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同じ月見パイを食べている。

子の幼稚園のお迎えの間に少し時間ができたので、幼稚園の最寄りのマクドナルドに車で立ち寄ってモバイルオーダーでプレミアムローストアイスコーヒーと月見パイを注文した。

レジ前の椅子に座り、文庫本を見ながらディスプレイにオーダーナンバーが表示されるのを待っていたが、店内が空いている割には遅く感じた。私はマクドナルドのアプリを確認した。なるほど、注文した店舗を間違えてしまったようだ。

人はこう言う時ほどクールであらねばならない。

間違えた店舗は駅前の店舗だった。車を止めることもできず、現在地からはまあまあ離れている。私は間違った店舗に電話し「すみません、注文を間違えてしまったので、よかったらそちらで食べてください。」とお願いした。

私は現地で再びプレミアムローストアイスコーヒーと月見パイを注文し、現金で会計を済ませ、それを食べた。月見パイを食べている間、間違って注文した方の月見パイについて考えていた。

間違って注文したプレミアムローストアイスコーヒーと月見パイはちゃんとスタッフが美味しく頂いただろうか。ゴミ箱に捨てられてはいないだろうか。たった今休憩に入ったスタッフ、あるいは退勤直後のスタッフなど、良い感じのタイミングでそれを受け取れるスタッフと巡り逢えただろうか。

そんなわけで今、ともすればお互い素性も存在も知らない二人が、同じ月見パイを食べている。


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