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noteをはじめて16日目

将棋の名人戦の第二局がはじまっていますね。去年と同じ、森内名人と羽生三冠が戦っています。昨年のいまごろ、ぼくは将棋の名人戦第一局の観戦記を書いてました。朝日新聞に依頼をいただいて、慣れない原稿に四苦八苦していたのを思い出します。

観戦記者という立場で将棋を観るのは、尋常じゃない体験です。通常、タイトル戦の対局室というのは、二人の対局者と記録係くらいしか入れません。観戦記者はそこに踏み入って、対局の様子を見て、それを書くのが仕事なのです。

「踏み入って」と書きましたが、あそこに入るのは、それくらい怖いことです。名人戦の第一局は、椿山荘の中庭にある料亭で行われるのですが、部屋の周りにはだれもいません。長い廊下を歩いて、対局室の扉の前に立ち、襖を開けるのにはかなりの勇気が必要でした。

森内さんと羽生さんが盤上に思考をめぐらせている様子は、壮絶でした。ぼくは、あんなに必死で、すごい勢いで、しかもずっと続けて、ものを考えているひとを見たことがありません。羽生さんは動きや表情が多く、森内さんも目の色や顔色が状況に応じてどんどん変わります。まるで、人間のあらゆる思考と感情が二人の対局者に一度に降り注いでいるかのようでした。

ぼくは仕事がら、ああいう体験をもっと共有できないものかなということを考えます。もちろん、いい観戦記を書くというのもそうなんですが、技術でいろいろ解決できそうですよね。たとえば、オキュラスリフトのようなVRヘッドセットを使うと、そうとういい感じなんじゃないかな。

4月22日 火曜日 京都に向かう新幹線の車中にて。

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