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広告デザインの人間工学的アプローチ(導入~物理的側面)

お久しぶりです、こんにちは。

今回は、現職の広告デザインにおける社内勉強会から、
一番初めに話した、「人間工学的なアプローチ」に関して、
改めて、社外向けにもまとめ直そうかと思います。

業界でよく言われる「訴求軸」や「デザイン軸」より手前の、
『機能するための最初のステップ』に関してのお話です。

はじめに ~人間工学とは~

人間工学とは、
人間が関わる全てのものに影響を与える工学です。

物理的な形状、特徴、生理的反応・変化に加え、
心理的な感情の変化なども含まれる「人の性質」そのものです。

つまり、「人を動かすデザイン」にとって、
この人間工学というのは、構造の本質に近い考え方と言えます。
今回は、それをクリエイティブ制作になるべく繋がる形で、
以下にまとめていこうと思います。

デザインは全て「どう見えて」「どう感じるか」

皆さんや自分を含めた人間が、「何かを見たことによって」行動する際、
そのメカニズムは、以下4ステップに集約されます。

Step.1 発見
 └「お、なんかみえた」「なんだこれ?」
Step.2 理解、判別
 └「○○って書いてある」「○○が見えた」
Step.3 理解したことへの思考、価値判断
 └「コレはワクワクするな♪」「ムカつくな…」
Step.4 価値判断、感情を元にした行動
 └「欲しい!クリックしよ」「興味ない、飛ばそ」「通報だ!」

『どう見えるか』にあたる、物理的な1+2のステップを経て、
『どう感じるか』にあたる、感性的な3+4のステップに至るわけです。

広告を始めとする、認知してもらうところからを命題とするクリエイティブにおいて、
上記の「どう見え、どう感じるか」は、
メッセージを伝えるために最低限必要な、作家性や美術的なハウツー以前の必須事項と言えます。

今回は、その物理的側面までを考察し、
次回は、その感性的側面について触れていこうと思います。

物理的に目が動いてしまう現象

例えば、
「生理的な認知の優先度」は、以下2つの実験を通して垣間見ることができます。
それぞれ、サンプル動画をもとにテスト形式で見ていきましょう。

【実験1】
ファイル01の動画を3回程度見たら、
その後は見返さず、下部記載の質問に答えてみてください。
( ´_ゝ`)ズルシナイデネ

↓↓スマホアプリの方はコチラのドライブから閲覧できます↓↓
https://drive.google.com/file/d/1ciiz1Tpj0rGB_Z_MzZOdYhOPMWWpqQXg/view?usp=sharing

見終えましたか?
見終わった方から、以下を質問していきます。
考えて良いので、思い出しながら答えてください。

問1.
これは、何がどうなる動画でしたか?
問2.
特殊な動きをする四角は、いくつありましたか?
また、どんな変化のバリエーションがあったでしょう?
問3.
逆に、普通に動く四角は、いくつありましたか?
──本当に、その数は自信を持って答えられますか?



いかがでしたか?
問1において、殆どの方は
「灰色の四角が下から現れ、上に移動する」
と、お答えになったのではないでしょうか。

そして、問2は答えやすくても、
問3は、少し難しかったのではないでしょうか?

モヤモヤした気持ちが晴れないうちに、以下の実験も見ていきましょう。

【実験2】
ファイル02の動画を3回程度見たら、
その後は見返さず、下部記載の質問に答えてみてください。

↓↓スマホアプリの方はコチラのドライブから閲覧できます↓↓
https://drive.google.com/file/d/1km9WN1NmMIn6as5ielwtE8fAyl64cHLG/view?usp=sharing

見終えましたか?
見ていただいたら、同じく以下を質問していきます。
こちらも、しっかり思い出しながら答えてください。

問1.
これは、何がどうなる動画でしたか?
問2.
特殊な動きをする丸は、いくつありましたか?
問3.
他の丸はすべて、動いていましたか?
それとも、一つでも途中から止まっていた丸はありましたか?
──本当に、自信を持ってそう言い切れますか?



はい。今度はいかがでしたか?
意地悪にも慣れてしまったでしょうか(笑

でも、やはり
問1は、「一つの円が突出して動き回った動画」
といった回答で、

問2を1つと答えられても、
問3は、少し不安になる方が多かったのではないかなと思います。
(ちなみに、全部動いてますw)

実験結果・現象の整理

上記2つの動画と質問から、何が言えるのでしょうか?
大きく3つ、ざっくりと傾向をまとめてみます。

「あるもの」が「あり続ける」より
「ない」ところに「現れる」方が注意を引く
「一定の動き」より
「変則的な動き」の方が注意を引く
そして、
「より積極的に変化を続ける」方が、絶えず注意を引く

上記のような特性を並べた際、「物理的な認知の特性」は、
以下の様な表題で表すことが可能になってきます。

人の目は“変化”を補足しようとする

先述の実験からわかる通り、
人は、単に動きを捕捉するのではありません。
その中での“より大きな変化”を追うのです。

ずっと一定の動きだと、変化と認知しにくい
ずっと同じ法則の動きだと、変化と認知しにくい

一方、周りが動き続けていても、違う動きや色の要素が現れれば、
変化として強く認知します。

日常生活で言うと、トンネルのライトなんかがそうです。
規則的に同じ色が続く間は、運転中、大して気にもせずスルーしていくのですが、
交換したての新品なのか、少し違う色のライトがあったり、
逆に消えてるライトがあったりすると、急に目が行きます。

いつだって、人は変化を追っていくのです。

これらの性質は、人間が動物だった頃の名残と言われています。

「止まっているものが殆どない」自然界において、
大きな変化は「迫る危険」か「獲物のチャンス」でした。
変化を都度認知する者が、
より有利になる世界だったのです。

これらをデザインに組み込むには

上記のような特性が人間にあったとして、
それらをデザインで有効に使うには、どうすればいいのでしょうか?

