見出し画像

ライブレポ|the dadadadys 全国ツアー(茜) ツアーファイナル (12/24)

6月9日に行われた(許)ツアー ファイナルで発表された、今回のこの全国ツアー(茜)。発表されたときは「8月なんてまだ先だな」と思っていたらあっという間にツアーが始まり、「クリスマスイブなんてだいぶ先の話」と思っていたら、今日を迎えていた。始まった頃はTシャツ一枚でも暑いくらいだった夏だったのに、気づけばコートを着ても寒いくらいの冬、それもクリスマスイブだ。
移動中Twitterを見ていると、地方から来るフォロワーから別界隈のフォロワーも来ていた。それもそのはず、今回のツアーは途中から明らかにセットリストがおかしかった。F.A.D横浜では"奴隷の唄"をやったり、1つ前のヘブンズロックでは"ルサンチマン"に"36.4"などと思ってもないところからの曲ばかりで、今日のライブへのハードルは上がっていく。が、そんな心配は必要ない。dadadadysならそんなハードルも軽く越えてくるから。

18:00。いよいよライブが始まる。
入場SEで流れるのはthe dadadadysカバーによる"じゃじゃ馬にさせないで"。ツアー後半から西尾悦子さんの元の曲からdadadadysカバーのものに変わったのだが、初めて聴いたときのあの驚きは忘れられない。
そして1番を歌い終わるぐらいにメンバーが登場する。赤いセットアップのスーツを着たDr.yucco、サイドを刈り上げたヘアスタイルから金髪に染めたGt.山岡錬、革ジャンをキメたBa.佐藤健一郎、ロゴTの下に光るまちのロンTを着たGt.儀間陽柄、そしてtetoのときを彷彿とさせる伸ばしっぱなしにウルフを混ぜたような髪型の小池貞利が現れ、「最初で最初の覚悟で…」と言って、"蜩"から始まったイントロが流れ始めたとき、理解が追いつかず「え、は?」と半分放心していた。F.A.Dではもしもしから、名古屋では夢見心地で、HEAVEN'S ROCKに至っては土地柄も相まって高層ビルなどと、ツアー後半に1曲目からとんでもない曲をぶつけてきていた。これまでのライブを通して「今日は何から始めるんだろう」と思っていた今日、蜩から始まり、「あ、今日はやばい」と会場にいる誰もが思った。このツアーが発表されたときにTwitterで見かけた「蜩やりそう」というフォロワーのツイート、WアンコールでやってくれたF.A.DとHEAVEN'S ROCK、全てはこの日のためだったんだなと思った。サビではダイバーに加え大合唱が起こり、本当に1曲目か?と疑うほどの盛り上がり。そしてF.A.DとHEAVEN'S ROCKではなかったアウトロまで演奏し小池もダイブ。フロアの熱は一気に最高潮へと高まった。
そんな最高も、日常の最低も更新してくれる"ROSSOMAN"、そして"k.a.i.k.a.n"へと続く。まだ始まって2,3曲だがフロアはぐちゃぐちゃ。もちろん悪い意味ではなく、みんなが。ふと、錬さんを見ると、ファンが着けてきたトナカイの帽子を被りながら演奏をしていて、それが妙に似合っていた。そんなかわいい(?)見た目と裏腹に、カッコいいカッティングを魅せつける。
ここまで3曲ぶっ通し、それも激しい曲が続いたが彼ら5人には休憩という言葉はない。原曲でも早いのにさらにテンポアップしたアウトロが終わるとyuccoさんのドラムが鳴り、小池が「クソみたいなカップルのクリスマスのセックスは止められないけど、俺もお前らも誰にも止められない!」と言って始まったのはもちろん"とめられない"。小池の言う通り、こんな3曲が続いたら止まれる訳がなかった。
ここで小池が「ちょっとクールダウン」と言って始まったのは"しぇけなべいべー"。クールダウンとは言ったものの、小池はステージで歌い踊り、フロアもそれに合わせて体を揺らし、一瞬にしてダンスフロアに早変わりした。
そんなクールダウンも一瞬で終わり。ラスサビでテンポアップし、続けて"にんにんにんじゃ"へ。指を重ねて忍者のポーズをして、フロアではモッシュしまくり。クールダウンとは一体なんだったのか、小池もファンも踊り。"青二才"。小池が歌い終えると儀間さんと錬さん、2人のギターから始まった"暖かい都会から"。小池が指でOKマークを繋げて蝶々の形を作り、「蝶々結びで締めた思い出を…」と歌い始めるとすぐに大合唱が起こり、サビに入るとダイバーの嵐で再び熱は最高潮となった。

