見出し画像

音楽レビュー|番外編 (6/26)

 この1週間で見つけた・出会った曲、新たな発見があった曲を個人的な解釈で紹介していくこのシリーズ。今回は1曲について書く特別編。

ーーーーーーー

今回紹介するのはこの曲。
サウンドオブ下北沢/敏感少年隊 (サウンドオブ下北沢)

 すでにご存知の方もいるかもしれないがが、意外にも知らない方も多かったことと、最近身の回りで色んなことがあり、この曲を聴いて思うことがあったので紹介することにした。
諸々お話をする前に、先ずはこの曲ができるまでの経緯を簡単に説明する。
 2005年11月、Shibuya O-EASTで行われた下北沢の再開発計画を考えるプロジェクト『S.O.S.(The Sound of Shiomokitazawa)』というイベントに峯田が弾き語りで出演し、ライヴ前日に作られたのがこの"サウンドオブ下北沢"という曲だ。その後、公募で選ばれた女性4人と銀杏BOYZ 元Gt.チン中村を加えた男女6人ユニット”敏感少年隊”として、2006年に発売された。CDにはこの曲のほかに吉田拓郎さんの"シンシア"、ホブルディーズの"花咲く街で"の2曲がカバー曲として収録されていて、そちらも是非聴いてほしい。

 ここからレビューに入っていくが、自分が思うにこの曲は峯田がこれまで作った曲の中で5本の指に入るほどの名曲だと思っている。何よりもこの歌詞。峯田にしか書けない歌詞、峯田じゃないと伝わらないものがこの5分31秒に詰まっている。さらに、曲中に入るリコーダーやピアニカは公募の女性による演奏なのだが、全員素人。音が外れたり、飛んでいるところも多々あるが、むしろそれがこの曲の良さにもなっていて、曲の良さが歌の上手さ、演奏の上手さだけじゃないこと体現している曲だ。


 と、レビューっぽいことを書いたが本編はここから。この"サウンドオブ下北沢"は、こうしてこの曲でnoteを1本書けるくらいほど、自分のなかでも思い入れの強い曲でもある。自分がこの曲を知ったのは2020年の秋ごろ、Twitterのタイムラインで見たのがきっかけだった。あの頃は銀杏BOYZだけが精神的支柱で、そこから音楽や場所といった色んなカルチャーに影響を受け吸収していて、部活終わり、一人高円寺で降りて純情商店街やPAL商店街を巡り、中野まで歩くということをしたこともあった。下北沢もそんな街のうちの一つで、この街の存在を認知したのもこの曲がきっかけだった。曲中に出てくる”DORAMA”にいつか行ってみたいと思ったり、”VILLAGE VANGUARD”と言われたら真っ先に下北のビレバン出てくるほど憧れの街だった。
 そんな下北沢に初めて訪れたのは去年の3月。後に付き合う運びになる(も、2ヶ月足らずで別れた)人と行ったのが最初だった。サニーデイ・サービスの曽我部さんがやっている”カレーの店・八月”でカレーを食べて、下北の街をぶらぶらと歩き、渋谷の文化村で行われていた彼女展に行った。その子も銀杏が好きだったので、DORAMAやVILLAGE VANGUARDに訪れたとき、「この曲のMVに出てて~」という話をした思い出がある。


 そんな思い出のある"サウンドオブ下北沢"という曲、そして下北沢という街。そのレビューの最後に1つだけ。
3番の歌詞に「下北沢が変わってしまう」というフレーズがある。自分が初めて下北沢に訪れたときは、線路が地下になったりと”変わってしまった後”に訪れたため、ここの歌詞があまり共感できなかった。しかし先日、ライブを見るため下北沢に訪れた際、時間が余っていたのでDORAMAに行ってみると『完全閉店セール』と書かれたパネルや旗が出ていた。正確にはお店自体はなくならないが、業務形態が古着屋に変わってしまい、古本を買ったり、歌詞のようにDVDを借りることもできなくなってしまった。
当時付き合っていた人とも別れ、歌詞のようにビデオやCDを買うことができるDORAMAではなくなった今、この「変わってしまう」を実感できたような気がした。そこには嬉しさもちょこっとあったがやっぱり悲しかった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?