私の保活・結果編(待機から繰り上げ内定するまでと保育の意味、謎の「支給認定書」などについて)

私の住む大田区調布地区は、大田区のなかでも保育園のスポット争いが熾烈だと聞く。

東京新聞の報道によれば、大田区で認可保育園に入れない子どもの割合は33%(1445人)。3人に1人は入れない計算だ。

東京都全体でも、募集枠4万人弱に対し、実際入れない子は2万人強。入れない人数を申し込んだ人数で割ると35%で、こちらも3人に1人は認可保育園に入園することができない。

私は2月中旬に出産し、ちょうど産まれてから二ヶ月の4月の中旬から職場復帰する。なぜならその週から大学の新学期が始まるからである。

もうすでに仕事への復帰が決まった状態で、非常勤先では担当授業のシラバスも学生が手にしている時期。今更、「保育園見つからなかったので授業できません」という訳にはいかないのである。

昨年10月終わりくらいから認可保育園2園と認証保育園2園を見学し、全部で6つの保育園・サービスに申し込みをした。

認証保育園: 2カ所申し込み(2014年11月に見学後申し込み。それぞれ徒歩15分の場所)
保育ママ(家庭福祉員):第4希望まで申し込み(2015年2月末、子どもを連れて大田区役所にて面接)
認可保育園:第2希望まで申し込み(2015年2月末、受け入れが57日以降のため、5月からの待機リスト入りで申請)
定期利用保育:1カ所申し込み(2015年2月末、郵送にて)

そして、その結果は以下の通り。

認可:5月から待機リスト入り
保育ママ:×(不承諾通知)
認証:2園とも×(受け入れ不可の時は連絡なし)
定期利用保育(1園、最寄り駅から5駅)×

「認可に入れたい」

保活を始めた10月頃から12月にかけて、認可と認証を2つずつ訪問した。保育園探しにおいて、私の家は車を持っていないので(私は免許なし、夫はペーパー)、なるべく歩きで25分以内くらいで通える範囲の保育園を探すと、可能性として認可3つ、認証で4つの保育園があることが分かった。認可は家から通える範囲のうち、2つが生後57日以降の受け入れ、もう一つは4ヶ月以降だったので、5月から待機リストに入れてもらう事を念頭に、自宅から徒歩20〜25分の2つの認可を見学。

実際に見学をしてみて、私の住んでいる地域では認可と認証の保育園の間には埋める事のできない差があるなと感じた(これも地域によって異なると思うので一般化はできないが)。

少なくとも家から歩いて通える範囲(徒歩25分以内で想定)では、どうしてもここに!と思えるような認証保育園は存在しなかった。駅ビルの一角で、とても狭かったり、換気が悪くて匂いがあまり好きじゃなかったりした(その上、認可よりも保育料は高く、月8〜9万円かかる)。私の見学に行った2つの認可保育園は、両方とも広い園庭があり、保育士さんの数も多く、なによりも教室をふくむ敷地面積の広さと陽当たりが最高だった。私は極度のお日様崇拝者でもあり、陽当たりには異常なほどの執着をもつ人間なので、子どもにも昼間の間には太陽の光が燦々とあたる場所で生活して欲しいという思いがある。私が訪問した認証はすべてビルの一部を借りていて、陽当たりがよいとはお世辞にも言えない環境だった。

私の住む地区での認証保育園との違いが分かって、何が何でも認可に入れたくなってしまった。今は待機リスト入りだけど、子どもが就学するまでには、どうにか入れてあげたいと思う。

保育ママ申し込みと「保育」の意義

認可は月齢の問題で待機リスト入りが確定していたので、私の本命はいわゆる「保育ママ」と呼ばれる家庭福祉員だった。

保育ママの申し込みは、2月27日まで。私の退院は24日で、最終日の27日はとても混むということだったので、実母に手伝ってもらい、26日に電車に乗せて区役所まで連れて行った。生後10日しか経っていない赤ちゃんを外に連れ出すのも気が引けるのだが、区の担当者は、赤ちゃんの様子を実際に目で見て確認しないと、申し込みは受け付けないということだったためだ。

