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香りフェチの私が「屈辱的な一言」を受け入れる物語

先日、家族に「汗臭い」と言われた。

・・・

「汗臭い」・・・だと・・・・?

このショックを、ご理解いただけるだろうか。

私は先日30歳になったばかりのいわゆる「アラサー」であり、嫁入り前の「女子」であり、美容やコスメが好きであり、良い香りの入浴剤やボディクリームに日々包まれる生活をしている人間なのである。

むしろどちらかといえば、7年間ほどの会社員生活の中で、(誠に失礼ながら)50代くらいの上司に対して「(このひと、ちょっと臭うな・・・)」って思ったりだとか、「(これ、加齢臭じゃね?w)」とか思っていた側の人間なのである。

「汗臭い」と言われたのは、ピラティスのレッスンに行った日の夜のことだった。私が通うスタジオは都心にあり、家から少し時間をかけて通っているため、せっかく都心に出るのだから、と、レッスン前後の時間に合わせて友人とランチをしたり少し買い物に寄ったりする時間を作ったりしていた。そのため、「ピラティスをした後の我がムスメ、汗臭いぞ・・・?」と気づいた家族が、ピラティスの後に人と会う予定は避けたほうが良いだろう、という忠告をくれたというわけだ。

言いたいことはわかった。そうか。ピラティスの後に、人と会う予定は入れないようにしよう。ピラティスの、前にしよう。うん。

・・・しかし、「汗臭い」という事実を受け入れられない。私は、「汗臭い」のか。まじか。

皆さんがご存知かどうかわからないのだが、ピラティスというのは、そんなにハードな運動ではない。インナーマッスルをゆっくりじっくり鍛える、というイメージだろうか。汗はかくけれど、額に髪の毛がへばりつくような汗や液体としてポタポタと垂れてきたりTシャツの色が変わるような汗ではない。「じんわりと」かくタイプの汗だ。ちなみに、こんなポーズ(下図参照)をして腹筋を中心とした筋肉を鍛えるのである。

そのためか、私の通うスタジオにはシャワールームがない。皆、更衣室で優雅に着替えて少しお化粧直しをして、涼しい顔をしてスタジオを出て行く。ちなみに私はその皆さんに対して「くさっ」と思ったことは一度もなかった。(もしかしたら、私が女子校出身のため女性に着替えを見られる恥じらいが一切なく脱ぎ着が異常に速いため、更衣室での滞在時間が短すぎるからかもしれない)

そして私には、運動経験が一切ない。運動神経は非常〜〜〜〜〜に悪く、部活やサークルも全てにおいて、見事に運動を避けて生きてきた。運動部の女子マネージャー的なことも、やったことがない。「汗臭い」以前に、「汗をかく」という環境にいた経験があまりにないのである。

よって、私が汗をダラダラにかく瞬間は日常の中で「お風呂の中だけ」であり、その後シャワーを浴びて良い香りのボディクリームを塗るのだからそれは「汗臭い」につながるはずはなく、「汗臭い」なんて、私とは遠い彼方、宇宙の果てほどに遠い存在だと思っていたのだ。

しかし、その考えは覆された。私は、ピラティスをすると、汗臭くなるらしいのだ。こうして、文章に書き残すことで、その事実を受け入れようとしている。

今年、運動大嫌い人間の私がピラティスのトレーニングを始めたことは、兎にも角にも私の史に残る重大な出来事である。実は順調に体重は変化しており、体のラインもスッキリしつつあり、精神的にも元気が出てスッキリし、良いことばかり起きていることに感激している。これが運動の効果か、と。

しかし、「汗臭い」という副産物(そんな良いものではない)が生まれることは想定外だった。「自分が汗臭い」という概念を、持ち合わせていなかった。もともと汗っかきだったり、運動部を経験したり、日常的にトレーニングをしたりしている人たちは、この「己の汗臭さ」という事実と、ずっと向き合ってきたんだなぁ、と思った。超尊敬する。

2019年の夏、私は初めて「汗臭さ」と出会った。運動の気持ちよさと同時に、出会ってしまった。甘酸っぱい・・・いや、酸っぱい夏となった。汗だけに。(スベった気がする。もう、ビール飲みたい。)

なお、「ピラティスをすると汗臭くなってしまう」という事実への対策はしっかりとるので、友人・知人の皆さんには安心してほしい。「匂いフェチ」を自称し、今まで結構香りに気を遣って生きてきて、「なんか、さえちゃん良い匂いする!」と何度も言われたきた私のプライドが、汗臭い自分を許すはずがない。次会った時に「(今日さえちゃん、汗臭くないかな・・?)」的な疑いの目で見られたら、本当に泣きます。この記事を読んだ瞬間に、忘れてください。

本当に、味わい深い夏です。

Sae

「誰しもが生きやすい社会」をテーマに、論文を書きたいと思っています。いただいたサポートは、論文を書くための書籍購入費及び学費に使います:)必ず社会に還元します。