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いつだって「私は聡明だ」って言いたい

映画やドラマを観ていて、本質的に似たようなシーンに心惹かれるんだなぁと思った。

先日、Netflixシリーズ「SEX EDUCATION」を観ていて、最終話のあるシーンで、いたく胸を打たれてしまった。
(このドラマは、もしかしたらタイトルで勘違いする人もいるかもしれないけれど、人間関係や人の深層心理を丁寧に紐解くとても良い作品だったので、ぜひ観てほしい!)

舞台はとある高校。
メイヴという女の子は、とても聡明なのだけれど、家庭環境に恵まれず一人でプレハブのようなところで暮らしながら生きている。クラスメイトや教師からも、「不良」の烙印を押され、ビッチ扱い。でも、頭が良いから、横暴なクラスメイトのエッセイの課題を請け負い、賞を取ってしまうような子だ。(もちろん、メイヴは自分の作品であることを隠している)

ある日、不良すぎて高校を退学になってしまいふらついていたメイヴの兄が突然帰ってきて、メイヴの通う学校のダンスパーティーに来てしまう。メイヴが困惑する中、兄はメイヴのクラスメイト相手にドラッグを売ったり、やりたい放題。

後日、学校長に呼び出しをくらったメイヴは、兄をかばい、ドラッグは自分のものだ、と言い張る。処分を決めるための最終面談で、校長に「あなたがこの学校に残る意味は何かあるのか?」と聞かれ、メイヴは言葉を振り絞る。

私は聡明です
家庭環境が不運だっただけです
家族の支援がなく、時々間違いを犯します
でも、改善できます
やり直せるなら、機会を無駄にしません

”I'm really smart."と真っ直ぐに校長の目を見つめ、唾を飲みこみながら訴えるその顔は、抱きしめたくなるほど美しくて脆かった。不良という烙印を押され続け、「私は頭がいいんだ」と言うことにどれほどの勇気が必要だっただろうか、と。

何だか既視感があって、しばらく考えた後、あぁあれだ、と思い出した。
映画「プラダを着た悪魔」で、主人公アンドレア(アン・ハサウェイ)が、伝説のファッション誌編集長ミランダ(メリル・ストリープ)から採用面接を受けるシーン。激ダサ芋臭すぎるファッションでミランダに相手にされないアンドレアは、最後の一押しをする。

私はここには似合わないかもしれません
けれど、私は頭がいいです
物覚えも早いし、一生懸命働きます

虫けらを見るように扱われた後に発する”But I'm smart.”に、アンドレアの強さを感じたのを覚えてる。

きっと私は、「私はできるんだ」「私がやることに、意味があるんだ」ってことを言えない自分に、強いコンプレックスがあるんだと思う。だから、こういうシーンにものすごく心打たれ、勇気を持って言い切る彼女たちが輝いてみえる。

きっといつだって、「自分にしかできないことがあるんだ」「私がやることに意味があるんだ」「私はこんなにできるんだ」って言いたいし、言える人になりたい。私の憧れは、そんな強い自分。

大事なのは、「実際に自分が聡明かどうか」じゃない。「私は聡明です」「できます」って言える、自尊心だ。自分で自分を、貴重で重大な存在だと思える気持ち。

そういう気持ちを大切に育みたいし、ちゃんと人に対して主張する大切さを、メイヴから学ばせてもらった気がする。

Sae

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