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結局はユーモアが人間を救う

星野源さんの『よみがえる変態』というエッセイ集を読んで、だいぶ前にバズったこのツイートを思い出した。

このツイートを見て、私は衝撃を受けた。

「わー、本当に大逆転だねぇ!」なんていう単純な感想ではない。


いわゆる「男子にとっての逆転人生」、つまり「ドリーム」っちゅーもんは、「ガッキーとキスすること」だったのか、ということだ。


星野源さんといえば、言わずと知れた超人気アーティストであり、俳優であり、文筆家である。舞台にもドラマにも主演できるほどの演技力・人気を兼ね備え、自身で作詞作曲編曲を手がけるアーティストでもあり、新曲を出せば必ずヒットチャートにランクインし、ライブをすれば東京ドームを満員にし、文筆業に至ってもこれまでエッセイ集を数冊出版し累計100万部を突破した、凄すぎる人間である。さらにはあの夢のラジオ番組「オールナイトニッポン」をレギュラーで担当している。

この有り余る才能、実績、ステータス、そして(たぶん)巨額のマネー、、、、
これら全てを凌駕して男子が羨むことは「ガッキーとキスすること」だったのか、と、世の男子のアホさ加減に驚愕し、そして爆笑したのである。

このツイートがこんなに何万人もの人にファボられ、リツイートされているということは、(星野源さんの過去の病気の経験や写真のインパクトが強かったというのもあるかもしれないけれど)一定の男子が「ガッキーとキスしたい」「ガッキーとキスできることこそが俺のゴール」、言うなれば「ガッキーとキスできるなら死んでもいい」くらいの気持ちを持っている、ということが明白になったのだ。

・・・・ガッキー、凄すぎんか。

ガッキーはこの世の女神。生きる天使である。


星野源さんは、エッセイ「よみがえる変態」の中で、くも膜下出血や脳動脈瘤という大病の経験の一部始終を記録している。中にはこちらまで辛くなるようなことも生々しく書かれていたりするが、その中でちょくちょく出てくる下ネタが、本当にどうしようもなく、くだらない。

集中治療室であまりの頭の痛さに呼んだら看護師さんが可愛すぎたとか、そのひとに座薬を3回もいれてもらったとか、そういう本当にくだらない事ばかりだ。

そんなくだらない下ネタが大好きで仕方ない私は、過去の星野源さんのエッセイ集も読んでいるしオールナイトニッポンのリスナーでもあるわけなのだが、やはり極限状態の人間が求めるのは、何の得にも金にもならない「笑い」「癒し」、、、つまりは概念としての「男子にとってのガッキー」なんじゃないか、と、本気で考えたのである。概念として、な。

偶然にも、今日本列島には超巨大台風が襲来しようとしている。あまりの報道やSNSで飛び交う情報のおぞましさに流石に怯え、私も今日はカップラーメンやら何やらを買い込み、窓にガムテを貼り、懐中電灯の電池を新しいものに入れ替え、スマホの充電バッテリーを満タンにしながらこれを書いている。

あぁ、明日もし停電になったら、しばらく好きなもの食べられないなぁ、とか考えながらご飯を炊き、生野菜のサラダとカレーを食べた。

そして、思ったのである。

お願いだから「イケメンを見させてくれ」と。

最悪停電してもいいから、少クラ(※NHKBSで放送されている、ジャニーズJr.の成長を愛でる番組)だけは見せてくれ、と。

メンズのゴールが「ガッキーとキスをすること」であるとするならば、私にとってのゴールやドリームは何なのだろうか。

「本を書きたい」とか「裕福な暮らしがしたい」とか、一旦どうでもよくなる。現に、超巨大台風を目前にしたいま、どうでもいいと思いつつある。(たぶん、台風が無事に過ぎ去った暁には「どうしても本が出したい」とか「割のいい仕事をくれ」とか「このコスメが欲しい」とか言い出すと思うから許して欲しい)


