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つけで本を買うこと

自宅の書棚にあった『村上朝日堂』をなんとなく手にとった。村上春樹さんの初のエッセイ集で、最初の単行本は1984年に発行された(ちょうど30年前!)。そのとき村上春樹さんは35歳。

そのなかに、子供のころ、近所の書店で「つけ」で本を買うことができたという話がある。お父さんが書店に話をしてくれて、お金を払わずに本を買うことができたのだ。代金は月末とかに、親がまとめて精算するのだろう。

じつは、ぼくもそうだった。新潟の実家の近所の小さな書店(菅原書店という名前だった)で、「つけ」で本を買えたのだ。いちおうルールがあって、雑誌とかマンガはだめで、文字の本はいいというものだった。

その書店は、立ち読みもし放題だった。学校から帰ってくると菅原書店に向かい、しばらく店頭で立ち読みをして、気に入った本があると、レジのところでノートにつけてもらって、家に持って帰った。

いま考えると、ぜいたくな体験だ。田舎の小さな書店なので、子供向けの本はすぐにネタ切れになって、その後は新潮文庫やハヤカワ文庫を読むようになった。ぼくの父親は、化学系のエンジニアなのだけれど、本が好きなひとで、ぼくが小学校にあがったころに書店と話をしてそうしてくれたのだ。

あともうひとつ、父親は音楽も大好きなひとで、だからぼくは、本とレコードと楽器が、たくさんある家に育った。なんだか、いまこの仕事をしていることに、つながりまくってますね。

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