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2月20日

 朝から陶芸に行く。昨晩突然『映画のチケットを日付を間違えて買ってしまったから代わりに行って』と習い事の友人から連絡をもらった。童話教室の先生もすごいけど、友人も頻繁に映画館で映画を観ていてすごい。私は制作費がすごくかかった大作しか見に行かないので、地味な印象の日本映画までちゃんと映画館で観る金銭的、時間的、精神的余裕がある人たちを尊敬してしまう。

 夕方まで陶芸をやって、そのまま歩いてアップリンクへ。観るのは『罪と悪』だ。全く観る予定のなかった映画を観る、と言うのはとても久々だ。
 


 福井の自然と地方都市らしい混沌の中、高良健吾が半グレの社長をやっていて、モデルルームのような綺麗な家には若くてかわいい奥さんと子供だち。その絵に描いたような幸せが簡単にバランスを崩して無くなりそうに危うく映る。地方都市はどこだって似ているので、私が育った土地と重ねて観てしまう。中学の時は等しく皆、可愛いところがある子供だったが、卒業したら消息もわからぬほどに違う世界に行ってしまう人たちがいる。映画の中の彼らも、大きくすれ違い避けながら、20年ぶりに再会する。
 所々疑問に思う箇所があり、家に帰っても納得できず、他の事が手につかないので早くベッドに入った。それでもやっぱり納得できない。最後も納得できない。監督の作品解説を探したけれど、そういったものは見つからなかった。
 納得はできなかったけれど、映画は良かったし役者さんも好きな人ばかりだった。30代半ばの、若者から大人になっていく時期の揺れ動く青くささとか、懐かしい。

 映画館の帰りは吉祥寺美術館でチェコ在住の絵本作家、出久根育さんの展示に行った。吉祥寺美術館は入場料300円で、たまにとても好みの展示がある良い所だ。
 出久根さんは初めての絵本を出してから30年、並べられた作品群はどれも緻密で繊細で美しかった。油彩、ガッシュ、テンペラなど、描きたい世界観によって画材や描き方を変えている巧みさがすごい。私なんて最近絵を描き始めたばかりで、何にも人に見せられるものがない。一つのことを続けるのはすごいことだ。

 色々詰め込みすぎた。
 家に帰ってテーブルの上に置いた、絵本の下書きを見た。とるに足らない愚作のような気がしてきて、すっかりやる気が失せてしまった。

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