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30代の幕開け

昨日、30歳になった。

20代前半のころから、何故か呪いのように、意味もなく「30」という数字を見据えて怯えたり逆算したりしていたことが嘘のように、あっさりと迎えた。なんだ、30って、怖くない。

そんな風にあっさりと健やかに迎えられたのはきっと、29歳の月日があったからだ、と強く思う。いつだってそうやって、過去の自分に助けられて、今を立っている。

昨年末、パニック障害で体調を崩し、休職の道を余儀なくされた。しばらくして、このnoteを始めた。自分のことを、自分の言葉で説明することができない、ということがあまりに嫌で、この場を借りたのが始まりだった。

やっぱり、病気に対する偏見や認識相違というのはあるもので、「ご飯食べに行こうよ」とか「おうちに遊びに行く!」とか言ってくれた愛する友人や知人もたくさんいたけれど、それっきり疎遠になった人ももちろんいた。(そういった認識相違や偏見をなくすためにも、こうして日々書いているところもある)

会社に行って皆の前で「見て、こんなに元気に見えるでしょ、でも実はこういう症状が時々あって、こんな治療をしていてね」なんて説明できるわけがなかった。友達一人一人と会って、説明する余裕もなかった。なんせ、体調が悪かったから。

noteを通じて、大切な人に自分の言葉で自分のことを伝えることができたことは、本当に私にとって価値のあることで、インターネットやこうしたサービスがあって良かった、と心から思う。

優しい言葉をかけてくれた方の中には、これからの私の人生が素晴らしいものとなるように、とか、これから幸せがたくさん訪れると良いね、といったような言葉をかけてくれる人もいた。きっとかける言葉を選ぶのは本当に難しいと思うし、それ自体に悪意は全く感じなかったから傷つきはしなかったけれど、「あれ?私はいつ、不幸になったんだろうか?」と、疑問には思った。私は幸せだ、と信じて止まなかったから。「辛い」とは何度も思ったけれど、そこには原因や取りうる対策があって、叶わないことなんてきっとなくて、助けてくれる仲間がいて、そんな状況の中で自分のことを「可哀想」とは、一度たりとも思わなかった。

人生に対する評価というのは、必要ないものだ、ということを学んだのが、29歳の1年間だった。

私の好きな海外ドラマに「Gossip Girl」という作品がある。ティーンエイジャーに人気の作品でご存知の方もきっと多いと思うけれど、私はこの作品が大好きで何度も見直している。超セレブな生活を送るNYのティーン達が恋をしたり将来に悩んだりするいわゆる青春もの。

主役となるのは、セリーナとブレアという2人の女の子なのだけれど、まぁその2人がなかなかに厄介者で。幼馴染なのにしょっちゅう喧嘩するわ、お互いの彼氏を寝取り合いするわ、嫉妬し合って互いの大学受験の推薦状取得を邪魔し合うわ、もうめちゃくちゃに性悪でだらしがなくて。それでも、いつも最後には、「どうしようもない私たち」を認め、仲直りをする。ここまでされて仲直りするんかい、とツッコミを入れたくなるほどに、最後は、一応丸く収まる。

で、打ち解け合ったり仲直りをする時に必ずといっていいほど出てくる言葉が

”I don't judge you."

だった。

「私はあなたのことをジャッジしない」。だから、何だって言っていいんだよ。なんでも相談して。一緒に話し合おう。助け合おう。そんな感じ。

「ジャッジ」という言葉は日本語でもよく聞くけれど、どちらかというと「審判」とか、良いか悪いかを決める、みたいな、堅い使われ方をしているような気がする。けれどこの英語の文脈で言うjudgeは、少し違うような感覚がある。私は語学の専門家ではないので、本当に「感覚」だけれど。私が意訳するとしたら、こんな感じだ。

「どんなあなたであっても、受け入れるわ。非難したり決めつけたりなんか、しないから。」

英語を母国語とする大切な友人ができたら、いつかきっと”I don't judge you"って言おうと思っている。

誰も、私の人生をジャッジすることなんてできない。あなたの人生も。
わかるのは、自分だけだと思う。自分に正直でいられたか。自分を大切にできたか。愛する人を守れたか。言葉や態度で表現できたか。自分のできる範囲で十分だから、人や社会の役に立てたか。

与えられたものを受け取る人生、だけじゃなくて、選び取る人生。
きっかけは病気だったけれど、29歳というタイミングでそういう価値観を得て、自分の人生をアップデートできたことは、かけがえのない財産だった。だから私は今、幸せなんだと思う。

チャレンジを繰り返し、めいっぱい遊び、学び、働き、ときどき失敗をして、ときどき泣いて、たくさん笑う。そんな30代が幕を開けました!不思議なことに、「人生、始まったばかり」みたいな感覚です。本当に、不思議。

この、noteという場を得て、顔も知らない人たちに励まされたり(私が励ますこともできていたとしたら嬉しい)して、ハッピーなので、こうして訪れてくれる皆さんには感謝しかありません。30歳の私も、どうぞ気が向いた時にでもいいので、見守っていてください。

心からの感謝を込めて。

Sae

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