妄想してみた。(楽しいからぜひみんなで妄想しよう)以下、敬称略。


佐藤健と幼馴染、ご近所暮らしで、いつでも笛を吹いて「りつー!」って呼んだら会ってくれる関係性でありたい(出典:「半分、青い」)

優しいけど遠慮がちな松坂桃李と、頼り甲斐のある瀬戸康史に取り合いっこされたい(出典:「パーフェクトワールド」)

マフィアから狙われている余命わずかな長瀬智也と、短くて濃厚な恋に落ちたい(出典:「ごめん、愛してる」)

汚れた作業着を着た挑発的なチョン・ウソンにいたずらされて好きになっちゃいたい(出典:「私の頭の中の消しゴム」)

美大の先輩であるやんちゃな伊勢谷友介と一緒に、車かっ飛ばして海に行きたい(出典:「ハチミツとクローバー」)

タバコを片手に持った小栗旬に「大丈夫、君は僕が好きだ」って言われたい(出典:「人間失格」)

狂気に満ちた菅田将暉を忘れられなくて振っちゃった重岡大毅に「俺じゃダメなんか?」って言われたい(出典:「溺れるナイフ」)

ボロボロの道着で空手の練習を夜な夜な続ける横浜流星に「もうボロボロじゃん、新しいの買いなよ」って言ったのに、「自分、まだまだ下っ端なんで、これでいいんす」って言われて、でもやっぱり忘れられなくて、サプライズで新品の道着を買って朝の道場に置いておいてあげたい(出典:私の脳内)


やっぱりイケメンは宝である。この世の宝。


かく言う私も、星野源さんと同じパニック障害という病気を患い、現在進行形で治療中の身である。現在症状は治まっているものの、毎日薬は飲んでいるし、薬の副作用で毎日眠くて眠くて仕方ないから思うように読書も勉強も捗らないし、お酒もコーヒーも飲んじゃいけない。自分が療養中だということを思い出さない日はない。薬を飲む時。いつの間にか寝落ちしてしまってハッと起きた時。いつも、「できない自分」「また寝てしまった自分」に飲み込まれそうになって、ブンブンと頭をふる。

けれど、自分が療養中だと思い出さない「瞬間」ならたくさんある。たっくさんある。

心震える映画やドラマに出会ったとき、ワクワクする音楽に触れたとき、テラスハウスを見てあーだこーだ喋ってるとき、深夜ラジオをきいてくだらない下ネタにニヤニヤしているとき、イケメンが歌い踊る姿を見たとき、ラブストーリーものにキュンキュンしたとき、千鳥の大吾がボケてノブが突っ込んだ後に大吾が超嬉しそうにしている顔を見たとき。

そういうとき、結局私はエンタメに生かされている、と思う。
面白いもの。美しいもの。楽しいもの。可愛いもの。綺麗なもの。かっこいいもの。

ユーモアが大事だ。一番しんどい時に役立つのは、ユーモアだ。
しんどいときは、できるだけ面白いものに触れた方がいい。美しいものでもいい。かっこいいものでもいい。可愛いものでもいい。エロでもイケメンでもポップでもキュートでもマッチョでも清楚でも何でもいいのだ。どんなに不安に満ちた状況でもそれらを面白がる力が、生きる力だと言っても過言ではない。


なんか真面目っぽい締め方にしようとしているが、実は大したことを言っていないことに気づかれている気がしてならない。


イケメンが好きな人はイケメンを。ガッキーが好きな人はガッキーを。何でもいいから、好きなものを、好きなだけ、好きなように摂取していれば、きっと台風は去るだろう。

ということで今から私は、電気があるうちに録画してあるアメトーークとYouTubeのジャニーズJr.チャンネルを観ます。ちなみに今夜のオールナイトニッポンは三四郎、オールナイトニッポンゼロは霜降り明星だよ。どっちも面白いよ。

Sae



「誰しもが生きやすい社会」をテーマに、論文を書きたいと思っています。いただいたサポートは、論文を書くための書籍購入費及び学費に使います:)必ず社会に還元します。