一介のライトノベル作家から見るライトノベルイラストが出来るまで(あと愛)

 数日前、「昔勇者で今は骨4」の表紙イラストが来た。白狼先生は本当に渾身の表紙を描いてきてくれる。これだけの人数のキャラが、背景と共に全力の書き込みで叩き込まれている表紙はかなり目立つ。(版元ドットコムより)

幸せ。

 それであまりの素晴らしさに悶えるのがまあいつものことなんだけど、この心境をどれだけの人が知っているのだろう、とふと思った。
 ところで、夏の頃にこういうことを言ったら小さくバズった

 ので、ひとつ「一介の弱小ラノベ作家(3作品経験)から見たイラストについて」書いてみようと思う。もちろん書けないとこは書けないんだけど、これまで自分がTwitter他でつぶやいたけど特にお叱りも無かった辺りのことをまとめておこうと思い、久し振りにnoteを更新した次第だ。放置ほんとにすいません……。

(注意)あくまで「佐伯庸介の場合」です。作家とイラストレーターさんの関係は作品個々でばらばらなことも多いので、ご留意くださいね。

 ではまず最初の最初、イラストレーターを決める段階。これは、企画やプロットなどを通し、執筆に入る前、もしくは執筆中の段階で聞かれることが自分は多い。
 ここで一応の希望を聞かれたこともあり、聞かれなかったこともある。その協議の結果、担当編集さんが決定する。

 自分で連れてくる、はたまた自分でイラストも描く、という方々もいるが、まあそれはそれ。そしてそこからは、執筆しつつもその方の過去絵などを見て空想を膨らませるわけである。

 次の段階。原稿をイラストレーターさんに読んでもらう段階だ。
 これは初稿が上がり次第ということになる。大体出版の三~四ヶ月前くらいだろうか? これが申し訳ない話で、「出版時期が伸ばせない場合」はイラストレーターさんに動かせない締め切りが生まれる。しかもそれは、作家が原稿を上げないほど猶予が無くなる。ごめんなさいごめんなさい。

 そして自分は初稿からガリガリ改稿する方なので初稿読まれるのは結構恥ずかしい。初稿は! 文章が! ボロボロなの!!

 時間がタイトな場合、章ごとに出来上がったのを送ったりもする。また、キャラの特徴をまとめたテキストを先に送ることもある。自分は両方やったことがある。イラストレーターさんの方足向けて寝れない。

 反対にイラストレーターさんから質問を受け、それに答える形でデザインを詰めることもあるが、これはやはり個々の作家さんによる。全く連絡を取らないまま互いに作業する方々も存在するからだ。

 出版二ヶ月前くらい。各種のラフが届き始める。大体はキャラ、表紙、口絵、挿絵の順かな? 正直この時点で、届く度に大抵のラノベ作家は嬉しさで爆発四散する。その後「トウトイ……トウトイ……」とか言いながら再生する。語彙力も落ちる。

 時代や衣装、設定上の相違点とかはここら辺で畏れながら指摘して調整してもらうことになる。勇骨1の時、ミクトラの胸の大きさでリテイクをお願いしたのはなんかもう、本当にすいませんって感じだ。

 そこからは、初校・再校(誤字脱字・内容修正をする製作過程)と平行する形でイラストの確認が上がってくる(現在の自分、ココ)。とはいえほぼ完成品であり、これに意見が無ければ決定稿だ。自分はやはりここでも嬉しさで死ぬ。語彙力は限界まで低下する。

 分かって欲しい。自分が生み出したキャラ達が、いまひとりのプロの手により形を取る。これは文章創作者にとっては本当に嬉しいことで、「ハウっ……これお金払わなくていいんですか……? え? 出版社が出してくれる? 神では……?」となる。

 イラストを! 自慢したくて! しょうがない! という気分が高まってくるのもこの時期だ。でもまだお見せするわけにはいかない。もだもだする。イラストが来る度に界王拳の倍率が上がっていくような感覚があるが、文章はもう九割方出来上がっている。そうなると、校正でイラストに負けないだけのクオリティアップに励むしかない。

 たくさん赤入れてしまって、担当さんすまない……。

 こういう事情で、ファンアートとかも本当に嬉しいんだよねこれが。是非……是非……ください……。

 おっと、欲求が漏れた。話を戻そう。
 出版が近付くにつれ、各種のイラスト決定稿が次々上がってくる。嬉し爆発する。語彙力は減る。

 一ヶ月前くらいになると、公式にあらすじと表紙が公開されたりする。これが自分は本当に楽しみで、「ウオオォォォォオ―――――ッ!!! この! 表紙を! 見てくれ!!」という状態になっている。Twitterとかの宣伝がうるさいかもしれない。許してほしい。

 そして発売である。実本のイラスト部分を何度も眺めるのは至福の時間だ。元データをPCに送ってもらっていても。本になってるとまた全然違うんだよね。自分の文章と絵が両方そなわり最強に見える。これは未だに新鮮な喜びに満ちている。二桁冊数出すと慣れるのだろうか? 分からない。

 正直なところ。自分が商業ライトノベルを書いているモチベーションの何割かには「このイラストレーターの絵がついた自分の本を一冊でも多く増やしたい!」という欲求がある。
 だってさ……続くだけどんどん増えるんだよ……自分の小説の絵が……最高じゃん……? 重版もして数十万数百万の単位で世界に散らばって欲しい。広がれ!

 というわけで、ライトノベルのイラストについて作家側から語れることをつらつら書いてみた。うん、勢い任せの文章だな……。ちょっと反省。繰り返しになるけど、作家とイラストレーターのやりとりはケースバイケースなので、あくまで自分の場合、ということでご納得いただきたい。

 また、私見ではあるが、近年ライトノベルの出版点数はネット発小説の書籍化により過去に例を見ないほどに多くなっている。これは書く側にとっては痛し痒しではあるものの、イラストレーターにとっては売り手市場の様相となっていると感じる。「ライトノベルの絵を描きたい!」という方は今がチャンスなのではなかろうか。様々なイラストレーターさんが世に出るのは小説を書く方にもプラスとなるので、めっちゃデビューしてほしい。

 それでは、まさに雑文めいた雑文ではあるけれど、これが誰かの暇つぶしになれば幸い、幸い。
 次の更新はもうちょい早めにやりたいなあ……。

 以下宣伝。
 そんな自分の新刊「昔勇者で今は骨4」は2月9日発売予定です。表紙がすごいぞほんと! 劇場版かよ!! って感じです。表紙に負けないように、中身もぐいぐいつめこんだ歴代最多人数が暴れ回るお話になっております。お楽しみに!
・「昔勇者で今は骨」既刊はこちら。俺と白狼先生の骨を見ろ!!

・前作「天命の書板 不死の契約者」。俺と七原冬雪先生のロリBBAを見ろ!! 今だと電子がいいぞ! 七原先生は他にも色々な作品の挿絵をしてるぞ!

・デビュー作「ストレンジロジック」。俺とnini先生の実姉ヒロインを見ろ!! ストロジは今絶版だけど。nini先生は現在漫画も連載してるぞ!


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読んでもらってありがとうございましたー。 よろしければ小説の方も読んでみて下さいませね。 http://dengekibunko.jp/title/imahahone/

ありがてえ、ありがてえ……
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佐伯庸介

物書き兼司書。小説ガンバルゾー。電撃文庫「ストレンジ・ロジック」「昔勇者で今は骨」一迅社文庫「天命の書板 不死の契約者」書いた人です
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