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人類は「物語」で繁栄した!――『サピエンス全史』上巻の感想

子供のころ、歴史という科目が嫌いだった。なぜ昔の人のしたことを覚えなくてはいけないのか、ぜんぜん意味が分からなかったからだ。

先生に聞くと、「昔のことがわかると、現在や未来のことがわかるんだよ」と言われたけど、やっぱり納得できなかった。昔と今って、どう関係してるんだろう?

もうひとこえ、先生には説明してほしかったなと思う。

いまの人類、つまりホモ・サピエンスは、数万年前からちっとも変わっていないから、彼らのことを学ぶとこれまでの世界の成り立ちがわかるし、そうすると、現在のことや今後について考えやすくなるんだよ。

と。それなら、歴史を学ぶことにすごく納得がいく。

ベストセラー『サピエンス全史』をようやく読みはじめた。

上下巻なので、ちょっとひよっていたのだが、みんながいいと書いてるのでやっと腰を上げて読んでいる。そうしたら、いま上巻の後半まで来たところなんだけど、やっぱり半端なくおもしろい。

ここまで読んできて特に印象に残っているのは、新参者だったホモ・サピエンスが、ネアンデルタール人などの旧人達を圧倒していったパワーの根源は、物語である、という話だ。感情の共有だけでも100人くらいまでの組織はつくれるが、それ以上の組織化は「神話」――虚構による共通の物語――を構成員たちが信じる必要がある。

この本がすばらしいのは、こういう議論を現代社会にまで拡張して考えることだ。清水さんも書いていたけど、会社をつくるという行為は、ほとんど黒魔術に近い。だって、資本金を銀行に入金して、書類をつくって、役所に届け出ると「法人」ができるんだよ。

本書の中身は、以下の数行に集約されている気がする。

歴史の大半は、どうやって膨大な数の人を納得させ、神、あるいは国民、あるいは有限責任会社にまつわる特定の物語を彼らに信じてもらうかという問題を軸に展開してきた。とはいえ、この試みが成功すると、サピエンスは途方もない力を得る。

前回の話にも関係するけど、人類の営みは人を説得する歴史なんだなということをつくづく感じる。

上巻で扱うのは、250万年前に誕生した旧人類から、新人類のホモ・サピエンスへの置き換えの話、言語の獲得、農業革命、帝国の勃興、貨幣の発生あたりまでとなる。下巻のテーマは宗教と科学。読むのが楽しみすぎる!

様々な知識を得て、そして視野が拡張される、良書だと思います。

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