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ライブレポ|ライブハウスでさわご (8/2)

8月2日 午後6時
気づいたら俺は大阪にいた。

 ことの発端を説明する。この日、the dadadadys、THE 2、神聖かまってちゃんの3バンドによるライブハウスイベント”ライブハウスでさわご”が開催された。the dadadadysは言わずもがなだが、また見たいと思っていた神聖かまってちゃん、そして前々から見てみたかったTHE 2という個人的にもかなりアツい組み合わせだった。しかし、場所が大阪なことと、定期試験中ということもあり、行くのは断念。


するはずだった。
しかしライブ前日、THE 2の公式Twitterからこんな発表があった。

一応、知らない人のために説明すると、この日出演するthe dadadadysは、もともとtetoという名前で活動していた。そう、元メンバーと思わぬ形で邂逅することとなったのだ。こうなると話がが変わってくる。すぐさま新幹線や飛行機の時間や交通費などを計算してみると、時間には間に合いそうだった。ただ、ここで問題になってくるのは試験期間中だということだが、幸いなことに(?)木曜日はテストが無く、金曜日も1科目だけだった。そしてなにより、この日のライブで何か起こったとき、それを見れずに後悔することのほうが何倍も嫌だった。こうして行くことを決めた。

 そして当日。テストも終わり、急いで羽田空港へ向かい飛行機に乗った。そして午後6時、大阪伊丹空港に到着。そこからバスに乗り換え、午後6時40分、なんとか開演時間までに到着することができた。

 ドリンク代を払いフロアに入ると、すでにWELCOME ACTのDNA GAINZが演奏していた。一応開演は18:45だったが、どうやら演奏は開場時間(18:00)から始まっていたらしい。クラベスなどギターやベース以外の楽器を使ったり、フレーズを反復させるルーパーを使ったりと独特な世界観を感じた。
 途中のMCで、Gt.Vo.ながたなをやが「俺、今日めっちゃ楽しみにしてて、THE 2も、かまってちゃんも、the dadadadysも全部楽しみで、けど自分たちも負けないくらいの演奏をするから…」と話していて、曲の印象とは違ったアツくロックな一面を見せた。その一面はMCだけでなく、最後に演奏した"Sound Check Baby"ではGt.イタガキタツヤのギターのシールドが抜けるほどに動き回っていて、その姿はただの”バンド”ではない、まさしく”ロックバンド”だった。

 WELCOME ACTも終わり機材転換が入る。その間に人の隙間を縫って前に進むと、フロアの1段目まで来ることができた。しかも、頭の間からメンバー全員を見ることができるポジションに来ることができ、期待は膨らむばかりだ。

 フロアの照明が暗くなって、SEが流れだし、サポートGt.山﨑陸が手でハートを作りながら登場し、続けてほかのメンバーも登場してくる。THE 2のライブ自体は初めて見るが、歓声はいつもより大きい。心なしかそんな気がした。そうして"ニヒリズム"からTHE 2のライブがスタートした。やっぱりギターを弾く陸さんの姿はいつ見ても楽しそうで、間奏にもハートを作っていていて、一際輝いていた。
 ライブは勢いそのままに"ケプラー"、"ナイトウォーク"と続けて演奏しMCへ。「改めまして、THE 2です!」と挨拶をしたあと、Gt.Vo.古舘佑太郎が「いやー、本当に”2”になっちゃったねー」と笑いながら話し始めた。そのまま軽い雑談をしたあと、メンバーを紹介へ。陸さんを紹介にすると思いきや、飛ばしてもう1人のサポートDr.吉田雄介を紹介。そのまま次の曲へいこうとするボケをはさみ陸さんの紹介した。冒頭に書いたように、the dadadadysの前身バンドとなるtetoの元ギターだったことや、今回の誘いを一度断ったことなど話しつつ、その流れで「yuccoも2だし(元2のメンバーだった)、”バンドの交差点”って感じでいいね」と言っていて、この表現がとてもいいなと思った。
 ライブは"SとF"、"DAY BY DAY"と前半の勢いを止めないどころかさらに加速させていく。個人的には"DAY BY DAY"は原曲では加藤綾太のコーラスが入る曲なので、陸さんがコーラスに入るとどんなふうになるか楽しみだったので聴けてうれしかった。
 終盤に入り、古舘が「友だちの 彼女に手を出しなさい」と弾き語ったあと、「この中で友だちの彼女に手出したいと思ったことある人いますか?」と聞き、また「親のこと 裏切ってしまいなさい」と弾き語ったあと、「俺は今日、親の七光りでここに立ってます」というと開場から笑いが上がり、Ba.森夏彦が「自分の力、自分の力w」と笑いながら返した。そうした掛け合いのあと、改めて「友だちの 彼女に手を出しなさい 修羅場こそ あなたの現世の場所」歌い直したあと、力強く「ルシファー!」と叫び始まった"ルシファー"。ギターのイントロが鳴るとフロアも一気に盛り上がり、サビに入るとおそらく目当てのバンドが違うであろう人たちも腕を上げていたように見え、対バンの良さ、ロックの良さが全面に出ていた。そしてラストは"恋のジャーナル"で腕を上げたり手拍子をしたり、楽しくさわぎ、最高のスタートダッシュを決めた。

