価値観が回帰する

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 僕はマスメディアの出身だったことでたくさんの恩恵を受けた。しかし、同時にたくさんの思考の癖を身につけてしまった。その時に身につけた癖で、今の時代にそぐわないと思うものを一つ一つ見つけて、置き換えていくということに僕はたくさんの時間を費やしている。

 マスメディアとは、1対nでコミュニケーションをとれる仕組みだ。1になれる人、会社がほとんどいない時は、力を発揮できるが、1側に立つ人が無数にいる時は、相対的に価値が下がり埋もれていく。そこでどのようなコミュニケーションが行われていようと価値は下がる。それが今起きていることだ。

 インターネットにより誰もがメディアを持てるようになった。それにも関わらず、多くの人のなかにある「かっこいい」は、依然マスメディアでの振る舞い方だ。マスメディアの振る舞い方とは、目の前には人はいなくて、遠くにいるたくさんのnに向かって同時にコミュニケーションをとる。個別対応は大変すぎるから応じない。個別対応は、売れていない人が必死にやることでかっこ悪いという価値観だ。

 僕にもその癖がついていた。インターネットの時代になってやれるようになってきたのに、昔のかっこ悪いという意識が、そのことに気付くのを邪魔していた。

 きっかけをくれたのは、キングコングの西野さんが雑談でふと漏らした言葉だ。「ネットは、1対nを可能にしたんじゃなくて、1対1をn回繰り返せるようにしたんですよね」

 ガツンと衝撃が走った。1対1をn回繰り返せるのに、1対nのコミュニケーションをしているのは、楽をしているだけだ。かっこ悪いとずっと思っていたSNS上の有名人の動きを観察してみると、丁寧に1対1をn回繰り返している。世の中のかっこいいのルールが変わりだしたことに早く気づいた人たちが成功しているだけだった。楽をしているわけでもないし、かっこ悪くもなかった。僕の価値観が旧いだけだった。

 コミュニケーションは、1対1が基本である。それを丁寧に積み重ねていくしかない。すごく当たり前のことだけど、面倒で、大変でなかなかできない。それは、SNSだけでなく、会社でも同じだ。僕の中で、リーダーは公平でなければならない、という考えがあって、公平であるとは1対nのコミュニケーションをすることだと考えていた。

 しかし、『ヤフーの1on1』という本を読んで、意識を完全に改めた。半信半疑ながらヤフーでそんなにうまく行っているのならと会社のコミュニケーションの基本を1on1に変えた。すると、会社全体での情報共有のされ方、メンバー同士の距離感が、2、3ヶ月で大きく変化した。

 インターネットは、デジタルで温度がないと思われがちだけど、人と人の関係、人と社会の関係を基本に立ち帰らせるツールで、価値観が回帰していっているように思える。

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 今回は、物語の価値観も回帰していると思うことについての気づき。

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佐渡島庸平/コルク代表

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