激しい曲続き8曲を終え、やっとここでMCに。話の中でツアーのタイトルにもなっている"(茜)"、突如追加された"じゃじゃ馬にさせないで"のカバーに加え、新曲もう1曲を1/26にリリースすることが発表された。そしてMCの最後に「1/26にリリースする曲があの光るまちよりひかってる」と言って"光るまち"へ。世間はクリスマスだが、ステージの照明や輝く涙や汗の方が街のイルミネーションなんかより綺麗だった。
そしてここから激しい曲が続いていく。"あっ!"から「壊したいくらい愛したい」と言って始まった"kill&miss"。特にkill&missは今回のツアー中にリリースされたセルフカバーの内の1曲で、音の数やノイズ、アレンジなど全てがパワーアップしていて、ライブでも小池が言っていた「今の自分が作ったらもっとかっこよくなると思った曲」が、盛り上がりを見ても感じた。
そんな爆発した勢いのまま"トリバーチの靴"が始まってしまったら今度こそ誰もとめられない。正直、今のロックシーンでブチ上がるような曲なんて早々ない中、イントロの1フレーズだけで感情もなにもかも爆発させるこの曲は、ある種一番大事なように思えた。そして「みんな無理しないでね」という“あの曲が来るまでは”今年No,1 MCの"メアリー、無理しないで"へ。こんな曲が続いて無理しないでは無茶だろ、と言いたくなるなるような曲順。ステージ上の照明がチカチカと光る演出は自分たちをさらに興奮させた。
と、これだけ激しい曲が続いたあと、小池が「皆さんを遊泳地に招待します」と言った瞬間、頭を抱えて崩れ落ちた。"遊泳地"。大阪のWアンコール、自由夜の弾き語り、そして1つ前のヘブンズロックのライブ後、ずっと「遊泳地が聴きたい」と言っていたので、嬉しいとかを通り越して感情(というか情緒)が壊れた。イントロの鐘の音から終始涙が止まらず、まともにステージを見ることができず、サビで涙をボロボロ流しながら歌った。
そんな曲のあとにくる"らぶりありてぃ"と"忘れた"は、いつも以上に心にくる。小池が大事な曲と言っていたらぶりありてぃはフロアの一体感がこのツアー中で一番だった。tetoからのセルフカバーとなった忘れたも素晴らしく、アコギをまるでエレキギターのように弾く姿は本当にかっこ良かった。

「真面目な曲はこれで終わりね」とぼそっと言ったあと、小池から「残り4曲」とあった。あと4曲、一体何で畳み掛けてくるのかと思っていたら、それは予想外の方向からやってきた。ギター2人のセッションにドラム、ベースが合わさり、「曖昧のまま生きていこう」と言って始まったのはまさかの"My I My"。これにはフロアも大盛り上がり。大阪でのWアンコールのときや自由夜に弾き語りではやってくれていたが、まさかバンドセットで聴けるとは思ってもみなかった。また間奏では「こっから先なんも決まってません。なので即興でセッションします!」と、大阪でのコンポタを思い出させるようなセッションのおまけ付き。yuccoさんにリズムを指定し、それに合わせて錬さんがギターソロを弾く、まるでスタジオ練習を見ているようだった。
そんな興奮も冷めやらぬ中、小池が指で電話の形を作り、「もしもし!?もしもし!?」とフロアに問いかけるようにして始まった"もしもし?もしもさぁ"。ラスサビ前、小池が儀間さんに駆け寄り、耳打ちしながらフロアの方を指さすと、フロアに降り、そのまま演奏。今日何度目?と言いたくなるほどの最高潮に達する。そして"高層ビルと人工衛星"へ。今までMCで「埼玉県戸田市…で地球ぶっ壊れないかなと思って作った曲」と言っていたが、今日はそれがなかった。大阪のライブやでの「この曲を作れたことを誇りに思ってます」や、弾き語りのときの「最近YouTubeで見た体操の全国大会に出ている子供たちの初々しさが、自分の作った曲と重なる」という話があり、あのMCが聞けないのは少し残念だが、この曲を誇りに思えるほどになったことは嬉しかった。今日一番の歓声とダイバーと熱量で、もう会場がぶっ壊れるんじゃないかと思うほどで、地球ではなく俺らをぶっ壊してくれた。
そして最後は今日の渋谷の街を全て"(許)"して、いや自分たちを許してくれるように、デカい音で全てかっさらっていった。

