ハヤカワさんに「編集者の仕事」について聞かれたので書いてみた。

先日、ハヤカワ五味さんに、こんな質問をいただきました。

加藤さんの考える編集という仕事、編集者とは何をする人なのかを一言で教えていただけませんか?

ちょうどいい機会なので、いつも考えていることを書いてみます。

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ぼくの考える「編集者の仕事」は、一言で言うと、

ひとが想いを伝えるのを助ける仕事

です。

具体的には、編集者の仕事には2つの側面があると思います。

1.ものを作る(のを手伝う)
2.ものを売る(広げる)

編集といえば、1が思いつく人が多いでしょう。もちろん、作品を実際に作るのはクリエイターなのですが、編集者はそのためにいろんな手助けをします。

「こんなことを書いてほしい」と依頼をするのもそうだし、だれに向けて、どんな切り口でつくるべきかというのを、クリエイターといっしょに考えたりします。また、できあがった作品の最初の読者として、感想をフィードバックしたり、タイトルや造本のデザインを考えたりもします。

でもじつは、これって編集の仕事の半分、なんですよね。

残りの半分はなにかというと、2の「売る(広げる)こと」です。著者は、伝えるために書いているわけで、広くみんなに読んでもらわないと意味がない。編集者はそのためにいるのです。

最近は、2を重視する編集者が増えてます。佐渡島さんとか箕輪さんとかは有名だし、ぼくもそっちのタイプの編集者だと思います。

で、こういう編集者が最近増えてきたのは、たぶん時代背景があるんじゃないかな。理由はシンプルで、本が売れなくなってきているから、でしょう。

はっきり言って、昔は本は出すだけで売れました。

「要するに俺たちはさ、いいものを作ればいいんだよ」

かつて出版社のおじさんに、こんなことをいう人がよくいました。たしかに、昔はそれでよかったんだけど、いまは完全に違います。

現在は、いいものを作るのは最低条件。そのうえで、うまく伝えて、売る必要があるわけです。

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で、この話には続きがあって。

昔は、いいものをつくれば、たくさん売れたのはなぜなのか?

インターネットがなかったから? もちろんそれもそうなんだけど、もうひとつの理由は「いいエコシステムがあって、うまくまわっていたから」なんですね。具体的には、

作家 → 出版社 → 取次 → 書店 → 読者

という、ものづくり、流通、そしてお金のつながり(エコシステム)がすごくよくできていました。このおかげで出版社は、いい本をつくりさえすれば、全国の数万店の書店に本が配送されて、お金もすぐにもらえたんですね。もうかるから、いろんな本をどんどんつくることができて、著者も読者も出版社もみんなうれしかった。

が、しかし、このエコシステムが崩れてきているのが現在なわけです。

さっき、編集者の仕事は2つあると書きました。

1.ものを作る(のを手伝う)
2.ものを売る(広げる)

上のようなことを考えると、現在は、これに加えて、

3.そのための環境を整える

がいるんじゃないかなと思っています。

要するに、クリエイターと読者をつなぐ、インターネット時代のあたらしいエコシステムをつくる必要がある、ということです。

(あれ、クリエイターと読者をつなぐ、って聞いたことあるな)

そういう場所でみんながコンテンツをつくって、ファンとつながって、多くの人にメッセージをとどける。そんなふうにできるとすごくいいですよね。

(あれ、つくる、つながる、とどける、って聞いたことあるね)


ということで、まとめます。編集者の仕事を一言で言うと

ひとに想いを伝えるのを助ける仕事

で、具体的にやることは3つ。

1.ものを作る(のを手伝う)
2.ものを売る(広げる)
3.そのための環境を整える

未来のクリエイター、未来の編集者、未来の読者のためには、1と2だけでなく、3が必要です。ピースオブケイクはそういうことをするための会社で、noteやcakesはそのための仕組みです。だから、ぼくにとっては、この会社そのものが編集だし、携わっている社員のみんなもそういう仕事をしているんだと思っています。

ハヤカワさんには(30文字くらいでお願いします)と言われたんだけど、100倍くらい書いてしまった……。

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あと、いい機会なので、今後、定期的に編集のことを書いていこうと思ってます。

清水亮さんとかCXO深津さんに書くように言われているのですが、そういうのはどうしてもエモ成分とかドヤ成分が必要で、恥ずかしい。どうしたものかと思っていたのだけれど、そういう要素が強いものは課金ラインの下に書けばいいのだと気づきました。

今日は、上の話をちょっとだけ拡張した話を書いてます。いいか。ちょっとだけだからな。

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加藤貞顕

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