『ボクたちはみんな大人になれなかった』連載のきっかけとその後について
cakesの人気連載だった『ボクたちはみんな大人になれなかった』が、とうとう出版されて、めっちゃ売れている。
この連載がはじまったきっかけは、cakes編集部の中島くんがぼくの席にきて
「Twitterですっごくフォロワーが多くて、やたらとエモいツイートをする、おもしろい人の小説をはじめたいんです。自伝的な内容なんですが」
という話である。企画書などはなく、口頭だった。ぼくは、
(おまえは何を言ってるんだ)
という感じだったのだけれど、よくわからないまま、勢いに押されてOKしたのを覚えている。
しばらくして、原稿をたしか2本分くらい、見せてもらった。妙に叙情的で心をゆさぶられる文章で、あ、おもしろい、と思った。それからしばらくして、初回の原稿がcakesに掲載された。
衝撃のひどいタイトルである。それがえらくバズった。
それから毎週、燃え殻さんと中島くんの奮闘がはじまった。燃え殻さんもだろうけど、中島くんも、更新前日は、ほとんど毎週、徹夜だったんじゃないかなと思う。
その後、糸井重里さん、大根仁さん、会田誠さんなど、たくさんのひとのTwitterでも取り上げていただいて、盛り上がりは連載終了まで続き、出版に至っている。
ぼくは半分当事者でもあるんだけど、こういうふうに小説ができあがっていくのは、すごくネットっぽくておもしろいなと思って見ていた。
路上でギターをかかえたミュージシャンが、衝動のままに歌っているうちにお客さんがあつまってきて、そのうちメジャーデビューするのに似ている。小説でもこういうことができるんだ、なんてことを思っていた。
で、本にするとなると、出版社の編集者がついて、あたらしくまとめなおすことになる。新潮社の担当者にも一度会ったんだけど、とても情熱的なかたで、どんな本になるのか楽しみに待っていた。
装丁もオビもすばらしい。いい本になりましたね。
これまでの本というのは、ひとりの編集者が、著者を信じて、つくって、世に問うものだった。でも本書は、成り立ちから連載時、そして本ができあがってからも、常に多くのひとの応援を背に受けて成り立っている。新しい形の文芸作品だと思う。
燃え殻さん、大ヒット、おめでとうございます。
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