メンバーが捌けていくとすぐに「ワンモア!」、「小池!!」などとアンコールの声が上がる。ここまで全20曲。すでにかなりやばいセットリストだが、まだ足りない。それがアンコール、特に「小池!!」という声に籠っている。少しして小池以外はロゴTを着て、小池は正面に『NAMA(IKI)』と書かれたTシャツ着て現れた。小池がアコギを持ち、始まったのは"じゃじゃ馬にさせないで"。この曲のレコーディングが楽しすぎた挙げ句、(茜)のリリースが遅くなったという、残念なのか嬉しいのかわからないような小話もあるが、ただ1つ言えるのは最高のカバーだということ。2番では儀間さんボーカルに変わるという面白さもあり、なにより小池が楽しそうに歌っているのが良い。
アコギからエレキギターに持ち変え、歌い始めたのはツアーのタイトルにもなっている"(茜)"だ。四季を巡るサビの歌詞にメロディー、dadadadys・tetoの頃を遡ってもあまりない明るくポップな曲調は、このアンコール、そしてこのツアーファイナルにはもってこいな曲だ。1つ前のヘブンズロックのアンコールでも演奏していたが、そのときは2番までで、そこからの展開も面白く、リリースがさらに楽しみになった。
2曲を歌い終え、スタッフさんが小池にアコギを渡そうとするが、小池はほかのメンバーに耳打ちをする。会場にいた全員が「何かが変わった」と思ったであろう。そして小池はマイクスタンドの前に立ち、「“This is” the dadadadys!」と言って"this is"が始まった。この曲は個人的に今回のツアーを通じて好きになった曲、かつ、しばらく聴けていなかっただけに前に飛び込まざるを得なかった。演奏が終わるとフロア「小池ー!」や「ありがとう!」の声が止まなかった。
そしてここで今日10何曲ぶりのMCに入る。そこで、1/26 "(茜)"を含めた3曲のリリース記念イベント“(粋) NAMA(IKI)”が発表された。the dadadadysのほかHelsinki Lambda Clubの3人アコースティック編成、TENDOUJIのモリタナオヒコ、MONO NO AWAREの玉置周啓が出ることに加え、会場が新宿LoftのBarステージ、さらにドレスコードとして小池が着てる『NAMA(IKI)』と書かれたTシャツの着用が必須という、色々突っ込みどころのある、めちゃくちゃ楽しみなイベントだ。そして告知のあとに続けて「普段インターネット見ないから、自分の曲とかライブどう思ってるのかわかんないんだよね」とあまり自分のことをあまり話さない小池が自分のことについて話し始めた。続けて「やっぱちゃんちゃらおかしいんですよこの現場。ほかのバンドのライブとかたまに見に行くけど、全然興奮しないし。あんなイカれた目してダイブしてくるのとか最高。」と言うとフロアから歓声が上がった。そして締めに「まあ何が言いたいかっていうと、メリークリスマスってことで」と笑いながら言い、「クリスマスにぴったりの曲をやります」と言ってラストの"9月になること"へ。不思議と違和感もなく、それどころかあの雰囲気にはあの曲しかなかった。そして、「雨上がり蒸し返す…」からラスサビへの盛り上がりでは今日一のダイバーの数で、それに答えるように小池も弦を掻き切るほどにギターを掻き鳴らし、最高のクリスマスプレゼントを置いていった。

アンコールで4曲も歌ったが、まだアンコールの声が止まらない。「小池ー!」という声に続いて「拝啓ー!」と拝啓の演奏を願う声も上がった。ファンはもちろん、メンバーも激しい曲続きで、体力も限界なはずだ。だがこの5人はいつも自分たちの期待は裏切らない。再びステージに戻ってきた。そして、真っ直ぐギター、ドラム、ベースに向かい、何も話すことなく"拝啓"を歌い始めた。もうイントロからダイバーの嵐、サビでは大合唱、そしてラストは小池に加え錬さんもフロアにダイブしてきた。全てを出し尽くした小池は最後に「良いお年を」と一言だけ残し、この聖なる夜の最高のライブを締めくくった。

思い返してみれば今年(特に下半期)は、dadadadysの一年だった。2月のBAYCAMPで初めて見て、6月の(許)ツアーファイナル、8月のライブハウスでさわご、そして迎えた今回の(茜)。まさかここまで好きになるなんて思ってもみなかった。
自分はバンドを好きになってから3年、ライブに行くようになってから1年半と歴で言ったら全然短いが、ここまで最強なバンドは他にはいないと思う。思い出したかのようにリクエストした曲を演奏したり、急にセトリを変えたり、ライブで疲れているはずなのに最後の一人までファンへ対応をしたり、それもやってのけてることが並大抵ではない。どのバンドも同じことをやってほしいとは思わないが、こういうバンドが1つでもいるからこそバンドには夢があると思った。
そして、自分が今まで見たライブの中で一番最高のライブだった。


《セットリスト》

1.蜩
2.ROSSOMAN
3.k.a.i.k.a.n
4.とめられない
5.しぇけなべいべー
6.にんにんにんじゃ
7.青二才
8.暖かい都会から
9.光るまち
10.あっ!
11.kill&miss
12.トリバーチの靴
13.メアリー、無理しないで
14.遊泳地
15.らぶりありてぃ
16.忘れた
17.My I My
18.もしもし?もしもさぁ
19.高層ビルと人工衛星
20.(許)

encore
1.じゃじゃ馬にさせないで
2.(茜)
3.this is
4.9月になること

W encore
拝啓


Special Thanks
フォロワーのみんな

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?