保育ママ申し込みの時には、実際の保育ママさんたちがテーブルに座って申請者の対応をしてくれた。

のっけから、子どもを抱っこしてくれて、退院後2日目の私のことをいたわり、ここまで来て偉いわねえと褒めてくれる。子どもの表情もよく見ながら話しかけ、そして初めての子どもを産んだばかりな私のことも、あなた笑顔が良いわね、とさりげなくと元気づけてくれる。他のテーブルや保育支援課の色んな人がきて、「私も抱かせてー!」とか「生まれて10日ってこんなだったっけ?」と興味津々で子どもの顔を見ていた。支援課のおじさん(同じくらいの小さな孫が要るそうだ)も「私もいいですか?」といいながら抱いてくれた。

そんな保育ママさんたちや支援課の人たちを見て、本当に子どもが好きなんだなと感じ、嬉しくなった。

もしかしたら、ほとんどの人は生まれたての赤ちゃんを見ると、ふぁー!可愛い!となるものなのかもしれないなあ、とポジティブな気持ちにもなった。都会で学校を卒業して普通に働いていると、赤ちゃんに余裕を持って触れ合う機会などあまりなくて、赤ちゃんがどういうものなのかも、どれほど脆弱ではかなく、愛らしいものなのかもわからない。小さい生まれたての子どもにこうして触れ合うチャンスなど私自身今までなかったし、今までは子どもを産み落とした直後の精神的な大変さやしんどさに想像力が磨かれていなかったように思う。

このとき思ったのは、行政による「保育」支援は、保育に欠ける人や子どものためのフォローや、親が働くためだけに存在するんじゃないってことだ。こうやって小さい子どもといつも接している人と話したり、子育てに対して不安に思っていることを相談できたり、また自分だけじゃなくてたくさんの人が自分の子どもを見てくれる/関わってくれると実感することが、大きな精神的支えになるんだと感じた。

都会のなかで、特に核家族で子どもを育てていると、ともすれば子育ては「弧育て」になりがちで、家でずっと一人で子どもに対面する親(今は主に母親)がストレスを溜め込んでしまった結果、不幸な事件が起きたりもする。最悪の事態に至らないケースでも、子育てのなかで精神的な負担を抱えている親はものすごく多いと思う。そして親が子どものために過剰に自分を犠牲にしたり我慢したりした「ツケ」は、あとで絶対回ってくる。精神的にも物理的にも。

私は親に過分に愛されてきたし子どものことも愛していると思うけど、「無償の愛」への過剰な信奉はしない。健康的な精神からしか愛は生まれない。保育というサービスを通じて、社会とのつながりができることは、子どもにとっても親とっても幸福なことなんじゃないかと思う。

このように、保育ママの申し込みは、退院すぐに生後間もない子どもを連れて区役所まで行くという行動は大変だったものの、「子どもを育てるときには多くの人に関わって欲しい(家のなかで、私と子どもという世界で育てたくない)」という気持ちが強くなった、良い経験だったのだ。

・・・・

しかし、保育ママの結果は、不承諾だった。


「保育必要」だけど「入れる園ははありません」(謎)

東京新聞でも報道されていたが、私の元には大田区長から「支給認定証」なるものが送付されている。そこでは、「就労」のため「保育標準時間(1日11時間まで)」での保育が必要と認定されている。それにも関わらず、あなたが入れる保育園はありません、と同時に宣言されているのだ。

同じく東京新聞の記事によれば、これは新制度で加わった手続きで、将来的に認可保育園などの申し込みや入所決定の業務を自治体から切り離すことを想定していて、保護者がこの証明書を持って入所先を自力で探すためのいわば「手形」のようなものとして発行しているそうだ。しかし、当面は区などの自治体が入所先を調整する現在の仕組みは維持されるそうで、先にこの認定制度だけが導入されている。