 機材転換が終わり、諸々の準備が終わると、フロアが暗くなり、"ロックンロールは鳴り止まないっ"のピアノが流れ始め、2バンド目の神聖かまってちゃんが始まった。光るブレスレットを着けている人も多く、体感だとかまってちゃんのファンが一番多かった気がした。メンバーの登場とともに大きな歓声が上がり、登場したあと、の子が「俺は大島 ここは大阪  大きい坂 デカい坂駆け上がって行こうぜ!」とラップ調でフロアを盛り上げる。その勢いで"ロックンロールは鳴り止まないっ"のように「Yeah!」と煽ると、お客さんも「Yeah!」と返す煽り合戦を何回か繰り返したあと、「まあその曲はやんないんだけど」との子節でフロアを盛り上げる。
 そしてTHE 2からの勢いを殺すことなく"プシ子の手紙"から始まり、続けて"るるちゃんの自殺配信"が始まるとお客さんがグッと詰まり、自分も1柵目の後ろの方で見ていたが、何か突き動かされたかのようにその中に混ざっていた。
 ライブは"Girl2"、"夜空の虫とどこまでも"、"夕暮れの鳥"とこれまでの曲調と変わった曲が続き終盤戦へ。進撃の巨人のオープニングにもなった"僕の戦争"を演奏したあと、の子が「俺はお前らのことが大好きだ!お前らが俺のことをどう思ってるか知らねえけど、俺はお前らが大好きだ!」そう叫ぶと、フロアからも叫びに似た歓声が返ってきた。その眼にはパフォーマンスや偽りといった演技は一切ない、心の底からの叫びのように思えた。正直、似たようなことを言うバンドやアーティストは山ほどいるが、の子、いや大島亮介が言うとその言葉の重さが違った。まさしく”Live”だった。そうして最後の"フロントメモリー"へ。イントロが始まっただけでお客さんが一気に詰まり、サビではの子もダイブしてくるなど、イベントのタイトル通りにみんなぐちゃぐちゃになり、神聖かまってちゃんは終わった。

 バトンはラストのthe dadadadysへ。SEが流れ、順々にメンバーが登場し、最後に小池貞利が登場。the dadadadysバージョンにアレンジされた"光るまち"から始まった。Aメロもサビも関係なくみんなで歌ってジャンプ。そして勢いのままに"(許)"、"kill&miss"とこのイベントにふさわしいロックな曲が続き、フロアも3バンド目とは思えないほどに盛り上がっていた。そして続けて演奏された"しぇけなべいべー"と"にんにんにんじゃ"では、にんじゃのポーズをしたり、意味わかんない言葉でバカになって踊ったりと、まるで水曜の夜とは思えない最高な空間が広がっていた。
 ハンドマイクからアコギに持ちかえ、弾き語りから始まったのは"忘れた"、そして小池がジャズマスターに持ち変え、「特に深い意味はないけど久しぶりに会えた人がいたから歌います」と言って始まったのは"拝啓"だった。いつ聴いても、ライブで見ても良い2曲だが、今日は少し特別だった。"忘れた"はいつもより心の深いところに刺さり、涙は出ずともくるものがあった。そんなぐちゃぐちゃな感情の中演奏された"拝啓"は、過去一盛り上がっていたような気がした。
 フロアが静まり、クールダウンした雰囲気の中始まった"らぶりありてぃ"。小池がVOXのアンプに腰掛けながら水を飲み、歌い始めた姿が雰囲気と照明も相まって、とてもかっこよかった。そして最後の"ROSSOMAN"では、ダイブモッシュが起こるほどに再び盛り上がり本編が終わった。

 フロアの照明が明るくなるがアンコールの手拍子は止まず、しばらくして再びステージに登場。そして小池が「俺がかつて埼玉県戸田市上戸田1-7-5クレストヒル303号室で、何もかも嫌だなー、痛いなー、痛いなーって思って作った曲」と言って演奏したのは"pain pain pain"。何もかもラスサビ前、となりにいた顔も名前も知らないロン毛の兄ちゃんと肩を組んでいたら、持ち上げられそのままダイブ。拳を上げて小池の方を見たら、小池と目が合った。すると、小池がギターを投げ捨て客席に飛び込み、チューされたのだ。そこからしばらく記憶は無く、気づいたら曲が終わり、その兄ちゃんの抱き合っていた。
 そしてラストの"東日暮里5丁目19-1"。ここでも直接名前を出してはないが、陸さんのことを話していた。計らずも同じステージに立つことになったこの日だが、2番にある「悲しいことってあんまりないけど 寂しいことって結構あるよな」という歌詞にいつも以上の重みがあった。間奏でメンバーの方を向きながらギターを弾く小池の姿は、心なしかいつもより噛み締めながら弾いているように見え、そんな小池の姿にフロア全体が吸い込まれていった。

 今日の会場のumeda TRADはフロアの真上に照明用のスペースがあり、そこから演奏中に他のバンドが演奏を見ていたりしていた。DNA GAINZのメンバーが目をキラキラさせながらTHE 2を見ていたのも印象的だったが、その中でも陸さんがthe dadadadysの演奏を見ていたことがなによりもグッときた。いわゆる奇跡のようなことは起こらなかったが、このライブのためだけに大阪に行った価値があった、そんなライブだった。


p.s.ちなみに金曜日のテストは再試になりました

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