「それがね、どうも痴漢みたい、でも痴漢って相手の人が間違ってて、冤罪ってことも有るでしょ、だから弁護士さんに相談しようと思ってるの。」娘の顔が怒っているのが解かる。

「痴漢ってだっさ、そんな事で捕まったの、イヤだー恥ずかしい、友達に知られたら学校に行けない。」痴漢に対する嫌悪感が膨れ上がってきているのだろう。

「冤罪かもしれないから、捕まったと言っても間違いかも知れないのよ。」既に逮捕されているのだから、その可能性は低いのを知っていても、言い訳をしている。

「間違いでも捕まったって言うだけで嫌、何でそんなことするのよ、まだ不倫の方がましだわ。」SNSで私が呟いていたことを知っている訳でも無いのに、娘が吐き捨てる。

「お母さんにも事情は分からないから、何とも言えないわ、でもSNSで発信していたわけでは無いから、簡単には知られないから、お友達は知らないよ。」自分がした事でも無いのに、何故こんなに言い訳じみた言葉を言っているのだろう。

「でも知られたら、私は学校に行かないからね。」言いたい事を言って、自分の部屋に行ってしまった。

私は子供と違って仕事に行かない選択肢はない、明日が解らないからこそ行かなければ為らないのだ。

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