自治体が保育が必要と認定しているにも関わらず、保育所が足りず保育を提供できない、というのが現在の状況のようだ。

定期利用保育に「繰り上げ内定」するまで

保育ママ申請に落ちた時点で、唯一の可能性となった定期利用保育。2ヶ月から受け入れ可能な園は大田区内に3園しかなく、そのうち1つは電車の乗り換えが必要で、徒歩20分くらいかかるので通うのが難しそう。もう一つは、電話した際に、子どもが生後二ヶ月になる4月途中からの受け入れは不可能で、5月以降の待機待ちとなると入れる可能性は限りなく低い、と言われたため、最後の1園だけ申し込んだ。正直に言うと、両親ともフルタイムで働いていてこれからも働く予定なのならば、認証か保育ママどちらかは通る、と過信していたので、定期利用保育はいわゆる保険のように考えていた。私は甘かったのだ。ネットから申請書をダウンロードして、書類を郵送しただけだった。

保育ママに落ちたという連絡が来た次の日が定期利用保育の結果発表日だった。

電話連絡を貰えるということだったが、当日待ちきれず電話すると、「キャンセル待ちリストのかなり後ろの方にいる」「5月以降などでもし移動があれば案内できるかもしれないけれど、可能性は低い」との答え。絶望して、泣きそうになった。

ちなみに大田区の定期利用保育は名目上「パートタイム勤務、求職中など、預けたい曜日や時間が決められる保育」という位置付けだ。http://www.city.ota.tokyo.jp/seikatsu/kodomo/hoiku/hoikusyurui/teikiriyouhoiku/index.html

しかし、実際は私が申し込んだ0歳児保育の枠では、すべての人がフルタイムでの保育を申し込んでいるという。電話でも対応してくれた保育士さんが申し訳なさそうに、「現在キャンセル待ちしている人はすべて両親ともフルタイムで働いている人達。特に0歳児は昨年度の預け実績が加味されないので、他に保育園に通っている兄弟がいる、親が要介護、収入が低いなどの要素で優先順位が決まる」と説明してくれた。

つまり、フルタイムで働いている人達が、認可、保育ママなど他の保育園で子どもを預けられず待機となり、ここまで流れてきている。ここに定期利用保育の建前と実態の乖離があるのだ。

保育支援を受けられる可能性がほぼ0になり呆然とした後、現実的なことを考える。夫は不定期の平日休みだけど、毎週私の非常勤のときにその休みが当てはまるとは限らないし、その場合に利用できそうな民間のサービスなども考える。でも最も憂鬱だったのは、一年間研究に集中できないことで、その先「キャリア転落スパイラル」に嵌ってしまうことだった(前回の記事参照 https://note.mu/saereal/n/nbd9fc7317c3c)。

しばし絶望したあと、「こうなったら子どもとの一年を楽しもう」とポジティブに開き直りかけたところに、定期利用保育の園から電話で「繰り上げ繰り上げで、案内できることになった」とのこと。嬉しくて思わず泣いた。本当に運が良かったからとしかいいようがなく、内定の電話をくれた人も「こんなに辞退がでるとは」と驚いていた。辞退の理由は、保育ママや認証保育園に入園が決まった、育休を取る事にしたなどらしい。

ちなみに内定した定期利用保育は、少し離れた駅から電車で5駅のところにある(歩いて行ける距離の保育園は認可/保育ママ/認証すべてダメだったため)。通勤時に電車にのるのが少し不安だけど、小さな路線だし、乗車時間は10分ほどなどで、どうにか子どもが慣れてくれるといいのだけれど。


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saereal

ライフとワークに関する徒然ノート

働く女性研究者が妊娠・出産・子育てと仕事について考えていることを書いています。
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