先ほどお話ししたように、この性質が効くのは
物理的な「どう見えるか」に伴う部分です。

そこで、物理的なノウハウが有効打となる、以下2点。
・視聴開始
・視聴継続

の観点で活用を考えてみましょう。

視聴を始めてもらうための物理的対処

視聴を始めてもらうにはまず、
見つけてもらえる「変化」をつけることが重要です。

目に入った瞬間が最も重要なポイントですから、
動画なら冒頭、静止画なら、画面に現れてから流されるまでの短時間が勝負です。

例えば、広告掲載におけるポイントだと、
以下のような変化がそれにあたります。

・UI上でのコントラスト考慮
 タイムラインSNS等、一定のUIアセットの繰り返しで掲載される際
 画面の法則性とコントラストをつける
 良く言えば目立つように、悪く言えば、浮くようにする配慮
・スクロール中でも気づく変化
 情報一覧として見流される短時間に、目を止めるだけの
 ビジュアルの変化(視線確保する動きや、瞬間視で目立つ色など)
 をつける
 良く言えばつい見てしまう、悪く言えば、びっくりする挙動
・音声でのアテンション
 動画視聴媒体等、視聴の際に音情報も重要になる媒体では、
 音声面でも冒頭にインパクトや前後とのコントラストをつける
 ビジュアルやテキストがUI上で多く流れがちな中、
 音というものでスイッチを入れてやることで、
 人はハッと気持ちを入れ直し、そちらを向きます

このように、
そのデザイン物が掲載される場、見て(聴いて)もらっている状況において、
強い変化として認識されるよう、意識して構成します。

「なにか動かしておく」「カッコよくする」などと言った、漠然とした狙いでは、
人に届く前に、機能しないまま、情報としてスルーされてしまいます。

メッセージを届けるためにも、まずは「物理的に見つけてもらう」努力をしましょう。

視聴を続けてもらうための物理的対処

見つけてもらった情報は、
次の要望として、できるだけ最後まで見てほしいですよね?
そのためにも、見続けてもらうための「変化」も考察してみましょう。

見続けてもらっていく中での話ですので、
基本的には動画やGIFアニメーションの話になり、
展開の仕方に重きが置かれます。

・同じ状態を続けない(3秒が目安)
 同じ画や挙動が3秒以上続くと、多くの人は間延びを感じる
 これは、単に退屈だけではなく、「この状態が続くのではないか」
 という予想も兼ねてしまい、結果、そのコンテンツから離脱する
 この際、視聴率の観点から3秒以内に収める事が重要と言われています
・同じ変化を繰り返さない(3回が目安)
 
オブジェクトが動いたり画面遷移が起きていても、
 同じ展開が続くと、上記同様、人は退屈さを感じると同時に
 「今後も、また同じことが続く」予想から離脱しやすくなる
 変化し続け、豊かな情報展開が続く未来を想起させる必要がある
 この際、手拍子などでもそうなのですが「3回、3節以内」だと
 テンポ良く感じやすいので、覚えておきましょう
・飽きるタイムリミットを延ばす
 それでも、長く尺をとって展開を見せる狙いが外せない場合、
 上記したようなタイムリミットを、延ばしてやる方法もある
(例)情報の欠損をつくり、飢餓感を演出する
  漫画の広告などに多い、展開を気にさせるなどのパターン
  日本語は文末で結論が出やすいこともあり、
  日本人は「オチ」を気にする傾向が強い
  オチの情報チラ見せと、結論の先送りは、コントロール次第で
  「気になる展開」となり、離脱判断を先延ばし出来る

最後の一つは物理的な変化というよりは、情報設計に近いですが、
このように、離脱しないために変化を要所に置くことで、
より長く、コンテンツに時間を割いて視聴をしてもらい、
伝えたいメッセージを正確に受け取ってもらいやすくなります。

上質なメッセージそのものを当てるだけでなく、
そのメッセージが本来の情報量で機能するよう、工夫しましょう。

最後に

デザインやクリエイティブとは、
体験するユーザーを通じ、人の性質を考え、
課題解決へのトライ&エラーを続ける、苦難の道にほかなりません。

次回は、感性に対してのアプローチの話をしていくわけですが、
その心理的な効果を発揮するためにも、
まずは発見され、届くよう、本投稿を参考にして頂ければ幸いです!

最後までお目通し頂き、ありがとうございました!
次回も、よければお楽しみに!

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有難うございます!次も楽しんでもらえるよう頑張ります!
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黒江義史

株式会社セプテーニにて、クリエイティブディレクターを担当しています。 量販店の空間デザイン、スマホゲームデザイナー、WEBアートディレクター、PMと経て、 最後は広告代理店にて、「人に伝える」「人を動かす」こと全般で活動中です。

広告デザインの人間工学的アプローチ

人は どういうものを見たとき、 どういう風に感じ、 どう動くのか、 人間工学視点から、デザインを考えていく導入をまとめてみました。
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