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「インベスターZ」は、人生の役にも立ってしまう名著

ゴールデウィークにやっていた「インベスターZ」の電子書籍セールがおもしろかった。1巻は1円、2巻は2円、3巻は3円……ときて15巻まで合計しても129円で買えた。そして、最新の2冊だけはちゃんとした値段がついている。

首謀者のコルク・柿内さんに聞いたら、とんでもない数が売れたのだそうだ。ある程度、巻数を重ねたマンガは、後半になるとずっと買っているひとしか読まなくなる、今回のセールはその人数を一気に底上げしたことになる。それも元出ゼロで。さすがですねえ。

それで、ぼくも最新刊を含む全巻を買って、読んだ。これが、ほんとうにおもしろいのだ。一家に一シリーズ、紙版も置いておきたい、すばらしいマンガだと思う。実際、ぼくはあとで、紙で全巻買うと思う。

じつは株式投資には、昔、かなり凝ったことがある。ただ、ライブドアショックが起きたときにやめてしまった。あのとき、IT株を中心とした暴落がおきた。ぼくは持ち株がみるみるうちに溶けていくのを目の当たりにしつつ、しかし仕事が忙しくて売るヒマもなく、けっこうな損をした。

それで、「株って、サラリーマンには無理じゃね?」と思い、手を引いてしまったのだ。しかし投資は必要だと思っていたので、その後、投資信託に入れ込んで『投資信託にだまされるな』(竹川美奈子著)という、インデックス投資を啓蒙する本を編集したりした(この本は売れた。いい本です)。だから投資にはずっと関心がある。

「インベスターZ」でぼくがいいなあと思ったのは、株の選び方の考え方についての話がよくでてくるところだ。物語のなかで、中学生男子、中学生女子、就職活動をしている女子大生、パートをしている主婦など、いろんなひとが投資を行っている。

それぞれが異なる考えで投資をしているんだけど、すべてに共通しているのは、みんな「自分でよく考えて、好きなものを買う」のだ。これがとてもいいし、実際に参考になる。コルクの柿内さんは、藤野英人さんの名著『投資家がお金より大事にしていること』の編集担当者でもあるんだけど、その本のなかで書かれていたことともつながっている。

株式投資は、お金を投じてリターンを最大化するゲームだし、人生は時間を投じて、幸福を最大化するゲームだ。どっちも「投資」という意味ではだいたい同じだから、お金の話だけでなく、人生の参考にもなる、すばらしい本だと思いました。

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